賃貸契約の初期費用の相場は?内訳や値下げ交渉できる項目・タイミング

新生活や引っ越しはお金のかかるイベントであり、なるべく賃貸契約時の初期費用は抑えたいところです。相場や内訳などをチェックして、初期費用をおさえる方法を探っていきましょう。



賃貸契約にかかる初期費用の相場

賃貸契約の初期費用の相場は?内訳や値下げ交渉できる項目・タイミング

賃貸契約時の初期費用とは、住み替える先の物件について必要な費用のことを指します。主に敷金、礼金、火災保険料などが含まれます。これまで住んでいた物件の残りの家賃や引越し代などは、初期費用には含まれません。

物件や貸主によっては、礼金なし、連帯保証人がいれば保証金は不要、とするケースもあります。また、敷金や礼金は家賃の1~2ヶ月分の場合が多く、そのためそれぞれの家賃の金額によっても初期費用は変動します。初期費用の相場としては、家賃のおよそ4.5~8倍程度が目安とされています。

       
家賃 初期費用の目安
60,000円 270,000~480,000円
80,000円 360,000~640,000円
100,000円 450,000~800,000円

賃貸契約に必要な初期費用の内訳

賃貸契約の初期費用の相場は?内訳や値下げ交渉できる項目・タイミング

賃貸契約にかかる初期費用は、主に下記の9項目があげられます。

                     
項目 費用の相場 例)家賃75,000円の場合
敷金 家賃1~2か月分 75,000~150,000円
礼金 家賃1~2か月分 75,000~150,000円
前家賃 家賃1か月分 75,000円
日割家賃 (家賃1か月分÷30)×日数分 例:4月20日入居
27,500円(11日分)
仲介手数料 家賃0.5~1か月分 37,500~75,000円
保証会社利用料 家賃0.5~1か月分 37,500~75,000円
火災保険料 15,000~20,000円 15,000~20,000円
鍵交換代 10,000~20,000円 10,000~20,000円
クリーニング代 30,000~40,000円 30,000~40,000円
合計 355,000~605,000円
(※日割家賃は除外)

敷金と礼金は、家賃1~2ヶ月分、仲介手数料は家賃0.5~1ヶ月分の場合が多いです。また保険会社利用料や火災保険料、クリーニング代などは、貸主や管理会社が委託する業者により価格が前後します。さらに鍵交換代は業者や鍵の種類により異なり、より防犯性の高い鍵ほど値段が高くなる傾向があります。

これらをふまえ、仮に家賃を全国の平均月額家賃から75,000円と仮定すると(国土交通省住宅局「令和3年度住宅市場動向調査報告書」より)、合計金額は355,000~605,000円という結果に。これは家賃の約4.5~8倍であり、かなり金額に幅があることがわかります。

上記の合計には日割家賃が含まれていませんが、日割家賃を含める場合や、礼金がない場合、保証会社を利用しない場合なども想定すると、さらに金額は前後すると考えられます。

敷金

敷金とは、物件から退去する場合に原状回復のクリーニング代として使用するために、担保としてあらかじめ貸主にあずけておく保証金のことです。原状回復後の精算で残金が発生すれば返還されます。

敷金は家賃の1~2ヶ月分の場合が多いです。なかには敷金なしの物件もあります。敷金なしの物件では、その分が家賃に上乗せされていたり、短期で退去する場合に違約金が発生する可能性があります。また、クリーニング代を別途請求することがあらかじめ決まっているケースも。契約時にしっかり確認しましょう。

礼金

礼金とは、借主が貸主に対して物件を貸してもらうお礼として支払う金額のことを指します。家賃1~2ヶ月分の場合が多く、敷金と違い基本的に返還されません。しかし近年は、借主を確保するために場所や時期によっては、礼金なしと設定されている物件も増えてきています。

前家賃

前家賃とは、賃貸契約時に前もって契約月の翌月の分の家賃を支払うことを指します。基本的に賃貸物件は家賃を前払いで支払う仕組みであり、契約時に前家賃として翌月分の家賃を支払います。

