この記事では、ローン中の家を売るための判断基準や売却方法・注意点などを分かりやすく解説します。
- ローンが残っている家は売れる?
- ローン中の家を売るか判断する基準
- オーバーローンの家を売る方法
- ローン中の家を売る際にかかる税金
- ローン中の家を売る際の注意点
- ローンが残っている家の売却を検討しているなら、まずは不動産会社に相談!
- まとめ
ローンが残っている家は売れる?
ローンが残っている家であっても、売却は可能です。とはいえ、ローンの状況によって、売却可能かどうかの判断は分かれます。
家を売却するには、ローンを組んだ際に設定された抵当権を抹消する必要があります。抵当権の抹消にはローン完済が必須条件です。したがって、ローン中の家を売るには売却額でローンを返済できるかが重要になります。
そのため、ローン中の家の売却を検討する場合、まず「ローン残債」「売却予定額」を把握する必要があるのです。
ローンの残債額を確認する方法
ローン残債は次の3つの方法で確認できます。
- ・返済予定表を見る
- ・残高証明書を見る
- ・Webサイトで確認する
ローンの残債額を確認する方法
返済予定表とは、ローンの完済までの予定が詳しく記載された書類です。ボーナス払いや返済予定日・元本と利息の内訳などが記載されているので、返済予定表を確認すれば、どのタイミングでどれくらいのローンが残っているのかがすぐにわかります。
返済予定表は、ローンの最初の返済がスタートする前後に金融機関から郵送されているのが一般的です。郵送後内容を確認した後は、見ることなく保管している人がほとんどでしょう。
返済予定表はローン残高の確認やローンを借り換える際などで役に立つ書類です。紛失しないように大切に保管しておくようにしましょう。
残高証明書を見る
年末頃に金融機関から郵送される残高証明書でも、ローン残債を確認できます。残高証明書は、年末時点のローン残債が記載されている住宅ローン控除を適用するために必要な書類です。
一般的には、10月~11月頃に送られてくるので大切に保管しておくようにしましょう。ただし、住宅ローン控除の対象外の人など残高証明書が送られてこない場合もあります。
郵送されない場合や郵送された残高証明書を紛失した場合は、金融機関の窓口で発行してもらえるので問い合わせてみるとよいでしょう。
Webサイトで確認する
住宅ローンを組んだ金融機関がインターネットバンキングに対応していれば、ネットサービスに加入することでWeb上でのローン残債を確認できます。Webサイトでの確認であれば、ネットさえつながればいつでも確認できるので手軽です。
ただし、金融機関によってはネットに対応していないケースや、対応していても住宅ローン残高には対応していないケースもあるので注意しましょう。
家の売却額を調べる方法
家の売却額は次の方法で把握することが可能です。
- ・近隣の取引事例を確認する
- ・不動産査定に依頼する
近隣の類似物件の取引価格を調べることで、おおよその売却額の目安がわかります。取引事例は、国土交通省の「土地総合情報システム」で検索できます。
また、不動産会社のサイトなどから類似物件の売却額を確認するのも良いでしょう。
ただし、不動産の売却額は家の状態などにも大きく左右され、まったく同じ不動産は存在しないため、自分の家の売却額とは大きく異なる場合もあります。
自分の家の正確な売却額が知りたいなら不動産会社に査定依頼するのがおすすめです。「SUUMOの無料一括査定」サイトなどを利用して、おおよその売却額の目安を立てるようにしましょう。
ローン中の家を売るか判断する基準
ローン中の家を売却する判断の基準となるのは、ローン残債と売却額の関係が「アンダーローン」か「オーバーローン」のどちらなのかという点になります。
- ・アンダーローン:家の売却額>ローン残債
- ・オーバーローン:家の売却額<ローン残債
アンダーローンの場合
アンダーローンとは、家の売却額がローン残債を上回ることをいいます。この状態であれば、売却すればローンを完済できるので問題なく売却に進むことが可能です。
ただし、家の売却額は実際に売却できるまで正確な額はわかりません。買主から値引き交渉を受けるなどで、当初の予定よりも売却額が下がる可能性はあるものです。
そのため、ローン残債と売却額の見込みの差が少ない場合は、ローン残債を下回ってしまう可能性があるので注意しましょう。ローン残債や次の新居に必要な費用などから最低限どれくらいで売らなければならないかを把握しておくと、過度な値引きに応じてしまうことを防げます。
また、家の売却では仲介手数料や税金などの費用もかかってきます。見込よりも売却額が大幅に下がると資金計画が大きく狂う可能性があるので、事前に不動産会社に売却額でローン返済を検討していることを相談しておくことをおすすめします。
オーバーローンの場合
