はこせこ(筥迫):胸元に挟む小物入れ

はこせこ(筥迫):胸元に挟む小物入れ

襟元に挟み入れる、名刺入れくらいのサイズの小さい箱型をした装身具です。江戸時代に武家の女性たちが、たしなみとして鏡や櫛、懐紙、お守りなどを収めて持ち歩いていた小物入れがそのルーツ。今でいう、コスメポーチみたいなものですね。

胸元からちらりとのぞかせるものなので、全体に色とりどりの絵柄が刺繍されたり、房飾りや匂い袋が付いていたりと、小さいながらも存在感はバツグン。さらに、下の写真のような金属製の「びら簪(かんざし)」を、はこせこの上部に付けることもあります。

はこせこ(筥迫):胸元に挟む小物入れ

びら簪は、その名のとおり髪にさす簪が小さくなった形をしています。その昔は髪の乱れをサッと直したり、とがった足の部分を護身用として使うこともあったそうです。

はこせこ(筥迫):胸元に挟む小物入れ

はこせこにびら簪をセットした様子です。動くたびに胸元でキラキラ光って、帯まわりがよりいっそう華やかになります。

しごき(志古貴):七五三と花嫁さんだけが付ける飾り帯

しごき(志古貴):七五三と花嫁さんだけが付ける飾り帯

「扱き」「しごき帯」とも呼ばれます。薄くやわらかい綸子(りんず)などの生地で作られていて両端に長い房飾りがあり、幅30センチ、長さ3メートル程度。細長いストールくらいの大きさです。腰の部分で帯の上から巻き、リボンのように結んで斜め前か後ろにたらして使います。着物の前後に長く垂れてゆらゆら揺れる様子は、七五三の晴れ姿のいいアクセントです。

「しごき」はその昔、着物の裾を引きずっていたころの外出時などに裾をたくし上げるために使われていたもの。現代の成人女性の着物は、引きずることなく帯の部分で「おはしょり」をして丈を調整するので、しごきをつけることはなくなりました。七五三のほかは、花嫁衣裳や舞妓さんだけが使う飾り帯です。

扇子:縁起物として不可欠な携帯品

扇子:縁起物として不可欠な携帯品

先に向かって広がる形から「末広」とも呼ばれる扇子は、七五三に限らず冠婚葬祭の節目節目でよく使われます。七五三のお参りでは、これからの子供の人生が末広がりに栄えるように、という願いをこめて、帯の上に締める紐状の「帯締め」に挿しておきます。

七五三用の扇子は、大人用よりもひと回り小さめ。柄の部分に装飾がされていたり、房飾りが付いていたりと華やかです。扇の面にも鶴や宝船など、おめでたい絵柄が描かれているものが多いです。

昔は7歳になると、童用扇子を常に携帯するようになったのだそう。七五三の小物としての扇子は、縁起物としてもさることながら、以降の「扇子を持つ毎日」のはじまりでもあったのかもしれませんね。


眺めているだけでお祝い気分が盛り上がってくるような、七五三用の小物の数々。七五三当日のお支度のときに歴史や由来を親子で語り合えば、お祝いの日がさらに思い出深いひとときになりそうですね。

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