はじめての土地売買であっても、流れや注意点を抑えておけばスムーズに取引できます。この記事では、土地の売却・購入のそれぞれの流れや必要書類、注意点をわかりやすく解説します。
土地売買の流れ
土地の売買では、売却側と購入側、それぞれの側面があります。ここでは、売却と購入それぞれの流れをみていきましょう。大まかな流れは次の通りです。
売却の流れ | 購入の流れ | ||||||||||
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売却の流れ
まずは、売却の流れをみていきましょう。売却までの大まかな流れは、次の通りです。
- 1.土地の価格相場を調べる
- 2.土地の査定を依頼する
- 3.不動産会社と契約を結ぶ
- 4.土地を売り出す
- 5.購入希望者と交渉する
- 6.買主と不動産売買契約を結ぶ
- 7.決済・引き渡しを行う
土地の売却は、基本的には不動産会社がサポートしてくれるので、不動産会社選びさえ間違わなければスムーズに売却できるでしょう。それでは、それぞれの手順ごとに解説します。
関連記事:土地を売るときの相談先や流れを解説|査定方法や費用・税金もご紹介!
➀土地の価格相場を調べる
土地を売却する場合、事前に自分で相場を把握しておくことが大切です。土地の売値は売主が自由に決められますが、相場からかけ離れて高値の場合買い手が付きません。反対に、相場よりも低すぎると売主が損してしまう恐れもあるでしょう。
相場観を把握しておくことで、適切な売値を付けることが可能です。また、不動産会社から査定を受ける際にも、相場が分かっていれば安値を付けられることを防げるでしょう。
土地の相場は次のような方法で調べられます。
- ・近隣の取引をチェックする
- ・公示価格を調べる
- ・固定資産税評価額を調べる
近隣の取引は不動産会社のサイトで類似物件の売値を調べることや、国土交通省の「土地総合情報システム」での検索も可能です。
また、公示価格や固定資産税評価額を元に自身の土地の価格を把握して、目安額を算出するのもよいでしょう。
➁土地の査定を依頼する
実際の売却を進める場合、最初に不動産会社に査定依頼することになります。査定方法は大きく次の2種類があります。
- ・机上査定
- ・訪問査定
机上査定とは、面積や所在地などのデータのみで査定する方法です。簡単に査定結果を得られますが、個別の事情などは反映されないため実際の売値とは大きく異なる可能性があります。
一方、訪問査定は実際に不動産会社の担当者が土地を訪れ査定する方法です。土地を見たうえで査定してくれるので、より精度の高い査定できます。ただし、訪問査定は担当者との日程調整などで時間がかかるものです。
一般的には、机上査定で不動産会社を2~3社に絞って訪問査定を受けるケースが多いでしょう。机上査定の段階では、できるだけ多くの不動産会社に依頼することで、査定額や対応などを比較できあなたにぴったりの不動産会社に出会いやすくなります。
複数の不動産会社に依頼するなら、一括査定サイトがおすすめです。ニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」なら、大手から地域密着型まで幅広い不動産会社を比較できるので、高値での土地売却も実現しやすくなるでしょう。
③不動産会社と契約を結ぶ
査定後、仲介を依頼する不動産会社を決めたら不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には、契約方法によって次の3つがあり、それぞれ特徴が異なるので慎重に契約方法を選ぶようにしましょう。
- ・専任媒介契約
- ・専属専任媒介契約
- ・一般媒介契約
媒介契約ごとの特徴は次の通りです。
種類 | 複数業者との契約 | 自己発見の契約 | 業務の報告義務 | 契約期間 | |||||||||||||||||||||||||
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専任媒介契約 | できない | できる | 2週間に1回以上 | 3か月 | |||||||||||||||||||||||||
専属専任媒介契約 | できない | できない | 1週間に1回以上 | 3か月 | |||||||||||||||||||||||||
一般媒介契約 | できる | できる | なし | 規定なし |
専任媒介契約とは、不動産会社1社のみと結ぶ契約です。レインズへの登録義務や業務報告義務があるので、営業活動を把握しやすいというメリットがあります。また、自分で買主を見つけて契約を進めることが可能です。
