この記事では、不動産のインスペクションとは何か、重要性や実施するメリット・デメリット、流れ、期間や費用相場などを解説します。不動産のインスペクションについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
- 不動産のインスペクションとは
- 不動産におけるインスペクションの重要性
- 不動産売却でインスペクションを実施するメリット
- 不動産売却でインスペクションを実施するデメリット
- 不動産のインスペクションを実施する流れ
- 不動産のインスペクション実施にかかる期間
- 不動産のインスペクションの費用相場
- 不動産のインスペクションを依頼したい場合はどうしたらいい?
- 不動産のインスペクションを依頼する際の注意点
- 不動産のインスペクションに関するよくある質問
- まとめ
不動産のインスペクションとは
インスペクションとは、国土交通省の定めている講習を修了した建築士による第三者的な立場で行う建物の検査です。建物状況調査や住宅診断とも呼ばれています。
インスペクションでは、建物の基礎や外壁などの建物の構造体力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に生じたひび割れや雨漏りなどの劣化、不具合の状況を目視、動作確認、聞き取りなどで確認します。
不動産におけるインスペクションの重要性
不動産の売却前にインスペクションを受けることは必須ではありません。しかし、トラブル防止の観点からインスペクションを受けることをおすすめします。
不動産の売主は、売却後の不動産に対して契約不適合責任を負います。契約不適合責任とは、売却前の目的物に取り決めた種類や品質、数量などが契約内容に適合しない引き渡しに対して売主が負担する責任です。
売主の故意・過失に関係なく、売却後の不動産に何らかの欠陥が見つかった場合、売主は買主側からの代金の減額や損害賠償請求などに応じなくてはなりません。不動産の売却前にインスペクションを受けていれば、欠陥を発見することで売却後のトラブルを回避できる可能性が高まるでしょう。
不動産売却でインスペクションを実施するメリット
不動産売却でインスペクションを実施するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- ・売却を有利に進められる
- ・売却後のトラブルを回避できる
- ・瑕疵担保保険に加入できる
海外は中古不動産の売買が活発に行われていますが、日本は海外ほど活発ではありません。その理由は、中古物件は欠陥が潜んでいるリスクが高く、新築物件のほうが価格は高くても安心して購入できるためです。しかし、インスペクションを実施した場合は、欠陥が潜んでいるかどうかを確認できるので購入後のリスクを抑えられます。そのため、インスペクションを実施していない中古物件よりも安心感があるという理由から、売却を有利に進められるでしょう。
また、インスペクションを実施すれば建物に潜んでいる欠陥に気付くことができます。必要な修繕を行う、契約前に欠陥の詳細を事前に伝えていれば、売却後のトラブルを回避できるでしょう。
瑕疵担保保険とは、売却後の不動産に何らかの欠陥があった場合、補償を受けられる保険です。欠陥の修繕にかかる費用に保険金を充てられるため、万が一欠陥が潜んでいても安心です。瑕疵担保保険の加入には、インスペクションを実施することが要件とされているため、実施して保険に加入すれば、売却後のリスクをさらに軽減できるでしょう。
不動産売却でインスペクションを実施するデメリット
不動産売却でインスペクションを実施するデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- ・費用と時間がかかる
- ・結果次第では値下げを交渉される
- ・修繕が必要になる可能性がある
インスペクションを依頼する際は、調査に費用と時間がかかります。時間がかかったことで売却のタイミングを逃す、費用を売出価格に上乗せして回収しようとしても売出価格が高くなることによって買主が見つからない可能性があるので注意が必要です。
また、インスペクションを受けることがプラスになるとは限りません。インスペクションで欠陥が発覚した場合、欠陥の修繕に費用がかかります。欠陥を修繕せずに売却する場合は、相手に告知しなければならず、告知したことで買主に値下げを要求される可能性があるという点にも注意しましょう。
不動産のインスペクションを実施する流れ
不動産の売買においてインスペクションを実施する際は、売主が実施するのか、買主が実施するのかによって流れが一部異なります。速やかにインスペクションを実施するためにも、事前にどのような流れで進めるのかを事前に確認しておくことをおすすめします。
売主が行う場合と買主が行う場合について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
売主が行う場合
売主がインスペクションを行う場合は、以下のような流れでインスペクションを進めます。
- 1.不動産会社に査定を依頼する
- 2.不動産会社と媒介契約を締結する
- 3.インスペクターを選定する
- 4.インスペクションを実施する
- 5.売却活動に取り掛かる
- 6.契約条件を交渉する
- 7.売買契約を締結する
- 8.物件の引き渡しを行う
不動産がどのくらいの価格で売却できるのか把握するために、複数の不動産会社に査定を依頼します。査定を依頼した不動産会社の中から、査定結果や売却実績、担当者の相性などを踏まえて仲介を依頼する不動産会社を決めます。
仲介を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を締結した後は、インスペクターの選定です。不動産会社に相談するとインスペクターを紹介してもらえる可能性があるため、自分で探すのが困難な方は相談してみましょう。
