本記事では、不動産の価格推移について、これまでの推移とともに、今後どのように推移していくと予想できるのか、またどのようなことが不動産価格に影響を及ぼすのかなどご紹介していきます。
家の購入や売却を考えている人は、不動産価格の推移や予測を知ることができ、ご自分の売却タイミングを図るためのヒントを得られるでしょう。
不動産価格の推移とは
不動産の価格は、買い手と売り手がいて成り立つものです。ある物件を3,000万円で売りたいという人がいたとして、その物件に3,000万円の価値があるとい買い手が思わなければ取引は成立しません。
そのため、同じ物件であっても経済状況や物件の金利の開発状況などさまざまな要因に基づき、取引価格は決定されます。
また、不動産価格は単に取引価格以外にも税金を決めるための指標もあります。具体的には、相続税路線価や固定資産税評価額のことでこれらの指標はプロの手により経済状況や物件の状況を鑑定して算出されるのです。
以下にて、実際にこれまでどのように不動産価格は推移して、また今後どのように推移していくことが予想されるのかなど見ていきましょう。
2022年までの不動産価格の推移
ここでは、2022年までの不動産価格推移を見ていきましょう。
全国の不動産価格の推移
まずは、全国の不動産価格推移です。
ここでは、国土交通省が公表している不動産価格推移を見てみましょう。
2022年12月 | 2021年12月 | 2020年12月 | 2019年12月 | 2018年12月 | |||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
住宅総合 | 138.3 | 128.0 | 120.5 | 118.1 | 119.8 | ||||||||||||||||||||||||||||||
住宅地 | 127.8 | 120.8 | 108.3 | 101.4 | 106.0 | ||||||||||||||||||||||||||||||
戸建住宅 | 131.8 | 116.8 | 116.4 | 113.3 | 114.8 | ||||||||||||||||||||||||||||||
マンション | 218.3 | 227.8 | 210.2 | 206.5 | 193.1 |
参考:国土交通省|不動産価格指数(住宅)の作成方法
なお、不動産価格指数は2010年1月~12月までの平均値を100として算出されています。
全国の不動産価格指数を見てみると、近年は概ね右肩上がりではあるものの、マンションの価格は伸び悩んでいると見ることができます。一方で、戸建住宅や住宅地の価格が上昇しており、全体としてプラスとなっているといえるでしょう。
首都圏の不動産価格の推移
ここでは、関東における不動産価格の推移を見てみましょう。
国土交通省のデータによると、関東地方の不動産価格の推移は以下のようになっています。
2022年12月 | 2021年12月 | 2020年12月 | 2019年12月 | 2018年12月 | |||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
住宅総合 | 139.7 | 126.7 | 117.2 | 114.1 | 113.3 | ||||||||||||||||||||||||||||||
住宅地 | 116.8 | 108.3 | 102.5 | 101.2 | 101.8 | ||||||||||||||||||||||||||||||
戸建住宅 | 119.4 | 108.1 | 101.1 | 100.1 | 100.8 | ||||||||||||||||||||||||||||||
マンション | 180.7 | 165.0 | 150.5 | 142.5 | 139.1 |
参考:国土交通省|不動産価格指数
首都圏の不動産価格指数を見てみると、全国と同様、近年はおおむね右肩上がりであり、特にマンションの価格上昇が顕著で、その影響もあって住宅総合が上昇しているということが分かるでしょう。
主要都市の不動産価格の推移
次に、主要都市の不動産価格の推移を見てみましょう。
主要都市の不動産価格の推移については、毎年国土交通省より発表される公示地価が参考になります。
下記は、前年からの変動率を示した表です。
2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 1.4 | 0.5 | △0.4 | 0.8 | 0.6 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三大都市圏 | 東京圏 | 2.1 | 0.6 | △0.5 | 1.4 | 1.3 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
大阪圏 | 0.7 | 0.1 | △0.5 | 0.4 | 0.3 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
名古屋圏 | 2.3 | 1.0 | △1.0 | 1.1 | 1.2 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地方圏 | 0.4 | △0.1 | △0.6 | 0.0 | △0.2 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地方4都市 | 8.6 | 5.8 | 2.7 | 5.9 | 4.4 |