オーバーローンとは、家の売却額がローン残債を下回ってしまうことをいいます。この状態で売却しても住宅ローンを完済できないので、基本的に売却できません。
家は築年数が経過するごとに資産価値が低下するものです。特に、新築から築10年ほどは資産価値が著しく低下する傾向にあり、ローンの返済スピードよりも資産価値の低下が早い可能性があります。
そのため、築浅の物件であっても借入額によってはオーバーローンになりやすいので注意しましょう。
オーバーローンで家を売却するには、自己資金での補填などの何かしら工夫する必要があります。オーバーローンの家を売却する方法については、以下で詳しく紹介します。
オーバーローンの家を売る方法
オーバーローンの家を売る方法としては、次の3つが挙げられます。
- ・足りない分の売却資金を補填する
- ・住み替えローンを利用して残債を返済する
- ・完済が難しい場合は任意売却する
それぞれのメリット・デメリットを一覧で確認しましょう。
オーバーローンの家を売る方法 | メリット | デメリット | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売却資金を補填 | ・家を問題なく売却できる | ・預貯金が大きく減少する | |||||||||||||||
住み替えローンを利用 | ・自己資金が無くても売却できる | ・ローン返済の負担が大きくなる
・利用できないケースも多い |
|||||||||||||||
任意売却 | ・競売より高値で売れる
・ローンの返済負担を減らせられる |
・金融機関が認めなければできない |
オーバーローンでも売却できる可能性はあります。しかし、方法によってメリット・デメリットは異なるので理解したうえで検討することが大切です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
足りない分の売却資金を補填する
売却額ではローンを完済できない場合、完済できない部分を自己資金などで補填する方法です。預貯金などから足りない部分を捻出することで、ローンが完済でき問題なく売却を進められます。
ただし、売却の際には仲介手数料などもかかってくる点には注意が必要です。仲介手数料や印紙税、ローン完済費用などは売却価格の5%程が目安となります。
ローン完済ばかりに目が行ってしまい、手数料まで含めたら自己資金でも足りないとなる可能性もあります。「ローン返済費用+売却にかかる手数料」を売却額と自己資金で賄わなければならない、という点は意識しておきましょう。
また、ローン返済に自己資金を大幅に利用すると、次の家への資金やいざというときのための資金が足りなくなる恐れもあります。自己資金だけでは対応できない場合、親や親族などから援助を受けることも視野に入れるとよいでしょう。
フリーローンなどを利用して賄う方法もありますが、フリーローンは審査が厳しく金利も高いのであまりおすすめできません。自己資金で足りない額がそこまで多くない、売却を急いでいないというのであれば、アンダーローンか自己資金が貯まるまで待つのも一つの手となるでしょう。
住み替えローンを利用して残債を返済する
住み替えローンとは、今の家の売却額で完済できないローン分を新しい家の住宅ローンに上乗せして借入れる住宅ローンです。住み替えローンで完済できない分を借入できるので、ローン完済でき売却を進められます。
ただし、住み替えローンは新しい家のローンにローン残債をプラスするため、新しい家の担保価値以上のローンを組むことになります。そのため、金融機関では審査が厳しく、通っても金利が高い傾向にあるので注意が必要です。
新しい家でのローン返済の負担が大きくなり、さらに将来の売却時にオーバーローンになる可能性が高くなります。また、取り扱っていない金融機関も多いので利用が難しい点にも注意しましょう。
基本的には自己資金で対応し、対応できない場合に住み替えローンを検討することをおすすめします。
完済が難しい場合は任意売却する
任意売却とは、債権者(金融機関)の許可を得てローンが残った状態で売却する方法です。住宅ローンの返済が滞ると、いずれは家を競売にかけて強制的にローンの回収が図られます。競売になると、市場価格よりも安値での売却となる上に、引越し時期や費用などの融通も利かないためダメージが大きくなります。
一方、任意売却なら市場価格と同程度で売却でき、売却額で引っ越し費用を捻出できるなど融通が利くというメリットがあるのです。そのため、基本的には競売になるのを避けるための手段として、任意売却が利用されます。
任意売却でもローンを完済できない場合、残りのローンは金融機関と交渉して新しい返済計画を立てて返済することになります。基本的には、生活の負担にならない程度の返済になるでしょう。
