不動産の基礎知識 不動産講座
連載5 Vol.5
 資産価値と災害危険度

今回は不動産の「資産価値と災害危険度」について検証します。

◆1.不動産のリスクと資産価値
不動産の資産価値に与えるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか? 住宅を購入する場合、できれば購入する不動産のリスクを頭に入れて購入したいものです。 建物の老朽化による将来の修繕コストは建築士等の専門家に調査してもらうことで、ある程度、予測可能です。 また、購入した住宅に瑕疵があった場合はメーカーの保証などによりカバーすることも可能です。
しかし、予期せぬ天災が発生し、建物が火災や倒壊した場合のリスクは誰がとるのでしょうか?ある程度は保険でカバーができる場合もありますが、限度がありますので、結局その場合の損失は本人が被ることになります。

●住宅(不動産)の災害リスクとは
1)
火災(近隣からの類焼)
2)
地震(倒壊・地盤沈下・液状化)
3)
土砂崩れ(大雨)
4)
水害(河川の氾濫)          等

当然、天災は防ぐことができませんが、可能ならば、予期せぬ天災が起きた場合に少しでも被害の少ないところに住宅を購入したいものです。
このように天災が起きた場合、住宅に与える被害が大きい場所と小さい場所では、少なからずその不動産の資産価値に影響を与えるようです。


◆2.リスクと資産価値の関係
リスクが資産価値にどのような影響を与えるのでしょうか?
当然、リスクが高くなれば資産価値は低くなり、リスクが低ければ資産価値は高くなります。
すなわち、地震がきてすぐに倒壊する住宅と、ほとんど倒壊しない住宅とでは、倒壊しない住宅のほうが価値が高くて当然です。

●リスクと資産価値

◆3.災害が発生した場合の危険度
天災に対する建物そのものの耐久性や倒壊の危険度はそれぞれの住宅メーカーによって異なりますので、各メーカーに問合せが必要となります。
また、その地域に災害が発生した場合の被害予測や危険度は各行政によって調査することが可能な場合もあります。具体的に東京都を例にとってみましょう。

◆4.地震時の災害危険度(東京都)
東京都では大地震が発生した場合、その地域に、“どのような危険が” “どれくらいあるのか”を公表しています。
“どのような危険”は建物と人の観点から「建物倒壊」「火災」「避難」の3つに分類し、“どれくらいあるのか”は1〜5段階で1はもっとも危険度が低く、5はもっとも高いという評価をしています。
なお、これは被害の大小を予測しているものではなく、あくまでその地域がもっている危険性がどれくらいなのかを評価しているそうです。

この東京都のデータをもとに東京23区それぞれの災害危険度を算出し、ランク付けしてみました。
※東京都2004年資料より

●東京23区地震による地域危険度   ※参考
危険度
ランク
市区町村名 建物倒壊
危険度
火災
危険度
避難
危険度

総合
危険度

1 荒川区 3.577 2.981 2.462 3.365
2 台東区 3.130 2.843 3.120 3.343
3 墨田区 3.654 2.538 2.077 2.827
4 新宿区 2.447 2.704 2.855 2.809
5 品川区 2.192 2.977 2.746 2.669
6 豊島区 2.313 2.843 2.699 2.663
7 文京区 2.397 3.147 1.912 2.544
8 葛飾区 3.065 2.213 2.045 2.523
9 大田区 2.381 2.112 2.553 2.507
10 北区 2.823 2.796 1.690 2.478
11 中野区 1.988 3.035 2.235 2.471
12 渋谷区 2.350 2.113 2.138 2.388
13 板橋区 2.104 2.567 2.216 2.336
14 江戸川区 2.418 1.719 2.235 2.240
15 足立区 2.703 2.067 1.751 2.238
16 目黒区 1.909 2.011 2.500 2.148
17 杉並区 1.640 2.597 2.216 2.129
18 江東区 2.732 1.846 1.705 2.074
19 練馬区 1.302 2.158 2.228 1.946
20 港区 1.983 1.479 1.786 1.735
21 世田谷区 1.455 1.765 1.841 1.650
22 中央区 2.092 1.480 1.439 1.551
23 千代田区 1.930 1.487 1.000 1.200
東京都区部平均 2.373 2.325 2.150 2.341
地価公示区別平均ランキング
16
8
21
5
9
7
10
22
14
15
11
3
18
20
23
6
13
19
17
4
12
2
1
 

