日本損害保険協会

耐震特集パート2
これから買う方へ〜マンション編〜

建物を建てる前に、「地盤の現状把握」と「それに対する適切な地盤対策」双方の検討が重要であることを前述しました。調査によって地盤の現状が把握できたうえで、地盤改良や地盤補強といったいくつかある地盤対策のうち、現状に対するもっとも適切な対策を施すことが必要であり、たとえば地盤改良していれば安心とか、一概にいうことはできないのです。
まずは売主さんに、調査によってどのような地盤状況であったか、それに対してどういった対策を施したのか、根拠を確認してみましょう。その説明内容にご自身で判断がつかない場合、専門家に相談するのも有効ですね。


ボーリングデータ
ボーリングデータとは、その土地の性状や、堅い地層(支持層)がどのくらいの深さにあるのかを調べたもの。設計図書の中に必ず入っている重要なデータです。一般的には、マンションの立つ敷地内のいくつかの地点で、専門調査会社の調査に基づいたデータがとられています。
現在は、ほとんどのマンションモデルルーム・販売センターに設計図書が置かれていますので、ぜひ見せてもらいましょう。また建物の基礎は、これらの調査で判明した地盤の状態と、建物の形状を勘案して決定されるのです。

基礎
マンションの基礎工法は、直接基礎(べた基礎)工法と杭基礎工法とに大別されます。ここでは、より多く用いられている直接基礎(べた基礎)工法について説明しておきましょう。

杭基礎工法には、大きく2通りの方法があります。
ひとつは、あらかじめ工場生産された「鋼管杭」「コンクリート杭」などの、いわゆる既成杭を建設現場に持ち込んで施工する方法。もうひとつは、現場で土を掘削しながら鉄筋かごを入れ、そこにコンクリートを流し込み固めて杭をつくる、「場所打ちコンクリート杭工法」です。

後者の杭基礎が採用されている場合、前述のボーリングデータで「支持層」を確認しておきましょう。
「支持層」とは、杭基礎の先端を支えるのに適した地盤のこと。一般的に「支持層」とは、「N値50以上」の地耐力を持つ層とされています。しかし建物の形状や重量等、各種の条件によって、物件ごとに異なるのです。

N値:63.5キログラムのハンマーを75センチメートルの高さから自由落下させ、サンプラー(土のサンプルを集めるもの)を30センチメートル貫入させるのに要する、ハンマーの打撃回数のこと。

耐震・免震・制振
・耐震構造
地震力のすべてを建物全体で受け、大きな地震の際には一部が破損することで、倒壊・崩壊を防ぐ構造です。文字通り、「地震に耐える」構造なのです。現在の新築マンションは、後述する「制振構造」「免震構造」以外のすべてが「耐震構造」であるといえます。

・免震構造
建物と地盤とを切り離し、地震のエネルギーが直接、建物まで伝わらないようにする構造です。おもに、超高層マンションに多く採用されています。
免震構造にはいくつか種類があります。代表的なものは、建物と地盤の間に積層ゴムなどのアイソレータ(絶縁体)やダンパーなどを設置することによって、建物が受ける地震エネルギーを軽減し、揺れを減衰するもの。
地震時の建物自体の損傷が少なく、建物が揺れるスピードはゆるやかであるため、家具の転倒が少ないことなどがこの構造の特徴です。一方、比較的最近採用されたこの構造には、免震装置そのものの耐久性やメンテナンス方法、そのコストといった未知数な点もあります。

・制振構造
地震エネルギーを吸収するための、制振機構が建物に取り付けられている構造です。建物の揺れを軽減することで構造への損傷を防ぐ効果があり、また、敷地や建物の形状の制限を受けずに採用できる特徴が。強風時の建物の揺れにも効果を発揮します。
タワーマンションなどで、建物の形状といった理由から免震構造を採用できないとき、この構造が採用されるケースもあります。


いずれにしても、これら構造に「どれが一番安全」ということはありません。もちろん、しっかりと設計、施工され、メンテナンスが行われているという前提においてです。
ただ免震構造の場合、建物と地盤の縁が切れているために揺れの速度が緩やかで、家具の転倒などによる被害は起きにくいといえるでしょう。

こういったマンションの基本的な構造については、パンフレットで確認することができます。ただし、パンフレットはあくまでも概要が掲載されているととらえておきましょう。必要に応じて、設計図書を見ながら詳しく説明してもらう、専門家に同行してもらうといった対応も検討をおすすめします。