インスペクターを決めてインスペクションを実施した後は、売却活動に取り掛かります。内覧を経て買主が見つかった場合、契約条件の交渉を経て売買契約の締結に移ります。契約条件の交渉では、インスペクションの結果を踏まえて価格の値下げ交渉や修繕の実施などを求められる可能性があるので注意してください。
売買契約の締結後は、売買契約書に記載されて引き渡し日に物件を引き渡せば全ての手続きが完了です。
買主が行う場合
買主がインスペクションを行う場合は、以下のような流れでインスペクションを進めます。
- 1.物件を探す
- 2.不動産会社と媒介契約を締結する
- 3.買付証明書を提示する
- 4.売主からインスペクションの実施の承諾を得る
- 5.インスペクションを実施する
- 6.売買契約を締結する
- 7.物件の引き渡しを行う
インターネットで検索、不動産会社を訪れて相談しながら購入する物件を探します。気になる物件が見つかった場合は、不動産会社と媒介契約を締結します。
インスペクションを希望している場合、買付証明書を提示するタイミングで申し出るのが一般的です。買付証明書とは、売主に提示する買主の希望購入価格や希望条件などが書かれた書類です。
売主に買付証明書を提示する際にインスペクションの実施を申し出て、売主の承諾を得ることができた場合には実施に移ります。インスペクションの結果を受けて問題がなかった場合は、売主と売買契約を締結して物件の引き渡し、結果に問題があった場合は購入を見送るという流れになります。
不動産のインスペクション実施にかかる期間
不動産のインスペクションを実施する場合、売却に支障が生じる可能性があるため、どのくらいの期間がかかるのか事前に把握しておくことが大切です。
依頼してからインスペクションが実施されるまでに1週間、実施してから報告書を受け取るまでに1週間の計2週間の期間を要するのが一般的です。
調査当日は物件の規模によって多少異なりますが、3時間程度でインスペクションが完了します。
不動産のインスペクションの費用相場
不動産のインスペクションを依頼する際は、費用がかかります。売主が実施する場合、売出価格に上乗せして回収しようと考えている方もいるかもしれませんが、必ず回収できるとは限りません。自己負担となる可能性があるため、費用相場を事前に把握しておくことをおすすめします。
不動産のインスペクションにかかる費用相場は以下の通りです。
- ・マンション:5万円程度
- ・戸建住宅:4万5,000円~6万5,000円程度
マンションは一律に設定されているケースが多いです。戸建住宅は建物によって規模が大きく異なる可能性があるため、広さによって費用設定が異なるのが一般的です。
調査を実施する会社によって費用設定が異なるため、複数の会社の料金設定を比較しながら決めましょう。
不動産のインスペクションを依頼したい場合はどうしたらいい?
不動産のインスペクションを依頼したいと考えているものの、誰に相談すればいいか分からず悩んでいる方も多いでしょう。インスペクションの依頼先は、既存住宅状況調査技術者検索ページから検索することが可能です。
参照:国土交通省|既存住宅状況調査技術者講習制度について
自分で探す手間を省きたい、誰に依頼するか決められないという方は、媒介契約を締結した不動産会社に相談すれば紹介してもらえるでしょう。
不動産のインスペクションを依頼する際の注意点
不動産のインスペクションを依頼する際は、トラブルを回避するためにも、以下のポイントを押さえてから依頼しましょう。
- ・売却計画をしっかり立てる
- ・不動産会社に相談する
- ・売却トラブルを完全に回避できるわけではない
インスペクションの実施には、2週間程度の期間を要します。インスペクションを実施してから売却活動に取り掛かるため、売却活動の開始が遅れたことで売却に支障が生じないように、売却計画をしっかり立てることが大切です。
また、調査会社を探す際にインターネットで検索する方も多いですが、悪質な会社もいるので注意が必要です。インスペクションが必要かどうか、信頼できる調査会社を見つけるためにも、不動産会社に相談することをおすすめします。
インスペクションを実施したからといって、必ず売却トラブルを回避できるわけではありません。調査で発見できない欠陥が潜んでいた場合は、売却後にトラブルが生じる可能性があるので注意してください。
不動産のインスペクションに関するよくある質問
不動産のインスペクションについての理解を深めるために、よくある質問と回答を見ていきましょう。
Q.インスペクションの実施日には立会いが必要?
インスペクションの実施日には、必ず立会いが必要というわけではありません。しかし、調査後に受け取った報告書だけでは状況が分かりにくいため、調査に立会うことをおすすめします。説明を受けられるほか、気になる点を質問できるため、建物の状況を把握しやすくなるでしょう。
Q.インスペクションを実施するには資格が必要?
インスペクションは、誰でも実施できるわけではありません。インスペクションを実施できるのは、国土交通省の定める講習を修了した建築士のみとなっています。インスペクションを依頼する際は、資格があるかどうか確認してから依頼しましょう。
まとめ
インスペクションを実施した場合、他の中古住宅との差別化を図ることによって売却が有利に進む可能性が高まります。また、売却前に欠陥の有無を把握することで、売却後に買主とトラブルになるリスクを軽減できるでしょう。
しかし、インスペクションを依頼する際は費用がかかります。また、インスペクションを実施しても、調査時に見つからなかった欠陥が原因で買主とトラブルに発展する可能性があります。
家の売却を検討しているなら、まずは一括査定でできるだけ多くの不動産会社を比較することが大切です。ニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」なら数多くの不動産会社を比較できます。家の売却を検討している方は、ニフティ不動産を利用してみてはいかがでしょうか。
アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ
部屋を借りる!賃貸版はこちら
住宅を買う!購入版はこちら