不動産の基礎知識 住宅取得日記

住宅取得日記

第33回
 相見積もりの反省
挿絵
今回の相見積もりについて、反省点をまとめておきます。多分、家の購入を計画しておられる方は、私がしたようなメーカーの相見積もりも考えておられると思います。少しでも参考になれば幸いです。


単純な比較は無意味
 
普通、世間一般でよく行われる相見積もりは、同じ製品について、どこの会社が一番安いかを比べます。各社価格はいろいろですが、納められる製品は、どこの会社でも基本的に同じものです。また、ビル建築なんかの見積もりでも、例えば鉄筋コンクリート造で、地上何階、地下何階、エレベーターはどこに何基つけて、フロア材は何でという風に、基本的な仕様を示して行われるのが普通で、この場合、各社から出される見積もり設計には大差ありません。

それに比べて、住宅の見積もりの場合は、基本的な仕様はメーカーの方ですでに決まっており、基本的には、間取りの提案が中心となります。今回、私は木造軸組み工法2社に見積もりをお願いしましたが、それでも、両社の基本的仕様(無垢材or合板、使用する柱は檜or杉or松、断熱方法の違い等)がかなり異なるので、単純な比較は不可能でした。

つまり、当初期待していた、両者の見積もりを比べて、いいほうを採用しよう、安いほうを採用しようということは、実はまったく無理な相談であったということがわかりました。


それでも相見積もりはやったほうがいい

私の経験から言えるのは、それでも、メーカー等への相見積もりは行ったほうがいいということです。それは、「家の間取り」や「価格」を比較するのではなく、「提案力」言い換えれば「我々お客の要望をどれだけ具体化できる力を持っているか」を比べるために行ったほうがいいと思います。もちろん1社でもかまわないのですが、2社以上で比較したほうが、よくわかると思います。もちろん、これは住宅メーカーだけではありません。建築士にお願いする場合にも当てはまると思います。


主役は誰なのか?

実は、今、女房の友達夫婦が家を建築士に頼んで建築中です。友達夫婦は、その建築士の設計した家が気に入ってお願いしたようなのですが、実は、今回、建築士がその夫婦に設計したキッチンに奥さんは不満があるよう。どうも、食品貯蔵スペースの考え方に一家言もっている建築家らしく、奥さんの要望とは異なる配置になっているらしい。女房は「建築士さんにその配置はいやだといってみたら?」とアドバイスしているようですが、奥さんも言いづらいのか、それとも建築士が譲らないのか、その後変更になったという話は、まだ聞いてはいません。

ところで、ちょっと家からは離れますが、以前東京に住んでいたとき、ラーメンをよく食べ歩いていました。有名店もかなり行きました。でも、いくら有名店であっても「S」という店には、絶対に行きませんでした。

ここのラーメン店主はテレビにもよく出て、旨いと評判なのですが、店主が「俺のラーメンは旨いんだ。旨くないというやつのほうがおかしい」という言い方をするし、ラーメンの命は短いということで、店に入ったら、おしゃべりせず、さっさとラーメンを食わなきゃいけない。おしゃべりをしていると追い出されるという店ですので、思い当たる方もいらっしゃると思います。

私はそこのラーメンを食べていないので、旨いのか旨くないのかわかりません。でも、思うのは、本来、旨いか旨くないかは食べる人が決めることであって、作り手が決めることではない。しかも、同じ駅弁でも汽車に乗って食べるとおいしいのに、家に帰って食べるとそうでもない。また、友達とわいわい言いながら食べるとさらにおいしく感じるように、味には、どこで、誰と、どんな風にして食べるのかということが非常に大きな影響を与えると思うのです。それを無視して、作り手がラーメンの食べ方まで決めてしまっている。この店では、主役が誰かを完全に間違っていると思って、その店には行かないこととしていました。


主役は私たちである

たとえがちょっと長くなりましたが、要は、家のお金を出し、そしてそこに住むのは私たち自身であって、メーカーの担当者でも、建築士でもないということです。なぜ、そこに住む人間より住まない人間の意見を尊重しなければならないのでしょうか。

つまり、本質的に家を造るのは私たちであって、建築士やアドバイザーでしかない。すばらしい家を建てられる建築士というのは、十分な知識技能と、お客の要望を、それまでの自分の経験・知識を活かして最大限実現する能力だと思います。家をリフォームするするテレビ番組はすばらしいけれど、本来アドバイザーであるべき人間を主役としてしまっているので、変な誤解を世間に与えているような気もします。

また、メーカーでも、第18回19回に書いたように、実際には営業担当者の力量が大きく関わってきます。提案力は、営業担当者がかわれば変わると思って間違いないと思います。

私自身、自分たちの要望を実現する力のあるメーカー(営業担当者)なのか、建築士なのかは、実際に家を建てる土地で実際に見積もりしてもらってはじめて、わかることだと思いました。これから家を検討される皆さんには、是非、相見積もりをして、「どれだけ自分たちの要望を実現する力をもっているメーカー(営業担当者)や建築士なのか」を見極めていただきたいと思います。
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