専属専任媒介契約も、不動産会社1社のみと契約する方法になります。専任媒介契約同様に、レインズへの登録義務や業務報告義務があります。こちらは、買主を自分で見つけても不動産会社を仲介しなければならないと、より制約が厳しい契約でもあります。
一方、比較的制限がないのが一般媒介契約です。一般媒介契約は、不動産会社何社とでも結ぶことができ、さらに自分で買主を見つけて契約することもできます。
ただし、レインズへの登録義務や業務報告義務がない点には注意しましょう。また、他の不動産会社とも契約を結べることから、不動産会社にとっての優先度も下がる恐れがあります。
自分で買主を見つけられる、条件が良い土地など場合は、一般媒介契約が適しています。反対に、自分で買主を見つける見込みがない、すべて不動産会社に任せしたいという場合は、専属専任媒介契約がおすすめです。
④土地を売り出す
媒介契約を結んだら、土地の売り出し価格を決めて売却活動に入ります。売り出し価格は、相場を元に適切な価格を付けるようにしましょう。また、不動産会社の意見も参考に決めると、売りやすくなります。
売却活動に入った後は、チラシやサイトへの制裁など広告活動は基本的に不動産会社が行うため、売主が何かすることはありません。
現地見学についても、土地の場合は不動産会社が案内してくれるため、立ち会う必要はないでしょう。ただし、現地見学に向けて草むしりや掃除などのメンテナンスは、売主がする必要があります。
⑤購入希望者と交渉する
購入希望者が現れると、不動産会社を通じて買付証明書が提出されるのが一般的です。買付証明書とは、購入希望者が購入の意志や価格の希望などを示した書類のことをいいます。
買付証明書の購入条件をもとに、売主は価格などの交渉や調整を行っていきます。
⑥買主と不動産売買契約を結ぶ
買主と交渉成立すれば、売買契約を締結します。売買契約時には、不動産会社による重要事項説明が行われ、問題なければ契約書に署名・押印して契約締結です。
重要事項説明や契約書の内容は、契約に関わる重要なことなので疑問点はきっちり解決し、納得してから署名押印するようにしましょう。
また、契約締結後には買主から手付金を受け取ります。手付金は解約手付の性質を持ち、一定期間であれば買主は手付金の放棄、売主は手付金の2倍の額を支払うことで、契約を解除できます。
手付金を貰ってすぐに使ってしまうと、後々トラブルになる恐れもあるので、決算までは手付金は使わないことをおすすめします。
⑦決済・引き渡しを完了する
売買契約後1ヵ月程で、決済・引き渡しとなります。決済時には不動産会社に仲介手数料を支払うのが一般的なので、確認して用意しておきましょう。
購入の流れ
次に、購入側の流れを見てきましょう。購入するまでの大まかな流れは、次の通りです。
- 1.土地を探す
- 2.売主に買付証明書を提出する
- 3.住宅ローンの仮審査を受ける
- 4.売主と不動産売買契約を結ぶ
- 5.住宅ローンの本審査を受ける
- 6.金融機関と金銭消費貸借契約を結ぶ
- 7.支払い・引き渡しを完了する
購入する際は、基本的に住宅ローンを利用することになるため、審査準備を早めに進めておくことが大切です。契約締結後に住宅ローンに落ちたとなると、一から土地探しをやり直す必要があるので注意しましょう。
それでは、購入の流れを詳しく見ていきます。
➀土地を探す
まずは、自分の条件に合った土地を探すことからスタートします。土地探しの際には、予算や希望の地域などを条件と優先順位を明確にしておきましょう。土地を探す場合、次のような方法があります。
- ・検索サイトの活用
- ・不動産会社に直接相談
- ・現地を回ってみる
ポータルサイトや不動産会社には多くの土地が掲載されているので、条件に合わせて検索してみるとよいでしょう。また、なかにはサイトに掲載されていない土地も珍しくないので、不動産会社に相談したり、希望のエリアを回ってみたりすると、思わぬ好条件の土地に出会える可能性もあります。
ただし、100%自分の希望を叶えられる土地はないという意識は大切です。立地を優先すれば、予算オーバーするケースは多いでしょう。予算内に収めるには、何かしら妥協は必要です。
あらかじめ希望条件の優先順位を付けて、これだけは譲れないポイントを明確にしておくとほかを妥協しやすくなり、土地選びがスムーズにいきやすくなります。
➁売主に買付証明書を提出する
条件に合う土地が見つかったら、買付証明書を不動産会社に提出します。買付証明書には、次のような内容を記載します。
- ・購入希望額
- ・手付金などの希望
- ・引き渡しの希望など
買付証明書は、売主に購入の意思を示し、仮押さえの役割を示す書類です。決まった書式はありませんが、不動産会社によっては用意している場合もあるので、確認してみましょう。
