
この記事では、築40年のマンションは売れないのか、売れないといわれる理由、資産価値・売却方法、売却する際のポイントなどについて解説します。築40年のマンションの売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- 築40年のマンションは売れない?
- 築40年のマンションは売れないといわれる理由
- 築40年のマンションの資産価値
- 築40年のマンションの売却方法
- 築40年のマンションを売却するためのポイント
- 築40年のマンションに関するよくある質問
- まとめ
築40年のマンションは売れない?

結論から先に述べると、築40年のマンションだからといって売れないわけではありません。成約率は新築マンションよりも低くなる傾向にありますが、新築マンションの価格が上昇していて購入しにくい状況であることも影響し、中古マンションの需要も高まっています。
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」によると、2022年に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は23.33年という結果でした。築30年超の構成比率は31.5%と全体の3割を超えており、内訳は以下のような結果となっています。
- ・築31~40年:15.0%
- ・築40年超:16.5%
上記の結果からも築40年のマンションでも十分需要が期待できることがわかるでしょう。
築40年のマンションは売れないといわれる理由

築40年のマンションは一定の需要が期待できるものの、決して需要が高いわけではありません。築40年のマンションの需要が高くない、売れないといわれる理由として以下の4つが挙げられます。
- ・旧耐震基準で建てられている
- ・設備が古い
- ・ローンの審査が厳しい
- ・修繕積立金が高い
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
旧耐震基準で建てられている
旧耐震基準とは、1981年以前に建築されたマンションに適用されている古い耐震基準のことです。
日本の住宅は、建築基準法といった各種法律や条例などを遵守して建築されています。しかし、時代の変化や地震の被害などを踏まえながら、状況に合わせて適宜見直しが行われています。1978年に発生した宮城県沖地震の被害が甚大だったため、1981年6月1日以降に建築確認申請が受理されたものから新しい耐震基準に対応しています。
旧耐震基準と新耐震基準の違いは以下の通りです。
- ・旧耐震基準:震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けない
- ・新耐震基準:震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けない
新耐震基準では、中地震では軽微なひび割れ程度の損傷にとどめるとされているため、耐震基準が向上していることが分かります。新耐震基準の安全性が高いという理由で旧耐震基準は敬遠される傾向にあります。
設備が古い
新築マンションには最新の設備が導入されており、新品なので故障の心配をする必要はありません。しかし、築40年のマンションは、導入されている設備が古く、劣化が進行しているため、何らかのトラブルが発生する可能性が高いです。
最新設備に交換する、劣化を補うためのリフォームを実施することになった場合は、購入代金とは別に数百万円程度の修繕費用が発生します。
販売価格が築浅マンションと比較してお得であったとしても、修繕費用を含めたトータル費用に大きな差がない場合は、外観もきれいで、購入後のリスクが低い新築または築浅マンションが優先されることが売れにくい理由といえるでしょう。
ローンの審査が厳しい
住宅ローンの契約では、契約者の返済能力だけでなく、不動産の資産価値も審査に影響します。その理由は、返済が滞った場合、担保にした不動産を売却して融資を回収する必要があるためです。
築40年のマンションは、新築マンションや築浅マンションよりも築年数が経過しているので資産価値が低いです。融資を希望しても、資産価値が低いという理由から希望借入額よりも少ない融資しか受けられない、旧耐震基準であるという理由から融資を断られる可能性があります。
住宅ローンを利用できない、利用できたとしても希望借入額よりも少ない場合、自己資金で購入しなくてはなりません。購入のハードルが高いという理由で敬遠される傾向にあります。
修繕積立金が高い
修繕積立金とは、マンションの長期修繕計画に基づいて、将来的に必要な修繕費用を補うために入居者が積み立てるお金です。
足場を組んだ規模が大きな修繕が実施される大規模修繕工事は15年に1回の頻度で実施されますが、築年数が経過するほど、工事にかかる費用が大きくなります。そのため、築年数の経過とともに修繕積立金の金額が見直されて、増額されるのが一般的です。
購入後の維持コストが高いことも築40年のマンションが売れにくい理由といえるでしょう。
築40年のマンションの資産価値

築40年のマンションの売れにくい理由を見て、売れた場合でも安く買いたたかれるのではないかと不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
国土交通省が運営している土地総合情報システムにおいて、2022年第1四半期から第4四半期までに取引されたマンションの取引情報をもとに、抽出した結果をまとめると以下の通りです。
築年数(取引時期) | 平均価格 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
築30年(1984~1993年) | 2,637万2,441円 | ||||||||||
築40年(1974~1983年) | 2,878万6,144円 | ||||||||||
築50年(1964~1973年) | 2,805万1,650円 |
参照:国税庁「土地総合情報システム」東京都のデータをもとに作成
マンションは築年数の経過とともに資産価値が減少します。そのため、取引価格も築年数の経過に応じて低下するのが一般的です。しかし、築30年は大きく取引価格が下がる傾向があるものの、築40年、築50年の取引価格はあまり変化していません。
2022年第1四半期から代4四半期までの1年間で取引された築年数別の全ての成約価格の平均値であるため、極端に安いまたは高い成約価格の影響を受ける可能性はあります。しかし、結果からは築40年であっても資産価値に与える影響は小さいといえるでしょう。
築40年のマンションの売却方法