対震枠付玄関ドア
これまでの地震の際、揺れの影響で建物がゆがんだりして玄関ドアが開かず、避難口が確保できなくなってしまった例などを踏まえて、「対震枠付玄関ドア」が開発されました。
一般的な玄関ドアは、遮音性や気密性の確保を優先してドア枠とドアの隙間がほとんどない構造になっています。そのため、地震によって枠が変形したりすると枠にドアが引っかかり、ドアが開かなくなってしまうのです。
「対震枠付玄関ドア」では、ドア枠とドアの間にすき間を設けて遮音性や気密性を保つ一方、地震によって枠に多少の歪みが生じた場合でも、ドアの開閉を可能にしています。そして、可動式のドアガードとセットで採用されていることが重要。

もし大梁(耐震性にかかわる主要な梁)の直下に玄関ドアが配置されるような設計だと、地震力によって梁が変形して、ドア枠やドアにもその影響を与える可能性が考えられます。ドアの設置される位置も、あわせて確認しておきましょう。

対震枠付玄関ドアの有無は、パンフレットでも確認できます。ドアが設置される位置などの詳細については、モデルルーム・販売センターにおいてある「設計図書」から確認できます。

鉄筋
RC造り
RC造り
一般的なRC造(鉄筋コンクリート造)マンションの場合、主要構造となる柱は鉄筋を組み合わせたものと、コンクリートでできています。建物を積んでいくために鉄筋を縦方向に長くつないでいきますが(主筋とよびます)、地震などで柱に強い力がかかったときは、建物の重量と地震の力によってこの主筋が折れ曲がり、主筋はコンクリートから飛び出そうとします。それを防ぐために、主筋に対して横方向の「帯筋」を主筋のまわりに巻いているのです。帯筋には、「スパイラル筋」「溶接閉鎖型筋」などがあります。

帯筋には、かつて問題もありました。帯筋は従来、現場で主筋のまわりに巻きつけられ、その端部を主筋に引っ掛けて固定されていましたが、大きな地震の際に帯筋の端部がほどけ、主筋が飛び出してしまう被害があったのです。スパイラル筋や溶接閉鎖型筋は、そういった問題を防ぐためにつくられたもの。
スパイラル筋は、1本の鉄筋を工場でらせん状に加工し、現場で主筋に巻きつけるように施行していきます。一方溶接閉鎖型筋も工場加工ですが、鉄筋1本ずつを「輪」になるように端部を溶接して出荷され、現場で主筋に巻きつけられます。いずれも、鉄筋に継ぎ目がないために大きな力がかかってもほどけにくい特徴があります。

その概要は、パンフレットに記載されています。詳細は、設計図書から確認できます。

壁
マンションの壁には、大きく2種類あります。
ひとつはコンクリート躯体でつくられた壁で、この壁はさらに「耐力壁」と「雑壁」とに分けられます。このうち、耐震性に重要なのが「耐力壁」。
「耐力壁」は柱・梁で囲まれ、建物の耐震性を考慮したうえで設計・配置されています。あくまでも耐震性を優先するため、開口部の形状や大きさなども制限されます。
一方「雑壁」とは、地震の耐力は考慮されず、重量のみを考慮された「耐震壁以外の壁」のこと。
ふたつめの壁は、住戸の内部で居室同士を区切る「間仕切壁」あるいは「造作壁」と呼ばれるものです。おもに木材や軽量鉄骨の上に、石膏ボードを貼ってつくられています。この壁は建物の耐震性と一切関係がないため、取り壊してリフォームすることも可能です。

このとおり、壁は建物の耐震性に関係するか、直接的な関係がないかで重要度が異なるため、ご自身が検討する部屋を取り巻く壁がどのような種類のものであるか、必ず確認しておきましょう。
パンフレットには記載されていないのが一般的。設計図書で確認しましょう。

エレベータ
現在の新築マンションで採用されているエレベータは一般的に、地震を検知すると自動的に最寄階に停止して利用者の安全をはかるよう、考慮されています。

地震はまず最初に縦波の初期微動(P波:プライマリ・ウェーブ)がおこり、次に破壊力のある横波本震動(S波:セカンダリ・ウェーブ)が襲ってきます。
現在つくられているマンションのエレベータの多くが、この初期微動(P波)をいち早くキャッチし、エレベータを最寄階へ速やかに停止させるものを採用しています。震度がいくつなら止まる、といった設定がなされているわけではありません。
エレベータが停止したあとも、小さな地震の場合はほどなく通常運転再開となります。地震が一定程度以上のものだった場合には、係員が各種の確認をしてから復帰となるため、時間を要するのが一般的。

エレベータの運転技術は年々進化しています。どのようなレベルの技術が採用されていて、特に地震などの有事の際にはどういった状態が予想されるのか、販売員やパンフレットによって確認しておくと安心です。


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地震保険は、地震・噴火・津波による損害を補償します。また、政府と共同で運営する公共性の高い保険です。



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