不動産の基礎知識 住宅取得日記

住宅取得日記

第29回
 引越前夜
挿絵
最後の追込み
いよいよ明日は引越。ダンボールに最後の荷物を入れていく。
それと、お泊りセットを準備。

少し前に引越した同僚に、バックに2日分くらいのお泊り道具を
用意しておくと、引越前日と当日に役立つ、とアドバイスをもらったのだ。

もくもくとダンボールを組み立て、持っていくものを詰める。
かなり片付けて、物を捨てたつもりだったが、ゴミ袋はあっという間に
いっぱいになり、ひとつ・ふたつ・みっつ、どこまで増えるのか。

窓のサッシの下のしつこい汚れに格闘することしばし。
こうなってしまうと、普通の洗剤つかってもあまり落ちない。
通販で売ってる、「驚きの洗剤」とか、蒸気でぴかぴか、になる
機会とか、そんなものがあれば早いのかもしれないが、
あるのは雑巾だけ。とにかく拭きとる。

台所、押し入れ、半分クリアーしたところで、もう夕方になっていた。
どけたあとのホコリを拭いて、とりあえずひと段落。

おっと。電話!母からだった。
引越屋さんが荷物を運び出してから、新居で鍵をあけて荷物を入れないと
いけないのだが、その間、荷物を出したアパートの掃除もいるので、
応援をたのんだのだ。
父と一緒に上京して、引越の掃除を手伝ってくれるという。
明日、7時に着くというので、あまり急がなくてもいい、と伝えて切った。

何も二人して来なくても、と思ったが、母は車で上京するときは、
道がわからないし、運転できないから、と、必ず父を連れてくる。
実家の方では、二人で買い物なんで絶対しないし、ましてや出かけるなんて
ない。これはこれで、一緒に外出できる数少ない機会なのかもしれない。
マンションを買うのに反対していた母が手伝ってくれるだけでも、充分だ。

最後のご飯は、どこで食べようか。
ガスコンロを粗大ゴミに出してしまったので、とっくに自炊はできなくなっていた。
ちょっとくたびれたし、力がつくように、うなぎにしよう。
近所で、遅くまでやっているうなぎ屋。晩御飯は何度かお世話になっている。
一人でも気兼ねなく入れるうえに、いかの一夜干しなどのちょっとしたものが
美味しいのだ。

席に座ると、いつものおばちゃんが、「今日はどうするの?」
と聞きにきた。奮発して、うな重の特上を注文。
びっしりとご飯面をおおううなぎのお重とは別に、お皿にうなぎがもう一枚。
もちろん肝吸い&おしんこ付き。
あ〜。うまい。
「・・冷酒、お願いしま〜す。」と言いそうになるのをぐっとこらえて、
番茶を飲んで後にした。

最後の夜

さて、お酒をぐっと我慢したのは、最後に行く場所があったからだ。
夜中、近いのをいいことに、何度も通ったバー。

ドアをもったりと引くと、蝶ネクタイをしたマスターが振り返って
「いよ〜、おかえり」と迎える。
カクテルの味、お酒の味、いろんな勉強をさせてもらった。

最初は、気難しい古本屋のおっちゃんがめずらしく誉めていたので、
気になりだした。

「あの角のバーでチーズケーキがある。このへんじゃ、ま、食べてもいい味だな。」
一人でバーなんて行ったことがないので、なかなか入れなかったのだが、
ある日、ついに行ってみたところ、うわさのケーキを食べることができた。
見た目はシンプルだけど、下のクッキー生地にほんのりシナモンが香って絶妙。
飽きがこない味で、おまけにお酒にもぴったり合うのだ。
ケーキをつまみに飲むというのも妙だが、すっかり気に入って、
毎週のように通っていた。

最後にあのケーキとマスターのカクテルを飲んでおこう。

「引越はどうだい?もう荷物まとまった?」
-まだだけど、また戻ってやります。。ケーキありますか?

ああ、やっぱりうまい。引越したら、なかなか食べられなくなるんだろうな。
そう考えると、更にまたうまい。
一生でこんなにたくさんの回数食べたケーキはこれだけだ。

-じゃ、マスター、元気で。おやすみなさい。

すでに24時。荷造り続行!もう後がない。

最後の荷物は和ダンス。
引越屋さんが縦が長い和服用ダンボールも持ってきてくれたので、
それに次々としわにならないようにまっすぐ収めていく。
和ダンスには個々の引き出しに防虫用にお香が入れてあるのだが、
中身を出していくと匂いも一緒に外に出てくる。
部屋中、何やら雅やか〜な香りが。とにかく必死にしまい続ける。

既に5時。鳥が鳴きだしてきて朝が近い。

引越屋さんは7時30分に、その前に両親がやってくる。

両親が来るまで2時間くらいはあるし、少し仮眠を取ろう。
布団は、布団袋にまとめてしまっていて、引っ張り出すのもめんどうなので、
一番上にあった掛け布団がすぐ出たので、縦半分にくるまって横になった。
きゅうくつだけど、ま、いいや。
座禅の修行僧は一枚の布団に来るまって寝るらしいけども。。。。。
少しうとうしてきたところで、外階段をがんがん上ってくる音。
そして、「ピンポーン」呼び出しが鳴った。
げげ、ま、まさか、ご両親さまご一行はもう来たのか?
ドアを開けると、やはりそうだった。

長い一日の始まりだ。

「まーだ寝てたんか?田舎は朝早いんだよ。ほれ、朝ごはん。」
まぜごはん持参。おかずも登場。お茶もペットボトルが買ってきてある。
さすが母!。さっそく、3人で朝ご飯を食べた。

日曜とはいえ、商店街の中での引越は人出が少ないうちがセ"蕁」
がんばるぞー!

次回へ続く
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