買付証明書を提出したからといって法的な効力はなく、取引が必ず成立するわけではありません。買付証明書をもとに売主と交渉することで、取引は成立します。
ただし、買付証明書を提出後に、安易に買主側からキャンセルするのはおすすめできません。
買付証明書提出後のキャンセルは、売主や不動産会社に迷惑がかかり信頼を損ねる恐れがあり、その後の購入にも影響が出る可能性があるでしょう。
③住宅ローンの仮審査を受ける
購入する土地が決まったら、住宅ローンの仮審査を受けておくようにしましょう。住宅ローンを契約するには、仮審査と本審査に通る必要があります。
仮審査では、年収や職業・家族構成など返済能力が主にチェックされます。仮審査に通れば、さらい詳しく条件がチェックされる本審査に移ることが可能です。
仮審査は、金融機関にもよりますが、即日から1週間ほどで審査結果がわかります。ただし、仮審査に通ったからといって、必ず本審査にも受かるというわけではない点には、注意しましょう。
また、仮審査後本審査までの間に転職などで条件が変わってしまうと、本審査に落ちてしまうので、条件が変わらないように注意することも必要です。
④売主と不動産売買契約を結ぶ
売主と売買契約書を締結します。重要事項説明や契約書の内容は、しっかりと確認したうえで契約書に署名押印するようにしましょう。
また、契約締結後に手付金を支払う必要があります。手付金は契約により異なりますが、一般的には購入額の10%程です。事前に、手付金の額や支払い方法を不動産会社に確認して用意しておくようにしましょう。
⑤住宅ローンの本審査を受ける
売買契約締結後、住宅ローンの本審査を受けることになります。本審査では、仮審査の内容をより詳しく見られます。本審査には、1ヵ月程かかる場合もあるので、早めに手続きを進めておくようにしましょう。
また、万が一本審査に落ちた場合、売買契約時に「住宅ローン特約」を付加していれば、無条件で契約解除が可能です。
ただし、住宅ローン特約が適用できる期間は契約により決まっているので、期間内に審査結果が分かるように審査を進めておくようにしましょう。
⑥金融機関と金銭消費貸借契約を結ぶ
本審査に通過すれば、金融機関と金銭消費貸借契約(金消契約)を結びます。これは、住宅ローンの契約のことで、借入額や返済期間・借入条件などを約定するために契約を締結します。
金融機関によっては、契約日をローン実行までの〇日前までと定めている場合もあるので注意しましょう。
⑦支払い・引き渡しを完了する
金銭消費貸借契約後、手付金を除いた残金の決済と引き渡しになります。決済時には多くの書類が必要になるので、漏れのないように用意しておきましょう。
また、決済後には土地の名義を売主から買主に移す所有権移転登記と、住宅ローンを借入れた際の抵当権設定登記が必要です。登記手続きは基本的に司法書士が行うので、指定の書類を用意しておくだけで問題ありません。
土地売買における必要書類
土地売買では多くの書類が必要になるので、どのような書類が必要かを把握し、早めに用意しておくことが大切です。必要書類は、売主・買主側でそれぞれ異なってきます。また、売主・買主共通で必要な書類としては、次のようなものがあります。
- ・売買契約書
- ・本人確認書
- ・印鑑と印鑑証明
以下では、売主・買主それぞれで必要な書類を見ていきましょう。
売主側の必要書類
売主側の必要な書類は次の通りです。
書類名 | 内容 | 必要なタイミング | 入手できる場所 | ||||||||||||||||||||
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売買契約書 | 土地を購入した際の契約書 | 査定時 | 保管している | ||||||||||||||||||||
重要事項説明書 | 土地を購入した際の説明書 | 査定時 | 保管している | ||||||||||||||||||||
土地測量図・境界確認書 | 境界線や面積の確認に必要 | 査定時 | 保管または法務局 | ||||||||||||||||||||
固定資産税納税通知書 | 固定資産税の清算に必要 | 査定時・引き渡し時 | 保管または自治体で発行してもらう | ||||||||||||||||||||
登記済権利証または登記識別情報 | 土地の所有権を記した書類 | 査定時・引き渡し時 | 保管している |
基本的には、すでに自身が持っている書類が多いでしょう。紛失している場合は、自治体などで再発行が必要です。しかし、再発行には時間がかかるものもあるので、早めに確認して用意を進めておくことが大切です。
買主側の必要書類
