そこで本記事では、平屋の住宅で暮らすメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。価格相場や1,000万円以内で建てる方法についても紹介しているため、「引越しを検討している」「平屋に住んでみたい」という方はぜひ参考にしてください。
- 平屋の人気は上昇傾向
- 平屋の住宅の間取りイメージ
- 平屋の住宅で暮らすメリット
- 平屋の住宅で暮らすデメリット
- 平屋の住宅の価格相場
- 平屋を1,000万円以内で建てる方法
- ローコストでおしゃれな平屋を建てるポイント
- まとめ
平屋の人気は上昇傾向
平屋とは、1階層のみの建築物です。年々需要は高まっており、1981年〜1990年では521,400戸であったのに対し、2018年では3,685,700戸まで増加しています。3階建て以上の建物より戸数が多く、人気の高い住宅といえます。
階数 | 1981年~1990年 | 2018年 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1階建て(平屋) | 521,400戸 | 3,685,700戸 | |||||||||||||||
2階建て | 4,184,500戸 | 23,905,700戸 | |||||||||||||||
3階建て以上 | 163,000戸 | 1,167,200戸 |
平屋の住宅の間取りイメージ
平家では階段の配置などを考える必要はなく、コの字型やロの字型の間取りにしやすい点が特徴です。中庭を形成することで、外部からの視線を気にすることなく屋外で過ごしたり、洗濯物を外に干したりできます。中庭に近い場所に洗面脱衣室を配置すれば、洗濯物を取り込む手間を大幅に削減可能です。
また、風通しもよくなり、常に爽やかな空気を家の中心まで届けられます。日当たりの悪い部屋が生じたとしても、中庭に面する壁に大きな窓を設置することにより、中庭からの採光で部屋全体が明るい空間になります。
平屋の住宅で暮らすメリット
平屋の住宅ではひとつのフロアにすべての部屋がおさまっているため、転落リスクがなく、小さい子どもや高齢者でも安全に過ごせる構造となっています。また、耐震性が高いほか、メンテナンス費用を抑えられる点も魅力です。これより、平屋の住宅で暮らすメリットをくわしく説明していきます。
効率的な生活動線を作れる
生活動線とは、家の中を移動するルートを線状にしたものです。2階建て以上の住宅の場合、トイレを特定の階のみに設置していることがあるでしょう。トイレのない階に自室がある場合、トイレに行くためには階段を移動する必要があります。一方、平家の場合はトイレも自室と同じフロアにあるため、階段を移動する必要はなく、すぐに目的の場所に向かえる点がメリットです。
家族間のコミュニケーションがとりやすい
平家では一つのフロアに生活スペースがまとまっていることから、家族で顔を合わせる機会が多くなります。各部屋に行くためにリビングを通る間取りにすれば、自然と家族間のコミュニケーションが増えるでしょう。また、部屋と部屋の距離が近く、子どもがどこにいるか把握しやすい点もメリットです。目の届かない場所での事故を防げるため、小さい子どもがいる家庭でも安心です。
バリアフリー対応にできる
平家には階段がないことから、小さい子どもや高齢者でも安心して過ごせます。
階段に手すりを設置したり、昇降機を設置したりすることで2階建て以上の住宅でもバリアフリーに対応することは可能です。しかし、バリアフリーに対応させるための工事には時間や費用が発生します。一方、平家の場合はそもそも階段がないため、特別な工事をおこなうことなくバリアフリーに対応することが可能です。部屋間の段差をなくせば、転倒リスクも大幅に削減できます。
耐震性が高くて安心
平家は2階建て以上の住宅よりも重心が低いことから、揺れによる影響を受けにくく、耐震性が高くなっています。また、シンプルな構造は家全体に地震の振動を分散するため、力をうまく逃がしやすく、亀裂や倒壊リスクが低い点も魅力です。複雑な構造の場合は特定の場所に振動が集中しやすく、1点にかかる負荷が大きくなることから倒壊のリスクが高くなってしまいます。
光熱費を抑えられる