参考:国土交通省|令和5年地価公示
住宅地の推移を見てみると、2019年にかけて緩やかに右肩上がりに上昇、あるいは横ばいだったものが、2020年にコロナショックが起こり大きく下落、その後、コロナ禍の規制が徐々に解除されてきた2022年には回復してきていることが分かります。
特に伸びが顕著なのが地方4都市で、一方で大阪圏は伸び悩んでいると見ることができるでしょう。
次に、商業地を見ていきましょう。
2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 1.8 | 0.4 | △0.8 | 3.1 | 2.8 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三大都市圏 | 東京圏 | 3.0 | 0.7 | △1.0 | 5.2 | 4.7 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
大阪圏 | 2.3 | 0.0 | △1.8 | 6.9 | 6.4 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
名古屋圏 | 3.4 | 1.7 | △1.7 | 4.1 | 4.7 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地方圏 | 0.1 | △0.5 | △0.9 | 0.3 | 0.0 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地方4都市 | 8.1 | 5.7 | 3.1 | 11.3 | 9.4 |
参考:国土交通省|令和5年地価公示
商業地については、2019年まで東京オリンピックやそれに伴うインバウンド需要もあり、住宅地以上に好調に上昇してきました。この傾向は都市圏ほど強く、一方で地方圏はそこまで大きくプラスになっていなかったことが分かります。
その後、住宅地と同様に2020年に起こったコロナショックによりマイナスへと下落。2022年にかけて少しずつ回復していることが分かります。
2023年以降の不動産価格の予測
2022年以前の不動産価格について見ましたが、2023年以降はどのように動いていくと予測できるのでしょうか。ここでは、首都圏、郊外、地方の3つに分けてみていきます。
都市部の不動産価格
都市部については、新型コロナウイルス感染症による規制が全面的に解除され、今後インバウンド需要が大きく増加していくことが見込まれます。
特に観光地を中心に地価が上昇していくことが見込まれ、また都市部ではインバウンド需要を狙ったホテル開発などが盛んになっていくと予想されるでしょう。
2019年までと同様、商業地が大きく上昇していくのに対し、住宅地は微増程度に留まることが考えられます。
郊外の不動産価格
郊外の不動産価格については、都市部ほどインバウンド需要の恩恵を受けることが難しく、上昇は限定的と考えられます。一方で、今後はコロナ禍において行った補助金などの政策による影響として、金利が上昇していく可能性がある点に注意が必要です。
金利が上昇すれば住宅ローン金利が上昇し、個人の方が住宅を購入するのに影響が及ぶ可能性があるのです。郊外においては、住宅需要が低くあると地価が下がっていく可能性が考えられるでしょう。
地方の不動産価格
地方については、地方の都市部とそれ以外とで不動産価格の動きが大きく変わる可能性があります。
今後、日本では更なる少子高齢化が進み、人口が減少していくことが見込まれます。必然的に、地方の都市部以外ではどんどん住む人が少なくなっていくことが考えられるでしょう。結果として、不動産の取引は少なくなっていき、地価がどんどん下落していく可能性があるのです。
一方で、地方の観光地や都市部においては、インバウンド需要の高まりにより地価が上昇していく可能性があるといえます。
不動産価格が変動する要因
ここでは改めて、不動産価格が変動する要因として、以下5つについて見ていきましょう。
- ・新型コロナウイルス感染症による影響
- ・経済状況
- ・国際情勢
- ・国際イベント
- ・人口
それぞれ解説します。
新型コロナウイルス感染症による影響
まずは、新型コロナウイルス感染症による影響です。2020年から2022年初頭にかけて、新型コロナウイルス感染症は経済に大きな影響を与えました。
特に観光地においては、渡航制限などによる観光客が激減。ホテル業や観光業などは大きな打撃を受けています。
また、経済全体で見ても、先行き不透明な時期が続き、下落要因となってしまっています。先程ご紹介した通り、2020年の地価を見てみると住宅地、商業地のいずれにおいても大きく下落していることが分かるでしょう。
ただし、コロナ禍においても住宅需要については大きく下落しにくいという結果が出たケースもあります。経済不況になっても住む場所は必要ですし、むしろコロナ禍では家にいる時間が長くなり、より家にお金をかける人も増えたとされています。
とはいえ、2023年以降は全面的にコロナ禍を要因とした規制は解除されてきているといえるでしょう。日本国内においては、2019年にかけて大きな盛り上がりを見せて、コロナ禍による沈静化したインバウンド需要について、改めて大きな需要が見込めるといえます。
