
注目されていた住宅ローン減税の内容ですが、自民党政権で決められた内容を継続することになりました。
今回は2010年以降の住宅ローン減税について詳しく解説します。
住宅ローン減税の具体的な内容
住宅ローン減税は、取得した住宅に入居した時期によって最大控除額に違いがあります。また、住宅ローン減税は所得税(一部住民税からの減税もあり)の減税制度なので、毎年の所得税と住民税の金額によって実際の減税額は違ってきます。
昨年の制度と同様に、住宅の種類(一般住宅と長期優良住宅)によって控除額に違いがあります。なお、所得税額で控除できなかった額がある場合は、その額を翌年度の住民税から減税(所得税の課税総所得金額の5%または9.75万円が上限)されることになります。
建物が「一般住宅」の場合の住宅ローン減税の内容は次のとおりです。

建物が「長期優良住宅」の場合の住宅ローン減税の内容は次のとおりです。

注意が必要なのは、入居時期によって控除額が減っていく制度になっている点です。
一般住宅の場合、2010年入居までは最大控除額が500万円ですが、その翌年の2011年からから最大控除額は100万円ずつ減額され、長期優良住宅は平成22、23年入居までは最大600万円控除ですが、2012年からは最大400万円控除と減額されます。
【備考:長期優良住宅とは】
平成20年11月28日に可決成立した長期優良住宅普及促進法(平成20年12月5日公布)で定められた認定を受けた住宅で、「200年住宅」とも呼ばれていて、次のような要件を満たす必要があります。
【要件の概要】
(1)腐食の防止・地震に対する安全性の確保
(2)住宅の利用状況の変化に対応した構造・設備の変更の容易性
(3)維持保全を容易にするための措置
(4)高齢者の利用上の安全性
(5)省エネルギー性
建築費は一般住宅とくらべて2割ほど高くなるといわれています。また、認定を受けるには、長期優良住宅を建築・維持保全しようとする人が「長期優良住宅建築等計画」の作成をし、所管行政庁(市町村長または都道府県知事)の認定を受けなければなりませんが、具体的な認定方法については、物件の販売会社や建物の施工会社に確認する必要があります。
住宅ローン減税を受けるための条件
住宅ローン減税を受けるためには左記のような条件を満たす必要があります。条件などに不明な点がある場合は、最寄りの税務署に必ず確認するようにしましょう。

住宅ローン減税の具体的な減税効果
それでは、どのくらいの減税効果があるか、事例をもとに検討してみます。
事例の世帯は、住宅ローン減税を受ける10年間の年収は一定で、配偶者控除または配偶者特別控除、また扶養控除がない世帯とし、2010年に一般住宅に入居した場合の住宅ローン減税の合計額を、住宅ローンを3000万円、4500万円、6000万円借りたケースにわけて比較してみます。
住宅ローンの内容は、全期間固定金利3%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、繰り上げ返済なしとします。
検討結果をみると、年収が多く住宅ローンの借入金額が多いほど、減税額は多くなっています。また、年収と住宅ローンの借入金額によっては、2011年に入居するよりも、2010年に入居したほうが有利なケースがあります。

【トピック】税制改正による所得控除の見直し
2010年からの「こども手当て」や「高校授業料の無償化」の導入により、2010年税制改正大綱で所得控除の見直しが発表されました。
住宅ローン減税は所得税(一部住民税からの減税もあり)からの減税制度なので、これまでと同じ収入だとしても、所得控除の制度が変わると、同じ年収でも所得税と住民税の税額が変わり、実際の住宅ローン減税額自体も変わってくる可能性が高くなります。
今回は扶養控除と特定扶養控除の廃止・減額が決定されましたが、今後も配偶者控除の廃止・減額などが引き続き検討されています。
よって、民主党政権による今後の所得控除の見直しについては十分な把握が必要です。

2011年以降の所得税は、子供18歳以下の子供が扶養親族で2名いる場合、扶養控除が38万円×2名=76万円減額されるため、所得税率が10%であれば7.6万円の増税となります。
しかし、住宅ローン減税が適用される期間中は、毎年の住宅ローン減税による控除額が、増税後(所得控除の廃止・減額後)の所得税の税額以上であれば、所得控除の廃止や減額による増税の負担はなくなることになります。
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