暖かい空気は軽く、高い場所に移動する性質があります。2階建て以上の構造の場合、1階の暖房で暖めた空気がほかのフロアに移動してしまい、なかなか部屋が暖まらないなんてことがありえます。一方、平家では暖かい空気がほかのフロアへ移動しないため、効率的に部屋を暖められて、光熱費を抑えられるでしょう。
また、大きな屋根を活かして太陽光発電をおこなえば、売電収入を確保することも可能です。災害によって停電した際には、非常用電源としても活躍します。
メンテナンスの費用を抑えられる
住宅は数十年と長く住むものであるため、住んでいる途中でメンテナンスが必要になることもあるでしょう。その際、大がかりな足場が必要となれば、多くの費用や手間がかかります。
平家では大がかりな足場が不要なうえに、2階建て以上の住宅よりもメンテナンスの面積が少ないため、メンテナンスの費用や手間を抑えることが可能です。具体的には、一般的な30坪の平屋の場合、外装塗装にかかる費用は40〜80万円程度となっています。
平屋の住宅で暮らすデメリット
平屋の住宅には多くのメリットがある反面、広い敷地が必要であったり、周辺環境の影響を受けやすかったりするなどのデメリットが存在します。後悔しないためにも、デメリットも併せて確認し、対策を知っておきましょう。
広い敷地がないと建てられない
平屋は一つのフロアにすべての部屋が配置されているため、同じ部屋数の2階建て以上の住宅よりも広い敷地が必要となります。さらには、各地域で設けられている建ぺい率に従わなければならず、敷地面積いっぱいに住宅を建てられないため、希望する住宅の床面積よりも大きな敷地を用意しなければなりません。建ぺい率とは、敷地面積に対して建築できる住居の面積の割合であり、住宅の場合の平均は60%です。
「広い敷地が用意できないけれど、広い空間を作りたい」という場合には、ロフトの設置がおすすめです。デッドスペースとなる空間を収納スペースとして活用できるため、普段活動するスペースから収納スペースを減らすことができます。
周辺環境からの影響を受けやすい
平屋の周りに2階建て以上の住宅が多く建っている場合、日当たりや風通しが悪くなってしまいます。日当たりが悪いと、昼間でも照明が必要になるでしょう。また、風通しが悪い場合は、湿気がこもることによってカビが発生しやすくなります。平家は周辺環境の影響を受けやすいため、天窓から光が入るようにしたり、中庭から風が吹き込むようにしたりするなどの対策が必要です。
床上浸水のリスクが高い
水害が発生して床上浸水となった場合、2階建ての住宅では1階よりも上に避難できます。1階のみ浸水している場合は、2階以上に置いているものは水による被害を受けません。
一方、平屋には2階以上がないため、上のフロアに逃げるという選択肢がありません。1階にすべての物を保管することになるため、すべてのものが水の被害を受けてしまうでしょう。平屋を建築する場合は、建築するエリアが浸水しない地域かどうか、ハザードマップで確認しておきましょう。
防犯面の注意が必要
平屋の窓はすべて1階にあるため、外部からの侵入経路が多くなっています。また、2階建て以上の住宅よりも外部から部屋の中を見られやすいため、生活パターンを把握されやすい点もデメリットです。空き巣に狙われないためにも、防犯照明を多く取り付けたり、ガラスに防犯フィルムを貼り付けたりして、防犯対策をおこないましょう。
平屋の住宅の価格相場
土地と建物をセットで販売している建売住宅では、平家の販売数は少なくなっています。理想の平屋が見つかりにくく、注文住宅で建築することが一般的です。
平家は、同じ延べ床面積の2階建ての住宅よりも基礎工事が必要となる面積が広く、高額な基礎工事費用が発生します。そのため、2階建て以上の住宅よりも注文住宅の費用がかかる傾向にあります。
住宅金融支援機構が実施した「2021年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅の建設にかかる平均価格は土地なしの場合で3,572万円、土地付きの場合で4,455万円です。これらは2階建て以上の住宅を含んだ平均であるため、平屋の場合はさらに費用がかかることとなります。
平屋を1,000万円以内で建てる方法
