「セットバック」ってちょっと分かりづらいけど、図や表を使って解説していくよ!



戸建て住宅購入時に知っておきたい!セットバック付き土地のメリット・デメリットの画像01

セットバックとは何?

そもそも、セットバックとはどういう意味なのでしょうか?

セットバックとは「後退」の意味

セットバックの英語の意味は「戻す」「後戻りさせる」「後退させる」と言ったニュアンスと、計画などを「遅らせる」といった時間的な意味合いがあります。いずれの意味にしても「戻す」というイメージが強い言葉です。

不動産では「家を道路から後退させて建てること」を指す

それでは、不動産用語として使われる「セットバック」とは、どういう意味でしょうか。

不動産における「セットバック」という用語には、2つの意味があります。
1つ目は、建物の上部を下部よりも後退させて造るという意味。2つ目は、家そのものを道路側から後退させて建てるという意味です。
通常、不動産広告に載ってるセットバックは後者の方になり、道路と敷地、そして建っている家との位置関係を示す意味となります。

セットバックはどうして必要なの?

道路の幅を4メートル以上確保するため

道幅が4メートル以下の道路に面した敷地の建物は、道路の中心から2メートル後退させて建てなければなりません。また、道路の反対側が河川などである場合、道路とセットバック分で4メートル以上にならなければなりません。これがセットバックです。

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この「4メートル」という規定は法的に決まっていて、道路の幅をしっかりと確保することが目的です。道幅が4メートルあれば、車2台がすれ違うことができますし、消防車などの大型な車両も通ることができますよね。

ただし、実際には道幅の規定が決まる前に区画された場所もあり、4メートルの幅を満たしていない例も数多くあります。
セットバックはそこで必要になってきます。4メートルの道幅を確保できる位置に建物を造るということです。

セットバックされた土地の容積率・建ぺい率は?

土地の計算で重要になるのが、容積率や建ぺい率です。
容積率は敷地面積に対しての建物の延べ床面積の割合で、建ぺい率は敷地面積に対する建物の投影面積の割合です。セットバックをした土地では、セットバック分の面積を敷地の計算から除外します。

 

▼セットバック有無による、延べ床面積・建物面積の違い
条件:10m四方の正方形の土地敷地100㎡、0.5mのセットバック

セットバックなし セットバックあり
敷地面積 100㎡ 95㎡
延べ床面積 150㎡ 142.5㎡
建物面積 60㎡ 57㎡

例えば、敷地が10メートル四方の正方形の土地で、0.5メートルセットバックすると、セットバックする分の面積が5平方メートルとなります。そして、残りの面積は95平方メートルです。そして、容積率や建ぺい率は、この値から算出することになるのです。
因みに、容積率が150パーセント、建ぺい率が60パーセントの条件で比較すると、100平方メートルの土地が延べ床面積で150平方メートル、建物面積で60平方メートルとなります。一方、0.5メートルセットバックした場合は、延べ床面積で142.5平方メートル、建物面積で57平方メートルに建物が制限されます。

セットバックと斜線制限の関係

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建物を建てる際には、日当たりや通風のために、建築物を干渉させてはいけない傾斜勾配の制限があります。これを斜線制限と呼びます。
建物をセットバックさせれば、この斜線制限を緩和させることが出来ます。これによって、高い建物を建てやすくなります。
特に都市部の住宅地で、狭い土地に建てられる3階建ての住宅では、斜線制限によって屋根の勾配が決まります。屋根裏に居室を設けている家の場合は、その居室の屋根裏部分の圧迫感などが斜線制限によって左右され得るので、建物価格にまで影響を及ぼすこともあり得るのです。

セットバック物件の購入の注意点は?

それでは、マイホームを建てる敷地としてセットバックが必要な場所を選ぶ場合、どの様な注意点があるのでしょうか

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セットバックした部分はどの様に使っても良いの?

