この記事では20畳の具体的な面積や使い方の例に加えて、20畳のリビング・LDKを検討するにあたって注意すべきことなどをまとめています。広いリビングのある物件への住み替えを検討している方はぜひお読みください。
20畳の広さは、読んで字のごとく畳20枚分です。しかし、地域やメーカー・商品などの違いにより畳そのものの大きさに差があるため、一口に20畳といっても広さが異なってきます。下記の表で主な畳の種類とサイズを見ていきましょう。
例えば中京間の20畳であれば広さは33.12平米(㎡)です。卓球台の国際規格が縦274cm×幅152.5cmなので、20畳のイメージとしては卓球台8枚分の広さを想像するとわかりやすいでしょう。しかし、団地間となると広さは卓球台7枚分より少し小さくなります。
以上のことから、同じ20畳でも地域などによってかなり差が出ることがわかります。部屋探しの際には畳数だけを目安とせず、実際の面積を確認することをおすすめします。
20畳のリビング・LDKでできること
リビングやLDKが20畳あると、実際にどのような使い方ができるのでしょうか。首都圏でファミリータイプのマンションを見ていくと、リビング・LDKの平均は16〜20畳となっているので、一般的なリビングの中でもかなりゆとりのある広さといえるでしょう。そのため以下のような使い方が期待できます。
・ソファを2台以上置ける
広さを生かして2台のソファを対面に置いたり、L字型に配置したりということが可能になります。家族の人数が4〜5人であれば、それ以上に座る場所があるので、来客があっても十分に対応できるでしょう。また、ゆとりのあるスペースを保ちながら1人掛けのソファを複数置くことも可能です。オットマンや寝転び用のクッションを置く余裕もあり、理想的なレイアウトを追求できます。
・10人以上のホームパーティーができる
十分な余裕のあるリビングなので、ホームパーティーを存分に楽しめることでしょう。大人1人が食事するためには幅70cm×奥行50cm程度のスペースが必要といわれています。パーソナルスペースを考慮したうえで1人あたり1畳とすると、家具を置くための場所を除いたとしても、10人以上の大人がくつろげる余裕があります。人との交流が好きな方は、20畳程度の広さのあるリビング・LDKがあれば、余裕のあるレイアウトを構築できます。
・家族が集まり、思い思いに過ごせる
家族のコミュニケーションや食事・休息のほか、テレワークをしたり、子どもが勉強したりとさまざまな用途で使われるリビング・LDK。面積が小さい場合はひとりが作業していると狭く感じたり、気が散ってしまったりすることもあります。20畳の広さがあれば家族それぞれに十分な空間が確保され、適度な距離感が保てるので心に余裕が生まれることでしょう。より快適で、自然に家族が集まりたくなるスペースになるはずです。
・観葉植物や水槽などを飾り付けられる
小さなリビングでは家具を置くだけで精一杯になってしまうこともありますが、ゆとりのある20畳なら大きめの鉢植えの観葉植物や熱帯魚などの水槽も自由に配置できます。ただ生活するだけではなく、心身ともに癒やされる空間としてのリビングの役割を果たすために、観葉植物などの存在は大切です。広い空間を生かし、家族の好みに合わせて効果的に飾り付けましょう。
20畳のリビング・LDKで注意すること
上記の例とは逆に、リビングやLDKが20畳あることにより不便に感じることも。主にコストパフォーマンスの悪さや時間・労力がかかることがあげられます。
・エアコンの効きが悪い・費用がかさむ
20畳に対応したエアコンも販売されていますが、狭い部屋に比べ、隅々に空調が行き渡るまでに時間がかかる場合があります。また、20畳タイプのエアコンにかかる電気代は1時間50円程度。12畳のリビングであれば30円程度なので、比較すると20円もコストに差があることがわかります。さらに、部屋の形やエアコンを設置する位置により、効きが悪くなることも。例えば部屋の形がL字型になっていたり、キッチンが奥まった部分にあったりすると、空調が届かないという事例も報告されています。長方形のリビングでも、エアコンの吹き出し口がどちらか片側に寄っていると、反対側には効きにくくなるでしょう。複数台のエアコンの設置が必要になる場合、その分の工事費や設置費がかかるほか、清掃の手間も増えてしまうので気をつけたいところです。
・照明器具が複数必要になる
大きな窓が設置されたリビングであれば、20畳の広さがあっても日中は十分な明るさを取り入れられます。しかし、夜間や天気の悪い日であったり、窓がリビング側にあったりするLDKの場合は、1つの照明だけではなかなか部屋全体が明るくなりません。シーリングライトやシャンデリアなどメインとなる照明のほか、明るさの行き渡らない部分をカバーするダウンライト、壁に設置するブラケットライトなど、複数の照明器具を設置する必要があります。ただ、器具が増えるほど電気代も大きくなり、交換や清掃の手間もかかることになってしまいます。