ただし、任意売却は住宅ローンが滞っていない状態では、原則利用できません。どうしても返済が厳しい場合など経済状況を鑑みて許可してもらえる可能性もあるでしょうが、任意売却を納得させるのはそう簡単ではない点にも注意しましょう。
ローン中の家を売る際にかかる税金
マンション売却で利益が出た場合、譲渡所得税が発生します。
家の売却では、さまざまな税金が発生します。ローン残債ばかり気にしていると、発生する税金に対応できない可能性もあるので注意しましょう。ローン中の家を売る際にかかる税金には、次のようなものがあります。
- ・登録免許税
- ・印紙税
- ・譲渡所得税
登録免許税とは、抵当権を抹消するための費用です。抵当権抹消登記では、「不動産個数×1,000円」の費用がかかり、建物と土地の場合は2,000円となります。ただし、抵当権抹消では司法書士に依頼して手続きしてもらうのが一般的です。司法書士への依頼料として1~3万円ほどかかる点にも注意しましょう。
印紙税は、家の売買契約書に対して課せられる税金です。売買契約書に記載された金額に応じた税額分の収入印紙を貼付・消印して納税します。売却額によって必要な額は異なりますが、一般的な不動産取引の場合は1万円~10万円ほどとなるでしょう。
譲渡所得税とは、売却した利益にかかる税金です。売却額から取得にかかった費用と売却にかかった費用を差し引いた部分に、譲渡所得税の税率を乗じて算出できます。
譲渡所得税の税率は、約20~40%と高い税率となります。仮に、売却で1,000万円の利益が出ると、200万円~400万円の譲渡所得税がかかるのです。
特に、譲渡所得税は高額になる可能性があるので注意しましょう。ただし、譲渡所得税は各種特例を適用することで節税が可能です。節税できる特例については、以下で説明します。
節税できる特例
譲渡所得税の節税で活用できる特例として代表的なものには、次のようなものがあります。
特例 | 概要 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3000万円特別控除 | マイホームを売却した場合、最大3,000万円を譲渡所得から控除できる | ||||||||||
10年超所有軽減税率 | 所有期間が10年を超えるマイホームの売却の場合、譲渡所得6,000万円以下の部分は譲渡所得税が通常20.315%から14.15%に引き下げられる | ||||||||||
買い替え特例 | マイホームの買換えの場合、売却の譲渡所得税を将来新しいマイホームを売却する時まで繰り延べられる | ||||||||||
譲渡損失の損益通算と繰越控除 | マイホームを住宅ローンより低い価格で売却した場合、その損失分を給与所得から控除できる |
マイホーム売却で代表的な「3,000万円特別控除」であれば、譲渡所得から3,000万円を控除できるため、譲渡所得3,000万円以下であれば税金が発生しません。3,000万円特別控除は、10年超所有軽減税率との併用ができるので大きな節税が可能です。
上記のように、活用できる特例はさまざまあります。ただし、特例によっては併用できるものとできないものがあるので、どの特例を適用すればいいかはしっかりとシミュレーションしたうえで検討することが大切です。
また、特例の適用には確定申告が必要です。特例を適用したら税金が発生しないからといって確定申告しない場合は、適用できていないこととなり、無申告課税などの延滞税まで発生する可能性もあるので注意しましょう。
譲渡所得の計算や特例の適用に不安がある人は、税理士や自治体の確定申告相談窓口に相談してみることをおすすめします。
ローン中の家を売る際の注意点
ローン中の家を売る際、次の2つのタイミングでの売却は、特にトラブルが発生しやすいので注意が必要です。
- ・離婚してローン中の家を売る場合
- ・住み替えをしてローン中の家を売る場合
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
離婚してローン中の家を売る場合
離婚に伴い、家を売却するケースは珍しくありません。婚姻後に取得した家については、離婚時の財産分与の対象です。たとえ家の名義がどちらか一方であっても、夫婦で築いた財産として家は分割しなければなりません。
ただし、分割するのは家だけでなくローン残債を含まれます。一般的には、離婚に伴う家の取扱いは、次の通りです。
- ・売却
- ・どちらかが住み続ける
売却であれば家を現金化できるので、売却額でローンを完済し、残った分を夫婦できっちり分けることが可能です。どちらかが住み続ける場合、片方が他の財産で補填するか、家の価値分の現金を支払って家に住み続けることになります。また、慰謝料代わりに家を出る方が、家のローンを支払うというケースもあります。
