クラシック音楽の街、荻窪……。
高円寺にはロックや阿波踊り、阿佐ヶ谷にはジャズフェスティバルがありますが、荻窪には、クラシック音楽の「荻窪音楽祭」があります。音楽大学も点在する中央線沿線。多くの文化人が居を構えた荻窪に、クラシックが愛されてきた風土があることは、直感的に理解できます。「荻窪音楽祭」の事務局長や主催委員の方々にお話をうかがい、「荻窪音楽祭」の会場となる場所を訪ねてみました。
荻窪音楽祭のメイン会場となっている杉並公会堂。日本有数の音響設備を誇るシューボックス型の大ホールを備えて、2006年にリニューアルオープンしました。
杉並公会堂は、杉並区と友好提携を結んでいる日本フィルハーモニー交響楽団のフランチャイズホールでもあります。また、スタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタインの世界三大ピアノを揃えているホールは、日本でも杉並公会堂だけ。演奏家はもとより、耳の肥えた聴衆を満足させてくれる環境が整っています。旧公会堂も音響の良さには定評がありましたが、その理念は新しい公会堂に見事に受け継がれているのです。
昨年の秋に開催された荻窪音楽祭では、小ホール、大ホール、地下2階のグランサロン、さらにはロビーを使って、音楽祭が主催する数々のコンサートが開かれました。

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エントランス。2階が大ホールです。設計テーマは「光と風のハーモニー」。都市空間にふさわしい軽やかなデザインです。

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ファッションビルのように瀟洒なガラスのファザード。公演のある夜は、ホワイエが内側からほのかに輝いて華やかな雰囲気に。

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「光の中庭」と名付けられたパティオ。地下2階から3階までを貫く空間です。幕間のひとときを、気持ちよく過ごすことができます。

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青梅街道の歩道の上に、杉並公会堂への道しるべがありました。音楽会への招待状のような、かわいらしいタイルです。
杉並公会堂
住所:東京都杉並区上荻1-23-15
電話番号:03-3220-0401
交通アクセス:JR荻窪駅、東京メトロ丸ノ内線荻窪駅北口から徒歩約7分 地図を見る
URL:http://www.suginamikoukaidou.com/index.html
取材協力:杉並公会堂(運営:株式会社京王設備サービス)
荻窪音楽祭では、老舗の名曲喫茶ミニヨンでコンサートを開催する演奏家が多くいます。
ミニヨンのオープンは昭和36年(1961年)のこと。昭和46年に現在の場所に移転しました。先代の深沢千代子ママが91歳で引退した後、その意志を継いでミニヨンをリニューアルオープンさせたのが、スタッフとしてともに働いていた小林眞理子さんです。
ミニヨンでは、気鋭のソリストやグループによるさまざまなサロンコンサートも開催。毎月1度の日曜日のカフコンスは、予約のいらないコーヒータイム形式の演奏会(1ドリンク付き1500円/11:00から1時間ほど)。朝食を終えて、散歩がてらに聞きに来たいものです。小さな交差点に面したビルの2階にあるミニヨンは、大きく開いた窓から光がたっぷり差し込みます。長い時を重ねたお店の調度品はきれいに整えられ、清廉な空気に満ちています。大切な時間を、ミニヨンで見つけることができそうです。

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お店の看板は、ビルの階段入り口にあります。先代ママの集めたレコードは約5000枚。グレゴリオ聖歌から現代音楽までジャンルが幅広く、先代ママの柔軟な感性を偲ばせます。