買主側が必要な書類は次の通りです。
書類名 | 内容 | 必要なタイミング | 入手できる場所 | ||||||||||||||||||||
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買付証明書 | 購入条件を示した書類 | 購入前 | 自分で作成 | ||||||||||||||||||||
住民票 | 氏名や住所が記載された勝利 | 決済時 | 自治体で入手 |
買主側で必要な書類は多くありません。基本的には、本人確認書類と印鑑証明書があれば、土地の購入を進められます。
ただし、住宅ローンを利用する場合は、ローンの審査や契約時に源泉徴収票など多くの種類が必要になってくるので、金融機関に確認して用意するようにしましょう。
土地売買にかかる費用
土地売買では、土地の購入額以外にもさまざまな費用が発生します。土地の購入額だけで考えていると、費用が足りなくなるので、注意しましょう。また、売主側にもかかる費用があるので、収入があるだけではなく、支出もある点は忘れずにおきましょう。
まずは、売主・買主共通でかかる費用を一覧で確認しましょう。
費用項目 | 内容 | 金額の目安 | |||||||||||||||
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仲介手数料 | 不動産会社に支払う手数料 | (売却額×3%+6万円)+消費税 | |||||||||||||||
消費税 | 仲介手数料に課される消費税 | 仲介手数料×10% |
不動産会社に仲介を依頼して売買した場合、売主側・買主側それぞれで仲介手数料が発生します。また、土地売買は非課税ですが、仲介手数料は消費税が発生する点にも注意が必要です。
以下では、売却時・購入時にそれぞれかかる費用を詳しく見ていきましょう。
売却時にかかる費用
売却時にかかる費用には、次のようなものがあります。
費用項目 | 内容 | 金額の目安 | |||||||||||||||
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登録免許税 | 抵当権が付いている場合抹消に費用 | 不動産個数×1,000円 | |||||||||||||||
印紙税 | 売買契約書にかかる税金 | 1~10万円 | |||||||||||||||
譲渡所得時税 | 売却利益にかかる税金 | 売却利益×税率(約20~40%) | |||||||||||||||
解体費用 | 建物を解体する場合の費用 | 100万円~ | |||||||||||||||
司法書士費用 | 抵当権抹消登記を依頼した場合 | 1~3万円 |
登録免許税や印紙税は、基本的に必ずかかる税金です。また、売却によって利益が出た場合は、利益に対して譲渡所得税がかかってくるので注意しましょう。
売却に伴い、解体や引越しなどが必要な場合は、それらの費用もかかってきます。
購入時にかかる費用
購入時にかかる費用には、次のようなものがあります。
費用項目 | 内容 | 金額の目安 | |||||||||||||||
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印紙税 | 売買契約書とローン契約書にかかる税金 | 1~20万円 | |||||||||||||||
登録免許税 | 所有権移転登記と抵当権設定登記にかかる費用 | 所有権移転登記:土地の評価額×2%
抵当権設定登記:借入額×0.4% |
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司法書士費用 | 登記を依頼した場合にかかる費用 | 3~5万円 | |||||||||||||||
固定資産税の清算金 | 固定資産税を日割りにして売主に支払う | 所有期間に応じて売主と按分 | |||||||||||||||
ローンの掛かる費用 | 手数料や保証料 | 借入額に応じる |
購入する際には、土地代以外にもさまざまな費用が必要です。これらの費用は土地代の10%程が目安になるので、あらかじめどのような費用がかかるかを把握して、予算計画を立てるようにしましょう。
【状況別】土地売却の方法・注意点
土地売買は、状況によって売却方法や注意点が異なります。ここでは、次の5つのケースの売却方法や注意点を見ていきましょう。
- ・相続した土地の場合
- ・建物がある土地の場合
- ・賃貸中の土地の場合
- ・複数人で共有する土地の場合
- ・遠方にある土地の場合
相続した土地の場合
相続で取得した土地を売却する場合、次のような流れとなります。