セットバックした部分は自分の土地ではありますが、利用には制限が出て来ます。具体的には、門や塀などの設置も出来ず、花壇なども置くことは出来ません。

セットバックした部分は敷地面積に入らない

セットバックが必要な土地を購入する時、セットバックする土地の分まで購入費用が発生します。しかし、セットバック分は除外されるため、敷地面積には入りません。(建物の建ぺい率や容積率の計算から除外されます。)ですから、セットバックの部分が広い土地では、家を建てるための有効な面積が大きく削られることになるので、事前の注意が非常に大切になります。

ちなみに、敷地100平方メートル、セットバック面積が5平方メートル、坪単価が50万円の土地を考えると、セットバック面積が平方メートルで約1.51坪となります。その場合はセットバック部分の価格が75.5万円にもなってしまいます。そして、その部分の価格にまで不動産会社の仲介手数料や税金も乗りますので、支出が意外に大きくなってしまいます。

セットバック部分の費用負担はどうなるか?

セットバックした部分の敷地は、多くの場合が舗装されます。そして、その費用は、道路管理者が負担してくれるケースが多いようです。具体的には、自治体から補助金が出されたり、道路を管理しているオーナーなどが工事費を負担したりするという事例があります。
ただ、道路自体の権利が個人持ちのケースですと、セットバックの費用や舗装の工賃などは負担されないケースもあるようです。費用負担については、土地購入の前に道路管理者に確認をしておくと安心でしょう。

セットバック部分の税金について

不動産には固定資産税が掛かって来ますが、セットバック部分の土地には税金が掛かるのでしょうか?
結論から言えば、セットバック分の土地については税金は免除になります。
ただし、自治体に非課税申請をしない限り免除にはなりませんので注意が必要です。 固定資産税は市町村税なので、非課税申請は各自治体の役所に届け出ることになります。

セットバックが必要な中古住宅を買う場合

セットバック付き中古物件を購入したとしても、そのままでならば使用が可能です。ただし、新たに建て替える場合などはセットバックが必要になります。
また、将来建替えも視野に入れて中古住宅を買う場合は注意が必要です。建替え時にはセットバック後の土地面積での建ぺい率、容積率の適応となるので、古い建物や増築された建物などで、既存の容積率をオーバーしている物件の場合、今と同じ床面積の建物は建てられない場合もあります。後で後悔しないよう購入前には十分な注意が必要です。
また、セットバックをしないままでいると、消防車や救急車などの緊急車両の通行に影響も出ます。災害に備える観点からも、セットバックを考慮した物件となるようにする方が望ましいと言えるでしょう。

セットバック物件にはメリットが無いの?

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セットバックにはデメリットばかりしか無い様にも見えますが、メリットは本当に無いのでしょうか?ここではセットバックのメリットについて考えてみます。

防災の面で役立つ

セットバックは防災の面で有用
消防車や救急車などの緊急車両の通行が目的とされたセットバックですが、道幅が広くなると向かい側の家との距離も遠くなります。そうすると向かい側の家に火災が発生した場合、延焼の可能性が低くなるのです。また、地震などで向かいの家が倒壊した時なども自分の家への被害を少なくすることができるでしょう。

見通しが良く通行に便利…そして防犯上もメリットがある

セットバックは、継続的に行われることによって道幅が整って行くため、見通しが良くなり通行も便利になります。
また、道路の見通しが良くなれば、防犯上もメリットが出て来ます。暗い道は女性や子供には危険が潜んでいますので、安全性の向上が期待出来るのです。

購入価格が安くなる場合がある

セットバックの必要な土地は、道幅も狭く日照も悪い場合もあるため、不人気の物件が意外に多いです。
ただし、不人気な土地であるならば、それは購入価格も下がることを意味します。 確かにセットバック分の土地の費用は発生しますが、土地の形状やセットバックの面積によっては、コストメリットが見込める場合もあるのです。

セットバックを知って、賢く土地購入

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セットバック物件は建築制限などでデメリットもあり、購入にあたっては注意が必要になります。
しかし、不人気物件ならではの「安さ」も期待できるため、100パーセント悪いとも言い切れません。
建築条件やコストの条件、前面道路が公道か私道かなど、トータルでの判断が必要になると言えるでしょう。

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