築40年のマンションを売却する方法として、以下の2つが挙げられます。自分に合った売却方法を選択するためにも、事前に各売却方法の特徴を把握しておきましょう。
メリット | デメリット | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
仲介 |
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買取 |
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それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
仲介
仲介とは、不動産会社と媒介契約を締結して、買主を探してもらうことです。不動産のプロである不動産会社が売却をサポートしてくれます。市場相場を踏まえた価格で売却できるため、買取よりも高く売却できるのが一般的です。
しかし、仲介で成約に至った場合は、不動産会社に報酬として仲介手数料を支払わなくてはなりません。また、買主を募集するにあたって、物件が広告に掲載されるので周囲に売却することがバレる、住みながら売却する場合には内覧に対応しなくてはならないので手間がかかります。
不動産会社にサポートを依頼しても成約するまでに時間がかかる可能性がある、売却後のマンションに何らかの欠陥が見つかった場合は契約不適合責任を理由に買主から代金減額や損害賠償などを請求される可能性があるので注意が必要です。
- ・少しでも高く売却したいと考えている人
- ・売却に時間がかかっても問題ない人
買取
買取とは、買取に対応している不動産会社に直接買い取ってもらうことです。不動産会社が直接買い取ってくれるので買主を探す手間を省けます。
そのため、スムーズに現金化できる、内覧に対応せずに済む、広告に掲載されないので周囲にバレずに済みます。また、不動産会社との取引なので契約不適合責任を負わずに済む、仲介ではないので成約しても仲介手数料を支払わずに済む点も大きなメリットといえるでしょう。
しかし、不動産会社は安く買い取った不動産を転売することによって利益を得ているため、仲介のように高値での売却は期待できません。また、立地が悪い、劣化が著しいなどにように、転売による利益が期待できない不動産の場合、買取に対応してもらえない可能性があるので注意が必要です。
- ・現金が今すぐに必要な人
- ・手間や時間をかけずに売却したい人
築40年のマンションを売却するためのポイント

築40年のマンションを少しでも早く・高く売却するには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- ・売却前にリフォームをしない
- ・長期修繕計画を確認しておく
- ・複数の会社に査定を依頼する
それぞれのポイントを詳しく説明していきます。
売却前にリフォームをしない
築40年のマンションは経年劣化が進行しているため、売却前にリフォームしたほうが、売却が有利に進むと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、リフォームをしても売却が有利に進むとは限りません。築40年という築年数が気になっている方にとっては部屋のリフォームが完了しているかどうかは関係ないためです。また、リフォーム費用を上乗せして買主を募集した場合には、他の築40年のマンションより価格が高いため、敬遠される可能性があります。
安価に住居を手に入れたい、自分で好きにリフォームしたいと考えている方も多いため、不動産会社に提案された場合を除き、基本的には売却前にリフォームをしないほうが良いでしょう。
長期修繕計画を確認しておく
マンションは建物の規模が大きく、複数の世帯が暮らす集合住宅であるため、経年劣化に対する修繕工事をスムーズに実施するために、長期修繕計画を作成しています。
長期修繕計画に基づく大規模修繕工事は12~15年に1回の頻度で実施されます。大規模修繕工事の実施前は修繕積立金が引き上げられていて維持コストが高い、実施中は足場が組まれていて印象があまり良くありません。
そのため、大規模修繕工事が実施されて外観がきれいな状況になってからのほうが売却を有利に進められるでしょう。
複数の会社に査定を依頼する
マンションを売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。その理由は、不動産会社ごとに査定結果が異なるためです。
営業力が乏しく、売却に自信がない不動産会社の場合は、低い査定結果を出す可能性があります。一方、営業力が高い、多くの顧客を抱えていてスムーズな売却が可能な不動産会社の場合は、高い査定結果を提示しがちです。
1社だけに査定を依頼した場合は、その不動産会社が提示した査定結果が適切なのかどうか判断できません。複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果や実績、担当者の相性などを比較しながら信頼できる不動産会社に売却を依頼すれば、好条件での売却が期待できるでしょう。
築40年のマンションに関するよくある質問

築40年のマンションを売却すべきかどうか悩んでいる方は、築40年のマンションに関するよくある質問と回答もあわせて確認しておきましょう。
Q.築40年のマンションの固定資産税はいくら?
立地や条件によって異なるため、築40年のマンションの固定資産税がいくらになるとは一概に言い切れません。しかし、築年数の経過とともに建物の固定資産税評価額が低下するため、新築マンションや築浅マンションよりも大幅に負担を軽減できます。
Q.築40年のマンションはいつまで住める?
鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年となっています。そのため、築47年を迎えると、建物の価値は0円になります。しかし、法定耐用年数を迎えても住めなくなるわけではありません。国土交通省は鉄筋コンクリート造のマンションの寿命を68年、適切な修繕を行っていれば100年以上になると公表しています。
Q.築40年のマンションは20年後どうなる?
国土交通省の公表を踏まえると、寿命となる68年を迎えることになります。劣化があまり進行していない場合は寿命を迎えるまで修繕を繰り返すことになるでしょう。しかし、劣化が進行していて限界を迎えたと判断された場合、マンションを建て直すことになります。時間だけでなく費用も要するので注意が必要です。
まとめ
マンションは築年数の経過とともに劣化が進行するため、売却価格が下がります。築30年を迎えると売却価格が大きく下がる傾向がありますが、築40年、築50年はあまり差がありません。
築40年超のマンションは市場のシェアの16.5%を占めており、需要が全くないというわけではありませんが、新築または築浅のマンションと比較すると売却に苦戦する可能性が高いです。
少しでも早く・高く売りたいと考えている方は、記事に書かれているポイントを押さえた上で、売却に移りましょう。
ただし、不動産会社によって、売却額は大きく異なってくるので、できるだけ多くの不動産会社を比較し、マンション売却に強くて信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
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