なかにはフリーレントといって、入居後の一定期間、家賃が無料になるという物件があります。例えばフリーレント期間が1ヶ月で月末入居であれば前家賃を支払わなくて済む、ということになります。

日割家賃

日割家賃とは、契約した月の残り日数分の家賃のことを指します。その日数分の家賃を計算して、契約時にまとめて前払いで支払うケースが多いです。

計算方法としては、家賃÷月の日数×入居日数 となります。

例えば、家賃70,000円の物件に11月20日から入居した場合は
70,000÷30×11(20~30日)=25,663円となります。

日割家賃をおさえる方法としては、ひとつは月末に入居するという方法です。単純にその月の入居日数が少なくなるので日割家賃も少なくなります。また、前述したフリーレント物件を探すという方法もあります。フリーレントは入居後の家賃が一定期間無料になるので、期間によっては日割家賃を無料にできます。

仲介手数料

仲介手数料とは、賃貸物件を契約する際に仲介する不動産会社に支払う手数料を指します。仲介手数料は、家賃の0.5~1ヶ月分+消費税が一般的な目安となります。

仲介手数料を値引き交渉することは基本的には難しいようです。しかし、貸主が不動産会社の場合や、不動産会社を仲介せず貸主と直接取り引きをする場合、UR都市機構、住宅供給公社の物件では仲介手数料はありません。

保証会社利用料

保証会社利用料とは、家賃の保証会社を利用する際に支払う利用料のことを指します。保証会社は、借主の家賃を保証するサービスを提供しています。保証会社のサービスに加入すると、借主が家賃滞納した場合に、代わりに保証会社が家賃を建て替えて貸主に支払います。

保証会社利用料の相場は、大体家賃の0.5~1ヶ月分です。さらに、1~2年ごとに更新料として1万円前後を支払う必要があります。保証会社を利用することで、借主は連帯保証人をたてる必要がなく、貸主は家賃を滞納されたとしても、保証会社から支払いを受けることができるというメリットがあります。

保証会社を利用したくない場合は、連帯保証人を立てるだけで借りることができる物件を探す、という方法もあります。

火災保険料

火災保険料とは、火災や漏水などで自分の家財、あるいは借りている物件を損傷した場合に、保証を受けるための保険に加入する保険料を指します。「家財保険」、「借家人賠償責任保険」、「個人賠償責任保険」の3つをパッケージ化したプランを案内されるケースが多いです。

費用の目安は、だいたい15,000~20,000円です。火災保険はだいたい2年契約の場合が多く、2年ごとに更新が必要となります。更新の際に次の2年分の保険料を支払います。火災保険に加入せず、火災保険料を支払わないということは基本的にはできません。賃貸契約を結ぶ際に火災保険加入を必須の条件としているケースがほとんどだからです。

火災保険料を少なくおさえたい場合は、自分で火災保険を探すという方法があります。ネット上の損害保険会社には、割安なうえ補償も手厚い火災保険がたくさんあります。なかには、1年契約で年間保険料4,000円から加入できるプランも。賃貸契約や引越しは準備が多く忙しい時期ですが、もし余裕があれば検討してみると費用をおさえられる可能性があります。

ただし、不動産会社指定の火災保険に加入することが必須の場合もあります。必ず確認しましょう。

鍵交換代

鍵交換代は、鍵を交換する際の費用を指します。交換業者の作業料金と、鍵本体の実費をまとめて鍵交換代としていることが多いです。費用の目安としては、10,000~20,000円が一般的です。より防犯性の高いディンプルキーやカードキーに交換する場合は、これより少し金額が上がります。

鍵交換代は借主が負担するケースがほとんどですが、国交省のガイドラインには、鍵の取替えについて「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。」とあります。このガイドラインに則り、貸主に鍵交換代を負担してもらうよう交渉して費用をおさえる方法もあります。