- 1.遺産分割協議
- 2.相続登記
- 3.土地の売却
- 4.売却金の分割
遺言がない場合の相続では、相続人全員で遺産分割について話し合う遺産分割協議を行い、協議内容に全員合意する必要があります。遺産分割協議の結果、土地の相続が決まれば、被相続人から土地の名義を移転する相続登記を行い、売却に進みます。
また、遺産分割協議の内容によっては、売却後に売却代金の分割が必要になる場合もあるので、協議内容に従って分割します。
相続した土地を売却する場合、土地の名義を変更する必要がある点に注意しましょう。名義変更手続きをする際には、遺産分割協議の内容をまとめた遺産分割協議書や、戸籍謄本など多くの書類が必要です。司法書士に手続きを依頼したほうがスムーズに売却できるので、検討してみるとよいでしょう。
相続が発生した場合、相続税の納税期限は相続を知った日から10ヵ月以内と決まっています。それまでに土地を売却しなければ相続税が支払えないという場合は、早めに売却を進める必要があります。事前に不動産会社に相続に伴う売却である旨は相談しておくようにしましょう。
相続した土地を売却した際の税金については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:相続した土地を売却したときにかかる税金はいくら?節税対策や控除についても解説
建物がある土地の場合
建物がある土地を売却する場合、売却方法は「建物付きで売却する」か「更地にして売却する」かになります。どちらも売却の流れとしては、基本的な土地売却と大きく異なりません。
ただし、建物付きで売るか更地にするかの判断は慎重に行う必要があります。築年数が古く、使い勝手も悪い建物の場合、更地にしたほうが売却しやすくなるでしょう。また、立地条件が悪い場合も更地の方が、土地活用の選択肢が広がり売りやすくなります。
しかし、近年は買い手が古い家を格安で購入し、自由にリフォームするというケースもあるので、一概に更地にしたほうがいいとは言い切れません。更地にする場合は、解体費用がかかるだけでなく、固定資産税も高額になってくる点にも注意が必要です。
建物付きで売却するか更地にしたほうがよいのかは、一度不動産会社に相談してうえで決めることをおすすめします。
賃貸中の土地の場合
他人に貸している土地を売却することは可能です。しかし、賃貸中の場合は手順が複雑になり、またトラブルに発展する可能性も高いので注意しましょう。
賃貸中の土地を売却する場合は、「借主に売却する」か「第三者に売却する」または「立ち退いてもらう」という方法が一般的です。
借主への売却なら、借主も土地を自由にできるなどメリットもあるため売却しやすいでしょう。一方、第三者に売却する場合、借り手が借りた状態で所有者が変わることになります。そのため、買ったとしても土地や建物を自由にできないことから一般の買い手は付かないでしょう。
第三者に売る場合は、賃料目的の投資家や不動産会社の買取がメインとなります。まずは、借地権付きの土地取引の実績がある不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
借主に立ち退いてもらえれば、普通の土地として売却できます。しかし、契約の種類によっては契約の解除が難しく、スムーズに立ち退いてもらえない可能性があるので注意しましょう。
複数人で共有する土地の場合
土地の名義を複数で共有している場合、次のような方法があります。
- ・土地の売却には名義人全員の合意を得て売却
- ・自分の持ち分のみ売却
- ・土地を分筆して売却
共有名義の土地を売却するには、名義人全員の合意が必要です。名義人全員で売主となれば売却できますが、名義人が多い場合は手続きに時間がかかるので注意しましょう。
名義人全員の合意が得られない場合などでは、自分の持ち分のみで売却する方法もあります。土地の場合は、自分の持ち分の部分だけ分筆すれば、自由に売却が可能です。
ただし、誰がどれくらいの持ち分を有しているのかの話し合いや測量など、時間や費用がかかってくるものです。また、持ち分の一部といった場合、買い手が付きにくい点にも注意しましょう。
遠方にある土地の場合
実家など遠方の土地を相続するケースも珍しくありません。遠方の土地の売却であっても、基本的な売却方法は土地売却や相続での売却と同じ手順です。
しかし、遠方にあることで土地の状態の確認や不動産会社との契約、売買契約が思うように進められない可能性が高くなります。近年は対面ではなくオンラインで契約を進められる不動産会社も増えているので、現地に行くのが難しい場合は、そのような会社を利用するのもひとつの手でしょう。
