心付けは、あってもなくてもいい
心付けとは感謝のしるしとして渡す、小額のお金や品物のことです。
結論から先に言えば、心付けは必須ではありません。昔は作業していただいた方に心付けを渡す慣習があったようですが、今は一般的ではないというのが本当のところです。作業員の日当は引っ越し代金に含まれているため、チップは受け取らないとしている引っ越し会社もあるほどです。無理に心付けを渡そうとするのは困らせてしまう場合があります。
ただ、「私たちの引っ越しのために、頑張ってくれてありがとう」と感謝の気持ちをどうしても伝えたいという場合もあるでしょう。手伝ってくれる人へのねぎらいを形にしたいという気持ちは自然なものです。
あくまで「能動的に」であれば、心付けを用意するのは間違った行為ではありません。
心付けの相場
現金なら1000円程度が目安
心付けを用意するなら、どの程度の金額がよいのでしょうか。心付けの慣習がなくなった今、高額チップを渡すのは不自然で、作業員も面食らってしまいます。
受け取ってもらいやすい金額の目安は、作業員1人につき1000円程度と考えてください。
現金以外ならジュース、お弁当、お菓子など
とくに引っ越しの心付けにおいては、現金よりも受け取ってもらいやすいからと、休憩時間に飲むお茶や食べ物を渡すケースが多くなっています。ドリンクなら飲みやすいペットボトルタイプ、お菓子は車に置きっぱなしになっても平気なクッキーや煎餅などがいいでしょう。
引っ越しがお昼を挟むようなときには、お弁当を差し入れするケースもあります。引っ越し当日にキッチンは使えないため、近くのスーパーやコンビニなどで買い求めるようにしましょう。
心付けを渡すタイミング
現金なら初めのあいさつ時がベスト
心付けを渡すタイミングは、自分が作業員になったと仮定して考えてみてください。作業前に心付けをいただければ、お客さんの感謝の気持ちが伝わってきて、ぐっと嬉しくなりますよね。作業に向かう気持ちのハリも違うはずです。
心付けは、作業員が初めにあいさつに来てくれたときサッと渡せるよう、玄関に用意しておきましょう。まとめて代表の方へ渡すにしても、ポチ袋は全員分を用意したほうが親切ですし、一人ひとりに感謝を伝えられます。
あいさつ時のタイミングを逃してしまうと、作業が始まって忙しく働いているなかで渡さなくてはならなくなります。現金を持ち歩くのは作業の邪魔になりますし、落としてしまう危険がありますから、必ず初めに渡しましょう。
もし、あいさつ時を逃したら、荷積みを終えて作業員たちが車に乗り込むときに再チャレンジします。
飲食物は荷積みを終えたときが親切
飲食物、とくに飲料を渡すなら、作業がひと段落するタイミングを見計らうのがいいでしょう。作業開始前に渡してしまうと、作業中は車に放置することになるため、休憩時にはぬるい状態で飲まなければならなくなります。
ねぎらいの気持ちを最大限に伝えるには、作業員が休憩に入るときに、適温の状態で提供するのがベストです。荷積みを行っている間は、息をつく暇もないかもしれません。多くは、作業員が車に乗り込むまで待たなければならないでしょう。
できれば、作業おわりの時間を見計らって家族の1人が近くの自販機やコンビニへ買いに走ることをおすすめします。引っ越しのときには冷蔵庫などの家電は使えません。渡す直前に準備して冷たいまま、温かいままで渡すのがいいですね。
タイミングがはかれないときは現金が無難
1人暮らしの引っ越しの場合、外に出れなかったり荷積みが早く終わってしまったりして、買い出しに行くタイミングを逃すかもしれません。
そんなときのために、現金をポチ袋に入れて用意しておくと便利です。作業員が車に乗り込むときに「飲み物代にしてください」と渡せば、心遣いが伝わります。
こんな心付けは嫌だ!心付けのNG
心付けは、あくまで感謝の気持ちを伝えるものです。受け取る側に嫌だなと思わせてしまっては本末転倒ですよね。せっかくですから、受け取る側の気持ちまで想像して心付けを用意しましょう。NGな心付けを紹介します。
大袋のチョコレート菓子
チョコレートは、夏場はもちろん、暖房のきいた車内に入れておくとドロドロに溶けてしまいます。分けてほしいからと大袋を渡した場合も、食べきれず後で困らせてしまう可能性があります。
また、甘いものが得意ではない人も多いものです。
2リットル入りの飲料
人数が多いからと、2リットルのペットボトル1本で間に合わせてはいけません。車内で紙コップは扱いづらく、こぼれた時など、逆に迷惑だなぁと思わせてしまうでしょう。
必ず1人に1本ずつ、飲みやすい500ml入りを用意しましょう。夏場はスポーツ飲料など熱中症対策になるものがおすすめです。
ビール
アルコールは運転中に飲むことができませんし、飲酒運転に厳しくなった昨今では、むき出しのまま車内に置いておくのも落ち着きません。仕事が全部終わってから飲むとしても、その頃にはすでにぬるくなってしまっています。
持ち帰るにも荷物になって面倒です。
むき出しのお札
千円札をそのまま渡されたらどのように感じますか。何だか小さい子に渡すおこづかいのように感じてしまいますよね。お礼として渡すお札はきちんと袋に入れるのが大人のマナーです。
おわりに
本来なら引っ越し当日の作業員に心付けは必要ありません。それでももし渡したいということでしたら、きちんと感謝が伝わるタイミングや品物を心がけましょう。準備を整えて気持ちのよい引っ越しにしたいですね。