離婚時の家の取扱いで注意しなければならないのが、家の名義やローンの連帯保証人です。家を売却するには名義人全員の合意が必要となり、夫婦共有名義の場合は夫婦で売却を進めなければなりません。離婚後に売却を進めようとすると、夫婦で連絡が取りにくくなる恐れがあるので注意しましょう。
ローンの連帯保証人は、離婚したからといって解除できるわけではありません。そのため、離婚後にもローンが残る状態で家を出る方が連帯保証人の場合、離婚後にも連帯保証人は続くためトラブルに発展しやすくなります。連帯保証人を解除したい場合、金融機関に相談のうえローンの完済や借り換えが必要になってきます。
住み替えをしてローン中の家を売る場合
アンダーローンであれば問題なく売却が進められますが、家の売り方には注意が必要です。家の売り方には、大きく次の2つがあります。
- ・売り先行:今の家を売ってから次の家を購入する
- ・買い先行:次の家を買ってから今の家を売る
それぞれのメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売り先行 | ・ローンを完済してから次の新居を購入できる | ・新居選びに時間をかけられない
・仮住まいが必要になる恐れがある |
|||||||||||||||
買い先行 | ・新居選びに時間をかけられる
・仮住まいの必要がない |
・二重ローンになる恐れがある |
アンダーローンといっても、売却できるまで毎月の支払いは続きます。売り先行の場合、売却してローンを完済してから次の新居に移るため、ローン返済の負担を少なくできます。しかし、売却してから新居を選ぶので、新居選びの時間が十分とれない恐れもあるので、注意しましょう。新居がなかなか見つからない場合は、新居までの間仮住まいが必要になり、引っ越し費用が2回分かかるなど費用がかさみます。
一方、買い先行であれば新居がある状態で売却に進むので、仮住まいは必要ありません。しかし、売却するまでの間、新居の住宅ローン(もしくは賃料)と今の家の住宅ローンの二重の支払いが必要な点に注意が必要です。売却まで時間がかかると、ローン返済の負担が大きくなってしまいます。
二重ローンの負担を抑える方法としては、つなぎ融資の活用が検討できるので、金融機関や不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
とはいえ、買い先行は家の購入を自己資金で賄う必要があるので、ある程度資金に余裕がある場合に選択できる方法でもあります。
ローンが残った状態で売却する場合は、基本的には売り先行がおすすめです。
ローンが残っている家の売却を検討しているなら、まずは不動産会社に相談!
家の売却額は、ローン完済費用や次の家の資金ともなるので、少しでも高値で売却することが大切です。しかし、家の売却額は家の状態だけでなく、不動産会社によっても大きく異なってきます。
不動産会社によって、査定ポイントや販売力に差があるため、なかには査定額が数百万円変わってくるというケースも珍しくないのです。
少しでも高値での売却を希望するなら、不動産会社選ぶが重要になります。そのため、選ぶ段階ではできるだけ多くの不動産会社に査定依頼して比較検討することが大切です。最初から数社に絞って査定していては、査定額の妥当性が分からず見込みよりも安値での売却になってしまう恐れもあるでしょう。
多くの不動産会社の査定結果を比較することで、売却額の相場が分かるだけでなく不動産会社の対応や質などもチェックでき、納得できる不動産会社に出会いやすくなります。
ニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」なら、地域密着型から全国規模の大手不動産会社まで幅広い不動産会社の査定結果を比較できます。なかには査定額が600万円変わってきたというケースもあるので、少しでも高値で売却したいならニフティ不動産の一括査定の利用してみるとよいでしょう。
まとめ
ローン中の家の売却について、売却の判断基準や売却方法、注意点についてお伝えしました。ローンが残った状態で売却する場合、ローン残債の正確な額と売却額を把握する必要があります。その結果、ローン残債を売却額で完済できるアンダーローンであれば売却が可能です。
反対に、売却してもローンが残るオーバーローンの場合は、自己資金での補填や住み替えローン、任意売却を検討することで売却できるでしょう。
ローン中の家を売却する場合は、ローン完済のため、いかに高く売れるかが重要になってきます。家の売却を検討しているなら、複数の不動産会社を比較検討できるニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」がおすすめです。大手から地域密着型まで幅広い不動産会社を比較できるので、あなたの家にぴったりの不動産会社を見つけられるでしょう。
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