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■ “分離発注"の落とし穴
以前うちのお客さんで、住宅設備工事を仕事にしているひとがいた。 そのひとは、自宅を建てるにあたり、仕事の横のつながりでいろんな業種の職人さんを知っているから、自分が現場監督になり、工務店を入れずに分離発注方式にして、工事費を抑えようと考えた。 そこで各業種の知り合いにそれぞれの工事の見積もりを取ったら、トータルすると工務店の見積もりよりも高くなってしまい、結局分離発注方式を断念されたことがあった。 たぶん、普段工務店の下請けの形で仕事をしているその人たちは、めずらしく直接請け負う仕事が舞い込み、日ごろ工務店に値切られている(!)分、妥当と思う金額を提示したのだと思う。 やはり分離発注を成功させるためには、金額面・実務面双方で折り合いをつけるだけの度胸と覚悟と説得力のある人間が必要だ。
■ 現場監督に白羽の矢
そんなことを考えているうちに一人、適任と思われるひとに思い当たった。 Wさんだ。 彼は二年ほど前に、うちが設計した家を施工した、ある工務店の仕事で出会った大工さんだったが、仕事の段取りもよく、とてもいい仕事をしてくれた。 その彼が、近い将来に独立して工務店をやりたいと言っていたのを思いだしたのだ。 Wさんなら、現場で大工仕事以外の範囲まで、采配を振るうことが出来るのではないか? さっそく連絡を取ってみたら、考えてみたいので資料が欲しいとのことだ。 設計図書を預けて、返事を待つことにした。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 期待して待つこと二週間(ぐらいだったかな?)。 結果は...。 ダメだった。やれる自信がない、とのことだった。 私はすごぉく失望したが、頭のどこかで、『彼にとっては賢明な判断かもしれないな。』と思ったのも、また事実だった。 君子危うしに近づかず。 おっちょこちょいで、呼ばれてもいないのに火の中に飛び込んでしょっちゅうヤケドする私には、到底ありえない結論だったのだけれど。
■ 今さらですが
だけど、他に適任者がいるだろうか? 会社などの組織に属さず、ひとつの工事現場だけのために来てくれる人。 報酬は、短期的に見ると悪い話ではないだろうが、リスクは低くない。 オットと話し合ったが結論はいまだ出ず。 工務店に頼んだ場合、予算との開きは1000万円。 今さらだけど、やっぱり土地にかかった費用が大きすぎたのね〜。 って、落ち込んでいる時間はない。 はやく工事に取りかからないと、銀行も焦ってるよ〜。
■ ニンプ、奮闘する。
土地の売買契約から、一ヶ月が経とうとしていたある休日。 ニンプの私は、未だ着工されない結城家の空き地を見て、ある決意をしていた。 私は身重になってスポーツが出来なくなっていたのだが、オットはそんな私をほったらかして、その日も一人でテニスに行っていた。 オットの目が届かない隙に、ホームセンターと空き地を往復する私。 そして夕方、結城邸建設予定地でオットが見たモノは、今はマンション住まいなので実家に預けている愛犬のための柵と、そこに置かれた、真新しい犬小屋だった。 約28坪の土地の、奥半分。 そこには約14坪の、都会に住む犬一匹のためにはぜいたく過ぎる、イヌの運動場がほぼ出来上がっていた。 それはなかなか工事が着工できないでいるオットへの、私なりの抗議のシルシでもあった。 イヌ牧場の完成まであと一歩。 あとはペンキを塗るだけになっていた犬小屋に、ペンキの刷毛を私からもぎ取って色を塗り始めたオットに向かって、 「ニンプに力仕事させておいて(私が勝手にしたことだが)、一番おいしいとこだけ、いつも持ってかないでよ〜!」と叫んだ私の胸中は、とても複雑だった...。
その後、家の工事が始まるまでの間、イヌ牧場は近所のお年寄りや子供たちが我が愛犬と触れ合う、こころ温まるいこいの場となったのだった。
(※ちなみに柵は、風で飛ばないように土の中にセメントを流して固定したのだが、穴掘り仕事はさすがに、隣の実家に住む兄に頼みました。)
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