また、司法書士や弁護士、親族などに代理人となって売却を進めてもらう方法もあります。代理人を立てて売却する場合は、委任状が必要です。委任状で代理した場合でも、代理人がしたことの責任は取る必要があるため、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
トラブルを避けるためにも、信頼できる人を代理人に選ぶようにしましょう。
土地売買でのトラブルを回避するためのポイント
土地売買や契約時の支払いや契約後の不具合などで、しばしばトラブルに発展するケースがあります。契約時や契約後のトラブルを避けるために、次の4つのポイントを押さえておくようにしましょう。
- ・実測売買か公募売買か把握しておく
- ・告示事項を必ず確認・共有しておく
- ・事前に土地の境界確定をしておく
- ・専門家にサポートを依頼する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
実測売買か公簿売買か把握しておく
実測売買とは、土地の単価を決めて売買契約し、その後の測量で売買代金が増減する売却方法です。一方、公簿売買は、登記内容を基に売却代金を決め、その後正しい面積が判明した場合でも代金の増減はありません。
実測売買なら、正しい面積で売却額が決まるので、後々のトラブルを避けやすいでしょう。
しかし、測量には時間も費用もかかります。測量にかかる費用については、売主と買主でどちらが負担するかを決めることになります。
ただし、測量しなければ売却できないわけでもありません。売買する土地が山林や農地といった広大な場合や、区画整理でできた土地のように登記簿面積が正しい場合では、公簿売買がスムーズに取引できるものです。
どちらの方法で売却する場合であっても、どの方法を採用するのかをしっかりと把握しておくようにしましょう。
告知事項を必ず確認・共有しておく
不動産売買では、買主が知っていたら購入しない可能性がある瑕疵や事実を告知する義務があります。また、告知せずに売却し、売却後に瑕疵などが判明すると、売主は契約不適合責任として賠償請求を受けるなどの施金を負う必要があるのです。
そのため、土地の状態を正確に把握し、告知事項は買主に伝えるようにしましょう。土地の告知事項としては、次のようなことが挙げられます。
- ・土壌汚染
- ・地盤沈下や廃棄物の埋設
- ・建築基準などの法令
- ・事件や事故があった場合はその旨
土地自体に問題がある場合では、その旨を告知する必要があります。また、過去に他殺や自殺などがあるケースでも告知も必要です。その際、事件があった建物を解体して更地にして売却する場合でも、告知義務がある点には注意しましょう。
事前に土地の境界確定をしておく
古くからある土地の場合、土地の境界線が明確でないことも珍しくありません。しかし、境界線を明確にしないまま売却すると、購入後に境界線を巡って買主と隣地の人のトラブルに発展する可能性があります。
そのため、買主としても境界線が確定している土地のほうが買いやすいのです。将来のトラブルを避け買い手に選ばれやすくするためにも、境界線が確定していない場合は境界確定しておくようにしましょう。
専門家にサポートを依頼する
土地売買では、測量や登記、税金手続きなどで専門知識が必要な場面が多いものです。専門知識が必要な手続きを自分だけで行うと、手続きミスで売却に時間がかかったり余計な費用がかかったりする可能性もあります。
土地売却では依頼したい内容ごとに、次のような依頼先があります。
- ・測量や境界線確定:土地家屋調査士
- ・所有権移転や抵当権抹消:司法書士
- ・売却後の税金について:税理士
- ・売却を巡ってトラブルに発展しているとき:弁護士
- ・売却自体の相談:不動産会社
相談内容ごとに適切な専門家に依頼することで、スムーズな売却が可能です。知り合いに専門家がいない、どこに相談すればよいのかわからないといった場合は、不動産会社で提携する専門家を紹介して貰える場合もあるので、相談してみるとよいでしょう。
まとめ
土地売買の流れや必要書類、費用などをお伝えしました。土地売買や売主・買主側で必要書類や流れは異なりますが、大まかな流れを理解しておけば基本的に不動産会社がサポートしてくれるので、初めての人でも問題なく売却できます。
ただし、売却前・売却中・売却後にはそれぞれ注意しなければならない点もあるので、自分でも注意点を押さえておくとスムーズな売却ができるでしょう。
マンション売却は、不動産会社の力が大きく左右してきます。マンション売却に強く、あなたに合った不動産会社をパートナーにすることが大切です。
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