注文住宅による平屋の建築を検討している方の中には、「できるだけ安く建てたい」と考えている方もいるでしょう。そこで、ここでは平家を1,000万円以内で建てる方法を紹介します。
- ・所有している土地に建てる
- ・規格型住宅から選ぶ
所有している土地に建てる
注文住宅を建築する場合、土地代と建物代の割合は3:7程度であることが一般的です。もともと土地を所有している場合は、所有している土地に住宅を建築することで、ローコストとなる可能性があります。
土地を所有している方の中には、「所有している土地ではどのような間取りが可能?」と気になっている方もいるでしょう。ここでは、最低居住面積水準の数値から、間取りごとの広さ目安を算出します。最低居住面積水準とは、世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な面積の水準です。
国土交通省の「住生活基本計画(全国計画)」によると、最低居住面積水準は、単身者の場合で25㎡、2人以上の世帯の場合は「10㎡×世帯人数+10㎡」という計算式で算出される広さです。間取りごとの居住人数の目安から算出した広さの目安を、以下の表にまとめました。
間取り | 居住する人数の目安 | 広さの目安 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1LDK | 1〜2人 |
|
|||||||||||||||
2LDK | 2〜3人 |
|
|||||||||||||||
3LDK | 3〜4人 |
|
規格型住宅から選ぶ
規格型住宅とは、あらかじめ決められた間取りから希望の設備やデザインを選んで建てる住宅です。最初から間取りや内装がある程度決まっているため、打ち合わせの回数が少なく、人件費を削減できることからローコストで建てられる可能性があります。
規格型住宅にはローコストで建築できる点以外にも、工期が短かったり、完成形をイメージしやすかったりするメリットもあります。一方、自由度が低い点がデメリットです。希望する条件が多い場合は、満足できない可能性があります。
なお、規格型住宅はある程度間取りが決まっているため、変形地での建築には向いていません。土地の形状に合わせて間取りを自由に変更できないため、変形地に建築したい場合は注文住宅を選びましょう。
ローコストでおしゃれな平屋を建てるポイント
ローコストでおしゃれな平屋を建てるポイントには、以下のようなものがあります。
ローコストでおしゃれな平屋を建てるポイント
- ・外壁の色や素材にこだわる
- ・ドアと窓のデザインにこだわる
- ・屋根のデザインにこだわる
外壁の色や素材は、平屋の印象を大きく左右する要因のひとつです。演出したい印象に応じた色や素材を選びましょう。たとえば、暖かい印象を与えたい場合には木の素材を取り入れることがおすすめです。
平家はシンプルなデザインであるゆえにドアや窓が目にとまりやすいため、ドアや窓のデザインにこだわることも重要です。ドアと窓で個性の強いデザインを選んだ場合、ちぐはぐな印象を与えてしまうため、外壁や屋根などとトータルで見たときに統一感のあるおしゃれなデザインを選びましょう。
平屋の屋根のデザインは、1つだけではありません。さまざまな形状があるため、どの屋根がおしゃれに見えるのかイメージしたうえで、屋根のデザインを選びましょう。たとえば、片方に流れている「片流れ屋根」を選ぶことで、スタイリッシュでモダンな外観となります。
まとめ
平屋には、効率的な動線を作れたり、家族間のコミュニケーションがとりやすかったりするメリットがあります。バリアフリーにも対応できるため、将来を見据えた住居に向いています。しかし、2階建て以上の住居よりも床上浸水のリスクが高く、ハザードマップを確認して浸水しないエリアを選ぶことが重要です。
平屋の建売住宅の販売数は少なく、平屋に住みたい場合には注文住宅で建てることが一般的です。規格型住宅を選べばローコストで建築できるため、注文住宅だけではなく、規格型住宅も候補に入れてみるとよいでしょう。
アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ
部屋を借りる!賃貸版はこちら
住宅を買う!購入版はこちら