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明るい光の差し込む席に座って、カプチーノ(550円)を注文。小林さんがていねいにドリップしたコーヒー&フォームミルクが深い味わいです。
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ソファはスピーカーの方向を向いた配置になっています。ここで、それぞれ本を読んで静かに過ごす若いカップルも多いそうです。
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レジの機械もレトロです。そして懐かしいビクターの犬。「なんでも昔のままですよ」と小林さん。静かで居心地のよい名曲喫茶です。
名曲喫茶ミニヨン
住所:東京都杉並区荻窪4−31−3マルイチビル2F
電話:03-3398-1758
営業時間:11:00〜22:00(日曜は19:00まで)
定休日:水曜
交通アクセス:JR荻窪駅、東京メトロ丸ノ内線荻窪駅南口徒歩約3分 地図を見る
URL:http://members.jcom.home.ne.jp/stmera/mignon/
「Acoustic Live Cafe」、略してアルカフェ。オープンして2年目、アコースティックな音にこだわる荻窪のライブハウスは、アットホームな雰囲気のお店です。小さなステージにドラムセットはありません。優しい音にこだわったジャズをメインに、小編成でも上質な音楽を聴かせてくれるスペースです。
オーナーの佐々木典子さんは兵庫県出身。ご主人の実家がある阿佐ヶ谷で暮らしています。荻窪の印象を尋ねてみると、「時間の流れがゆったりしていると思います」と答えが返ってきました。荻窪南口仲通りにアルカフェを出店したのも、この商店街が一目見て気に入ったからだそう。ふだんはジャズを中心としたレパートリーですが、荻窪音楽祭ではクラシックの演奏会場になりました。
入店チャージは500円。演奏ごとのチャージは基本的にありません。ほとんどのドリンクも500円、人気のカレーも500円とお値段も手頃。和みのライブハウスといえるでしょう。
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オーナーの佐々木さん。12年間勤務した大手旅行会社を辞め、「虎の子をはたいて(笑)」アルカフェをオープン。ご自身もアカペラを楽しむシンガーです。
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高岡兼時さん(ギター)、西平正子さん(ピアノ)のデュオにゲストのワンタンさん(パーカッション)。上質のボサノバ&ジャズを聴かせてくれました。
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居酒屋のような小上がりスペース。「ここならお子様連れでもOKです」と佐々木さん。こんなに和めるスペースで好きな音楽を聴けるのは幸せです。
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テーブルには、マラカスやカスタネットなど、ノリノリになれるリズム系グッス、さらには扇子、パスルまで。心憎い気配りは「まるでユースホステル(笑)」と佐々木さん。
アルカフェ
住所:東京都杉並区荻窪5-21-10
電話:03-3391-2046
交通アクセス:JR荻窪駅、東京メトロ丸ノ内線荻窪駅南口徒歩約3分 地図を見る
通常ライブ料金:19:00〜23:00(チャージ500円)
1stステージ:19:30〜20:15
2ndステージ:20:45〜21:30
定休日:火・金曜
URL:http://alcafe.incoming.jp/
昨年の秋に第16回を迎えた荻窪音楽祭。期間中は、杉並公会堂をはじめ、区民センターや保健所、レストランや教会、スポーツクラブなど、さまざまな場所を会場に、無料、有料のコンサートが30回以上も開催。まさに街中に音楽があふれる3日間です。
「音楽祭は、街づくりの一環として開催しています」と言うのは、主催の「クラシック音楽を楽しむ街・荻窪」の会副会長の水島隆年さんです。
「人が集まると交流が生まれ、いろんな意見を聞くことができます。南北の行き来がスムーズで、バリアフリーの街にしたいといった、街の皆さんの意見を吸収する機会でもあるんですよ」と 音楽祭事務局の西江行雄さん。東京佼成ウインドオーケストラのクラリネット奏者を務めたプロの演奏家です。
主催の「クラシック音楽を楽しむ街・荻窪」の会の委員、大岩哲朗さんによると、杉並区には、音楽大学の先生など、音楽を仕事にしている人が多く暮らしているそうです。「ある意味、プロにとってはコワい聴衆がいるということですね」。
音楽を愛する気持ち、街を愛する気持ちがひとつになった荻窪音楽祭。今年も開催が楽しみです。
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左から西江さん、水島さん、大岩さん。杉並公会堂の1階にあるカフェでお話をうかがいました。
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クラシックファンの大岩さん、演奏家でもある西江さん。「クラシック音楽を楽しむ街・荻窪」の会副会長の水島さんは、荻窪生まれの荻窪育ち。街の顔役のような存在です。
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昨年の11月に開催された第16回荻窪音楽祭のパンフレット。春と秋の年2回開催なので、今年で9年目のイベントです。
荻窪音楽祭
第17回春の「荻窪音楽祭」は2008年5月16日(金)〜18日(日)を予定しています。
URL:http://www.ongakusai.com/
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