経済状況
日本の経済状況も大きなポイントとなるでしょう。2022年にはロシアによるウクライナ侵攻が起こり、コロナ禍による補助金政策と相まって、世界的なインフレやこれを抑えるための利上げが行われています。
日本においては、まだ大きな利上げは行われていませんが、インフレが進んでいることは肌で感じているという方も多いでしょう。
金利が上昇すると住宅ローンの金利が高くなり、個人で家を購入できないケースが出てきます。また、企業が融資を受ける際に金利が高くなってしまうことから、先行投資に消極的になってしまう可能性があるでしょう。
結果として、商業地で活発な開発が行われず、地価の下落要因となってしまう可能性もあります。
国際情勢
次は、国際情勢です。
先述の通り、ロシアによるウクライナ侵攻はさまざまな面で経済に影響を与えています。原油価格の高騰や電気代の高騰により日本国民の生活費が上昇。住宅にかけられるお金が少なくなってしまうといったことが考えられます。
また、別の面では、国際情勢が活発だと日本への観光客や日本への投資も積極的に行われる可能性があります。
結果として、観光地や都市部の開発が活発化し、地価が上昇するといったことが考えられるでしょう。
国際イベント
日本で行われる国際的なイベントもポイントとなります。
2020年には東京オリンピックが行われる予定でしたが、これに向けて東京を中心にさまざまな開発が行われ、インバウンド需要も大きく上昇したという過去があります。
結果として、2020年に世界的に新型コロナウイルスが蔓延し、東京オリンピックは延期、インバウンド需要も大きく落ち込みましたが、東京オリンピックが行われる前の経済効果は大きなものがあったといえます。
東京オリンピックの次の国際的イベントとして注目されているのは、2025年の大阪万博です。大阪万博に向けて大阪を中心に開発が進められています。今後は大阪万博に向けたインバウンド需要の増大も考えられるでしょう。
人口
最後は人口です。
日本は世界トップレベルで少子高齢化が進んでおり、人口は減少に転じています。少子高齢化が進むと労働人口が減り、活発な経済活動が行われなくなってしまう可能性があるでしょう。人口が減少することにも同じく悪い影響が見込まれます。
今後、特に地方の郊外は人口がさらに減少していくことが見込まれ、地価が下落していく可能性が高いといえます。
不動産価格に関するよくある質問
最後に、不動産価格に関するよくある質問をご紹介します。
Q.不動産価格の推移はどこで調べられる?
不動産価格の推移については、以下のような情報を調べるとよいでしょう。
- ・国土交通省の不動産価格指数
- ・国土交通省の公示地価
- ・民間調査機関の不動産価格に関するデータ
- ・大手不動産情報サイトの物件情報
国土交通省の不動産価格指数や公示地価については、本記事でもご紹介しているので、参考にしてみてください。国土交通省以外にも東京カンテイなど、民間の調査機関が不動産の価格に関するデータを公表しています。
これらのデータでは、例えば新築マンションの価格推移、中古マンションの価格推移などより細かなデータを確認することが可能です。
また、不動産売買等を考えている人であれば、大手不動産情報サイトで近隣の不動産の価格推移を調べるのも一つの方法だといえるでしょう。
Q.不動産価格は今後下がる?
今後の不動産価格については、地域によって上がる場所もあれば下がる場所もあるといえます。特に、インバウンド需要による影響を受けやすい観光地や都心の商業地などは中長期的に上昇する可能性が高いといえるでしょう。
一方、地方で人口の減少に歯止めが効かないようなエリアになると、不動産価格は下がっていくことが見込まれます。
Q.地価が下がるとどうなる?
地価が下がると、不動産の取引価格にも影響が及びます。特に、所有している不動産を売却しようと考えている方にとっては、売却後に得られる資金が少なくなってしまうことになるでしょう。一方、これから購入しようと考えている方にとっては、安く購入できるチャンスとなる可能性もあります。
ただし、購入した不動産を将来売却しようと考えたときに、地価が下がっていると不動産価格が下がってしまっている可能性がある点には注意しなければありません。
上記の他、地価が下がると固定資産税の納税額が安くなる可能性があるといった点もポイントだといえます。
まとめ
不動産価格の推移について、全国や地域ごとにご紹介しました。
不動産の価格推移は国土交通省や民間の調査機関がデータを出しているため、家の購入や売却を考えている方は、本記事の内容を参考に、そうしたデータを調べてみるのがおすすめです。
また、実際にいくらで売れるのかについては、不動産会社の査定を受けてみるのもおすすめです。ニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」であれば、物件情報を入力するだけで複数の不動産会社の査定を受けることが可能です。
不動産会社もプロとはいえ、不動産価格や地価について必ずしも同様の見解を持っているとは限りません。いろいろな担当者の話を聞くことで、相場観を身に付けていくこともできるでしょう。
家の購入や売却を考えている方は、まずは「SUUMOの無料一括査定」を利用されることをおすすめします。
アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ
部屋を借りる!賃貸版はこちら
住宅を買う!購入版はこちら