・日常的な移動距離や掃除にかける労力が増える
広いリビングだと家具間の距離があるので、何でも手を伸ばせば届くというわけにはいきません。自分の居場所から少し遠い位置にあるリモコンやティッシュなどを取りたいときにも、ある程度歩いて移動しなければなりません。慣れてしまえば気にならなくなりますが、最初のうちは面倒に感じる場合もあるでしょう。また、掃除する際も、面積が広いのでその分の時間や労力、コストがかかってしまいます。手をかけるのが難しい場合は、ロボット掃除機など、広い部屋に対応する家電の導入を検討してみましょう。
20畳のリビング・LDKがある部屋の探し方
20畳の広いリビング・LDKのある物件に憧れがあっても、あまり考えずに決めてしまうと家族間で価値観の行き違いが発生する場合があります。せっかくの家族団らんの場がケンカの原因になってしまっては意味がありません。部屋に対する一人ひとりの価値観やイメージを尊重し、よく話し合ってから決定しましょう。
また、頭の中のイメージや図面上のシミュレーションだけで決定してしまうのも危険です。夢を描いて入居したのに、実際に暮らしてみて「こんなはずじゃなかった…」と後悔するのはもったいないことです。モデルルームの内見へ行き、そこで暮らしてみる感覚をじっくり確認しながら検討していくことが大切になります。
家族との話し合いやモデルルームの内見についてはいくつかのポイントがあるので、具体的にどのような点に注意すればよいかぜひ押さえておいてください。
家族間の話し合い
家族間で話し合ったほうがよいのは、以下の3点です。
・リビングでの過ごし方
家族構成や年齢、ペットがいるかどうかなどにより、それぞれが過ごしたいイメージが異なってきます。小さなお子さんを思い切り遊ばせたい、ゆっくりとくつろぎたい、仕事や勉強をしたい、ホームパーティーを開催したい…など、家族の思い描くリビングの使い方に行き違いがあると、あとから不満の原因になってしまうことも。事前にすり合わせをしておきましょう。
・本当にその間取りでよいのか
広いリビングに憧れるばかりで、そのほかの部屋が少なかったり狭くなったりすると、不便を感じることがあります。家族によっては、リビングよりも自分ひとりの部屋が欲しかったり、広々としたキッチンで料理をしたいと考えていたりするかもしれません。それぞれのライフスタイルをすり合わせながら、本当に20畳のリビングが必要なのか再確認しておく必要があります。
・広いリビングのデメリットを受け入れられるか
先にもお伝えした通り、リビングが広いとさまざまなコストや手間がかかります。理想のリビングを手に入れて、あとは家族任せ…ということが起きれば、家庭内トラブルに発展しかねません。実際にどのようにメンテナンスをしていくのか、コストをカバーする余裕があるのかなどをよくシミュレーションし、可能かどうか話し合いましょう。
モデルルームの内見
モデルルームの内見時のポイントは、以下の4点です。
・動線や設備の使いやすさをチェック
実際にそこに住んだときに家族がどう動くか、朝起きてから夜寝るまでの動線を想像してみましょう。特に、家事をする際の動きが効率的にできないと、ストレスがたまりやすくなります。洗濯物を干すときにリビングを通るか、料理を運ぶときにキッチンからダイニングまでの距離は適切か、などということをシミュレーションするとよいでしょう。また、照明のスイッチや床暖房の有無、収納は使いやすいかどうかもチェックしておきましょう。違和感を抱くことなく、毎日の暮らしが心地よく進むことが理想です。
・家具家電を実際に使うものに置き換えて考えてみる
モデルルームにはセンスの良い家具家電が配置されており、思わず夢見心地になってしまいがちですが、しっかりと現実で使うものに置き換えてイメージしていくようにしましょう。現在の手持ちの家具を使うのか、新しく購入するのかということも含めて検討していきます。できれば事前作業として間取りに理想のレイアウトを書き込み、それを片手にモデルルームを内見すると想像がしやすくなります。
・日当たり・風通しに問題はないか
リビング・LDKでは日当たりがとても重要になってきます。部屋や窓の向いている方角はどちらか、何時ごろにどのくらいの自然光が入るのか、周辺に日当たりを阻害する建物がないかなどを確認しておきます。同じように、リビングをはじめとした家全体への風通しをチェックしておくことも必須です。リビングの反対側からしっかり風が入るか、風の行き届きにくい場所はないか見ておきましょう。
・近隣環境や窓からの眺望