※東京都都市整備局では各行政区の町名ごとに細かく危険度を評価しております。それぞれの区の中でも危険度が高い地区、低い地区もあります。上記一覧表はそれを機械的に平均化したものです。(「第5回地域危険度測定調査結果」参照)

この表をみると、「住環境がいい」と呼ばれている地域はやはり、災害危険度も低いようです。一概には言えませんが、災害の危険度が不動産の資産価値に少なからず、影響をおよぼしているのでしょうか?



◆5.家を買うことは「安全・安心」も買うこと
一生に一度の買い物ですから、建物の耐久性はもちろん、地域の災害による危険度も少しは調査しておきたいものです。


◆参考 (第5回地域危険度測定調査結果より)

建物倒壊危険度

 建物倒壊危険度は、地震動によって建物が壊れたり傾いたりする危険性の度合を評価したものです。
この危険度は地盤の良し・悪しによっても左右されますし、建物の種類によっても異なります。
 地盤の良し・悪しについては、地盤分類により危険性の大小を評価したほか、液状化の可能性、大規模造成地、埋立地、急傾斜地であるかどうかについても考慮しました。
 建物については、阪神・淡路大震災の被害事例も参考にしながら、構造別(木造、鉄筋コンクリ−ト造など)、年代別、階数などにより分類して、その耐震性能を判断しました。
 建物倒壊危険度の高い地域は、古い木造、古い軽量鉄骨造の建物が多い地域であり、また、谷底低地、沖積低地に分類される地域が多くなっています。
 建物倒壊危険度の高い地域では、新築や改築をする際は、地盤の性質をよく調査し、耐震性の高いものをつくることが大切です。
 また、既存の建物についても、耐震診断を行い、補強をするなどの対策を重ねていくことが必要です。

火災危険度

 火災危険度は、地震による出火の起こりやすさと、それによる延焼の危険性を測定して、火災の危険性の度合を評価したものです。
 出火の起こりやすさは、ガスコンロ、電気スト−ブ、化学薬品などの数や設置方法などから算定し、延焼の危険性は、出火した場合の燃え広がりを予想して、焼失する建物の面積をもとに算定しています。
 火災危険度は、木造建物が密集している地域で高くなり、耐火建物が多く、道路、公園などが整備され、消防活動が円滑に行われる地域では低くなります。
 火災危険度の高い地域では、火気器具などからの出火防止や、防災市民組織などによる初期消火力の強化に努めるとともに、木造建物の建て替えなどによる不燃化や道路・公園の整備などにより延焼拡大を防ぐ対策が必要です。

避難危険度

 地震によって火災が発生した場合には、まず、初期消火に努め、大火災にならないようにすることが大切です。
 しかし、火災が拡大し、生命に危険が及ぶような場合には、避難が必要となります。こうした事態に備えて、皆さんの安全を確保するため、各地域に避難場所を指定しています。
 避難危険度は、これらの避難場所に到達するまでに要する時間と、避難する人の数を組み合わせて評価したものです。
 避難場所までの所要時間が長く、かつ避難する人の数が多いほど、当然、避難危険度は高くなります。所要時間を算定する際は、各避難場所までの距離だけでなく、道路の面積や放置自転車、自動車、倒壊建物などの道路上の障害物、沿道の火災、人の混雑など避難をしにくくする要因も含めて判断しています。

総合危険度

 地域危険度調査は、皆さんに地震の危険性を理解していただき、防災への関心を高めていただくために行っています。
 そのため、総合危険度として、「建物倒壊危険度」、「火災危険度」、「避難危険度」の三つの危険度の和を5ランクにランク分けして表しています。








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