クリーニング代

クリーニング代は、退去後に物件内を清掃業者がクリーニングする際の費用のことです。クリーニング代の目安は大体30,000~40,000円ですが、部屋の広さや部屋数の多さによって多少前後する場合があります。

クリーニング代を少なくおさえるために、退去時に部屋を自分で掃除することはあまり意味がありません。もちろん、マナーとして、借りた物件を返す際にきれいに掃除することは必要です。しかし、清掃業者がおこなうクリーニングは特殊なもので、一般的な掃除とは違う専門的なクリーニング作業となり省略することはできません。

賃貸契約の初期費用はいつ払うか

賃貸契約の初期費用の相場は?内訳や値下げ交渉できる項目・タイミング

初期費用の支払いは、入居審査の通過以降に行います。原則として契約締結の後に支払うことになっています。物件の管理会社、あるいは仲介した不動産会社から請求されることになります。ただし、契約開始日(入居可能になる日)や契約書類作成の日程によっては、初期費用の支払いが先になる場合もあります。

初期費用の支払い方法は、銀行振込で支払うのが一般的です。銀行振込は、銀行の営業時間内におこなう必要があります。営業時間外だと翌日の振込扱いになるため注意しましょう。また、不動産会社によっては契約時に現金で支払う方法や、クレジットカード払いが使える場合もあります。

賃貸契約の初期費用は値下げ交渉できるか

賃貸契約の初期費用の相場は?内訳や値下げ交渉できる項目・タイミング

賃貸契約の初期費用は、家賃のおよそ4.5~8倍となり高額となります。可能であれば値下げ交渉をしたいところですが、貸主との値下げ交渉は基本的に難しいようです。

ただ、初期費用全体を値下げすることは難しいものの、項目の中で、たとえば礼金などは交渉できる可能性もあります。さらに、住まい探しや引っ越しには繁忙期と閑散期があります。繁忙期に貸主と交渉するのは難しいですが、閑散期であれば、なかなか借り手の見つからない物件などは値下げ交渉がうまくいく可能性があります。

値下げ交渉できる項目

初期費用の中には、値下げ交渉できる可能性のある項目もあります。

値下げ交渉できる可能性がある項目
・敷金
・礼金
・前家賃・日割家賃
・仲介手数料
・火災保険料
・鍵交換代
・保証会社利用料

・敷金
交渉するタイミングによっては、最大で敷金なし、になる可能性があります。ただし、敷金は物件退去時の原状回復費として使用するので、敷金なしになった場合、退去時に割高なクリーニング代を請求される可能性も。

・礼金
礼金は物件の持ち主へのお礼以上の意味はありません。貸主が早く空き物件を借りてほしいと思っている場合は、交渉次第で礼金なしになる可能性があります。

・前家賃・日割家賃
前家賃と日割家賃は、フリーレント物件があるように、交渉次第では数日~数週間分を値引きしてもらえる可能性があります。

・仲介手数料
仲介手数料は、貸主ではなく仲介している不動産会社が決めている手数料です。これも交渉次第では減額してもらえる可能性があります。

・火災保険料
火災保険には加入する必要がありますが、不動産会社が紹介したプランより割安な保険を、自分で加入することができれば実質値引きとなります。ただし、不動産会社によっては指定したプランに加入する決まりになっている場合もあります。

・鍵交換代
鍵の交換については、「賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる」という国交省によるガイドラインにより、貸主側の負担する費用です。この点をふまえて貸主に交渉すると、鍵交換代を負担してもらえる可能性があります。

・保証会社利用料
連帯保証人をたてるので保証会社を利用せず、利用料を支払わずにすむという方法があります。ただし、連帯保証人のみで保証会社を利用しなくても契約できる、という物件に限ります。

値下げ交渉のタイミング

初期費用の値下げ交渉を成功させるためには、交渉を持ちかけるタイミングも重要です。物件を選び、見積もりが出来上がった段階から契約書を用意するタイミングがおすすめです。見積もりの金額も入居する意思もお互い明らかになっているため、交渉がしやすく不動産会社としても応じてくれる可能性が高くなります。もちろん、マナーや節度を守り誠実な態度で話し合うことが大切です。