住宅展示場やまだ建設中の新築マンションでは、モデルルームが現地とは別の場所に設置されている場合があります。上記の日当たりにも言えることですが、窓から見える景色・周辺の環境などはモデルルームだとわかりにくいことも。実際の場所でないとわかりにくい情報は、地図でチェックしておくだけではなく、しっかりと担当者に確認して把握する必要があります。またモデルルームの内見とは別に、実際に現地へ行ってみると近隣環境がわかり安心できます。昼と夜では別の顔を見せることもあるので、時間帯をずらして何回か足を運ぶのがベストです。
20畳のリビング・LDKのレイアウト
同じ20畳のリビング・LDKでも、縦長・横長・正方形のほか、L字型になっているタイプなどさまざまです。部屋の形により、特徴やレイアウトの際のポイントが異なってきます。ここでは、縦長・横長・正方形のリビング・LDKのレイアウトについてお伝えします。
20畳の縦長リビング・LDK
縦長リビング・LDKの特徴は、三方を壁に囲まれ、短い方の壁面に窓がついていることです。窓側がリビング、奥がダイニングやキッチンになっている間取りが多いでしょう。自然光がキッチン側にまで届きにくいのがデメリットともいえますが、リビングの隣に和室などがある場合はそこにも窓があり、仕切りを開け放つとやや明るくなる場合もあります。家具のレイアウト次第では狭く感じてしまうこともあるので、広さを活かせる配置ができるのが理想です。
キッチン側からの開放感を保つには、部屋の形に合わせて家具をキッチンと直角に置くなど、光や視線を遮らない工夫が必要です。ソファなど圧迫感の出やすいものは、壁に沿って設置するのも1つの手。リビングダイニングにして家具をまとめるのもよいですが、20畳の広さがあればあえてソファなどで仕切り、リビングとダイニングを分けるのもおすすめの使い方です。ダイニングテーブルがキッチンカウンターに接続する形だと、料理を出す手間が省けたり、何よりも調理中の家族とコミュニケーションが楽しめたりします。過ごし方に合わせて工夫していきましょう。
20畳の横長リビング・LDK
横長リビング・LDKの特徴は、壁面の長い方に窓があり、その反対側にキッチンが設けられて左右どちらかに寄せられている形です。眺望がよく部屋全体に自然光が入り、ベランダや庭とつながっていることも多く、開放感があります。しかし、縦長リビングに比べて家具の配置が難しかったり、窓が大きいと日が当たりすぎて暑かったりなどの問題点もあります。また、隣に部屋がある場合、リビングの光を取り入れることが前提とされるので窓のない空間になることも多いです。
横長リビング・LDKの場合はキッチン側がダイニング、そうでない方がリビングという役割が自然に決まり、その間が主な生活動線となるでしょう。壁に沿って家具をレイアウトしにくいですが、ソファでリビングとダイニングの間を仕切ると生活スペースをはっきり分けることができ、家族で別の作業や片付けがしやすくなるなど便利です。しかし、20畳の広さを思いきり味わうなら、ソファを窓側か壁側に寄せて空間を大きく取るのもおすすめ。大人数でのホームパーティーなど、リビングとダイニングを一体にして使いたい場合にぴったりです。
20畳の正方形リビング・LDK
縦と横の比率が同じである正方形のリビング・LDKは、最も家具の配置が難しいといえます。リビングとダイニングの区分けがしにくく、両者の間が狭くなってしまったり無駄に空間ができてしまったりするためです。ただ、その分長方形の部屋では難しい個性的なレイアウトを楽しめるのも、正方形リビングの魅力です。
例えばソファを壁に沿ってL字型に配置すれば、広い空間を有効活用できます。小さな子どもが遊んだり、寝転んでゆったりとくつろいだりできる、貴重なスペースになるでしょう。ダイニングテーブルは独立させずキッチンに隣接させてカウンター風にしたり、コンパクトなものを選んでリビングスペースを大きく取ったりするのがポイントです。また、リビングダイニングとして家具をまとめれば、その分フリースペースが広く取れるので自由度が高まります。
まとめ
ここまで、20畳のリビング・LDKの具体的な広さ、実際にできることや注意点をお伝えしました。一家団らんの場所として広いスペースは魅力的ですが、実際に住むにあたっては事前の下調べや家族との話し合いを重視し、全員が納得したうえで決定することをおすすめします。また一口に20畳といっても、縦長・横長・正方形など形によって家具の置き方や使い方が異なるので、理想のスタイルに応じて選びましょう。しっかりとプランを立ててから住み替えをし、充実したお家時間を楽しんでください。
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