また、値下げ交渉成功のためには時期も重要です。春先の繁忙期は不動産会社がとても忙しく借り手もたくさんいるため、値下げ交渉に応じてもらえる可能性は低いでしょう。夏場の閑散期であれば、値下げ交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。

賃貸契約の初期費用がどうしても払えないときの対処法

賃貸契約の初期費用の相場は?内訳や値下げ交渉できる項目・タイミング

賃貸契約時には、家賃からだいたいの初期費用を想定することができます。月々の家賃の支払いは可能でも、この初期費用を用意するのが難しいという場合もあるでしょう。対処方法としては、「クレジットカード払いや分割払いを利用する」、「敷金・礼金なしの物件を探す」、「フリーレント物件を探す」という方法があります。

分割払いの相談をする

賃貸契約の初期費用の支払いは基本的には一括払いですが、難しい場合にはクレジットカード払いや分割払い、後払いを利用できます。

大手の不動産会社であれば、だいたいクレジットカード決済を利用することができます。現金を用意する必要もなく、クレジットカードの利用によるポイントがつく点もメリットです。

デメリットとしては、分割払いによる金利や手数料など、余計な出費が増えてしまう点があげられます。突然引っ越さなくてはならない場合や、新しい家財にお金をかけたい場合、まとまった金額は用意できないが、月々の支払いには対応できる場合などは、クレジットカード払いや分割払いを検討してみるとよいでしょう。

敷金・礼金なしの物件を探す

数ある賃貸物件のなかには、敷金・礼金がどちらもかからない物件もあります。敷金・礼金を合わせると大体家賃の2~4ヶ月分となります。この費用がかからず、初期費用をおさえることができるのは大きなメリットです。

デメリットとしては、敷金の代わりにクリーニング代を請求される可能性があることです。また敷金なしの分を家賃に上乗せされていて相場より家賃が高いケースや、短期間で退去する場合に違約金が発生するケースがあるので注意が必要です。

とはいえ、初期費用をできるだけ抑えたい場合や、分割払い可能なクレジットカードが使えない場合などは、検討してみるとよいでしょう。

フリーレントの物件を探す

フリーレントとは、一定期間家賃が無料になることを指します。貸主や物件により無料期間は様々ですが、数日から1~2ヶ月というケースが多いです。

フリーレント物件のメリットとしては、初期費用を抑えられる点です。例えば、入居月を含めて2ヶ月家賃無料のフリーレント物件であれば、日割家賃と前家賃を初期費用から減らすことができます。また、契約日や引っ越し日の都合で、前の住まいの家賃と新居の家賃が同時に発生してしまう「二重家賃」もなくなります。

デメリットは特にありません。ただし、注意点としては、フリーレント物件は条件として大体1~2年は住み続ける必要があり、万が一短期間で退去する場合は、違約金が発生する、またはフリーレント分の家賃を支払うなどの必要が出てきます。そのため、転勤や短期間での引っ越しの可能性がある場合は、フリーレントではない物件がいい場合もあります。

フリーレントをつける目的は借り手を見つけやすくするためです。そのため、閑散期やあまり人気のない物件などはフリーレントをつけてもらう交渉の余地があるかもしれません。その物件を契約する意思を明らかにして、短期間でもフリーレントをつけてもらえないか相談してみるのもひとつの方法です。

まとめ

住み替え時は、賃貸契約時の初期費用に加え、引っ越し代や新しい家財代など色々と費用がかかるものです。賃貸契約時の初期費用は、住み替え時の費用全体でみるとかなり高額です。しかし初期費用の項目ごとにみてみると、費用を抑える方法は意外とたくさんあります。物件探しの早い段階から初期費用の項目を意識して探してみると、費用をおさえられる良い条件の物件が見つかるかもしれません。

アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ

部屋を借りる!賃貸版はこちら

住宅を買う!購入版はこちら