引越し時に住民票を移動する方法|転出・転入・転居届など必要な手続きを解説
引越しは頻繁に行うものではないため、住民票の移動が必要なのはなんとなく分かっていても、具体的な手続きをどうすればよいのか分からない方は多いと思います。以下では住民票の移動の手続きに必要なもの、そのタイミング、役所に足を運べない場合にインターネットで手続きができるか、などを項目ごとにご説明いたします。
役所での住民票の移動手続きの方法

引越しの際にどのような届け出が必要かについては、転居先が現住所と同じ市区町村内にあるかどうかで異なってきます。
【市区町村をまたぐ引越しをするとき】
- 旧住所管轄の役所で転出の届け出
- 引越し
- 新住所管轄の役所で転入の届け出
【同市区町村内で引越しをするとき】
- 引越し
- 旧住所(新住所)管轄の役所で転居届を提出
以下、具体的に「転出届」「転入届」「転居届」の違いについてご説明いたします。
住民票の移動に関する届け出は3つ
住民票の移動に関する届け出は以下の表に示すように3つに分けることができます。届け出る場所 | 必要になる条件 | |
転出届 | 旧住所管轄の役所 | 旧住所から別の市区町村へ引越す場合 |
転入届 | 新住所管轄の役所 | 新住所と別の市区町村から引越ししてきた場合 |
転居届 | 旧住所(新住所)管轄の役所 | 新住所と同じ市区町村内で引越した場合 |
住民票は市区町村単位で管理されているため、移転先と現住所が同じ市区町村内であれば、引越し後に転居届を行うだけで十分です。
市区町村をまたぐ場合には、現住所を管轄する市区町村からまず転出する届け出をし、別途移転先の住所を管轄する市区町村に転入する届け出が必要になります。
具体的な手続きに関しては前もって各自治体に確認しておくことをおすすめいたします。
転入届の手続きのみで良いケース
現住所と引越し先が同じ市内である場合は引越し後に届け出る転入届のみで、転出届は原則として必要ありません。例えば、同じ市内で別の区に引っ越す場合は引越し先の区役所で転入届・転居届・区間移動届・住民移動届などの届け出をすることになります。名称は異なりますが、制度趣旨は同じです。市によっては旧住所を管轄する区役所で転入届の手続きができる場合もあります。
注意が必要なのは東京都23区間での引越しです。例えば、世田谷区から杉並区に移動する場合、「区間」の移動ですが、市内での移動ではありませんので、転出届・転入届の両方が必要です。
住民票の移動手続きの必要性

引越し前後は忙しいと思いますが、住民票の移動手続きは法的義務であるため、確実に行いましょう。もし、届け出をうっかり忘れるようなことがあれば以下の条文が示す通り、住民基本台帳法違反になります。
(転入届)
第二十二条 転入(新たに市区町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下この条及び第三十条の四十六において同じ。)をした者は、転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項(いずれの市区町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者にあつては、第一号から第五号まで及び第七号に掲げる事項)を市区町村長に届け出なければならない。
引用元:住民基本台帳法 第22条 第四章 届出(転入届)
(転居届)
第二十三条 転居(一の市区町村の区域内において住所を変更することをいう。以下この条において同じ。)をした者は、転居をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市区町村長に届け出なければならない。
引用元:住民基本台帳法 第22条 第四章 届出(転居届)
(転出届)
第二十四条 転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市区町村長に届け出なければならない。
引用元:住民基本台帳法 第22条 第四章 届出(転出届)
転出届・転入届・転居届の提出期限

各届け出には提出期限がありますので、必ずその期間内に行うようにしましょう。
転出届は引越しをする2週間前から提出できるのが一般的です。引越し前は忙しいと思いますが、時間を見つけて市区町村の役所に行き、転出届を行いましょう。引越しまでにどうしても間に合わなかった場合は引越し後2週間内に必ず完了するようにしましょう。
新居に引越し後は転入届が必要になりますが、2週間以内に行うようにします。転居届も同様の期間内に手続きを終えるようにします。一時的な引越しは別として、期間内に届け出を行わなければ、以下の条文が示すように住民基本台帳法違反になり、最大5万円の過料に処せられる可能性があります。
第五十二条 第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出に関し虚偽の届出(第二十八条から第三十条までの規定による付記を含む。)をした者は、他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き、五万円以下の過料に処する。
引用元:住民基本台帳法 第6章 罰則 第五十二条
住民票の移動手続きをしない場合に起きること

住民票の移動手続きを行わないことは法令違反ですが、それ以外にもさまざまなデメリットがあります。
- 確定申告が新住所で行えない
個人事業主の方は毎年の確定申告が必要になりますが、住民票を移動していなければ、旧住所の税務署に対して申告することになります。現在、確定申告そのものはインターネットで提出できるようになっていますからどこにいても行えますが、相談など窓口でのやりとりが必要になった場合には旧住所の税務署まで足を運ばなければなりません。 - 新居住地の選挙の投票ができない
市区町村の選挙人名簿は住民基本台帳をもとに作成されます.
そのため、住民票を移動させていなければ、旧住所の選挙には参加できるものの、実際に自分の生活と関わりのある新住所での選挙には参加できません。 - 子どもの転校手続きに影響
子供の転校手続きのためには新住所の役所で転入学通知書の発行が必要ですが、この手続きは住民票の移動と紐付いています。 - 現住所管轄の役所へ行く
- 転出届を記入
- 転出届を提出
- 転出証明書を受け取る
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
- 印鑑
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 印鑑登録証明書、印鑑登録証(印鑑登録をしている人のみ)
- 国民健康保険証、介護保険被保険者証など(該当者のみ)
- 新住所のメモなど
- 転出前の役所のホームページから郵送用の転出届をダウンロード
- 転出届と必要書類を用意する
- 用意したものを封筒に入れて転出前の役所宛てに郵送
- 新住所管轄の役所へ行く
- 転入届を記入
- 転出証明書と転入届を提出
- 転出証明書
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
- 印鑑
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 国民健康保険証など(該当者のみ)
- 新住所のメモなど
- 旧住所(新住所)管轄の役所へ行く
- 転居届を記入
- 転居届を提出
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
- 印鑑
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 国民健康保険証など(該当者のみ)
- 新住所のメモなど
- 同棲しているカップル(※同一世帯の届け出を出している場合)
- 同居の同世帯家族
- 同居の別世帯家族
- 別居の親子
- 委任状
- 代理人の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 代理人の印鑑
- 転出届・転入届・転居届を提出する人の印鑑
- 転出届・転入届・転居届を提出する人のマイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード
- 転出届・転入届・転居届を提出する人の国民健康保険証など(持っている場合のみ)
- 転入届の場合は転出証明書
転出届の手続きのやり方

転出届は現住所から市区町村をまたいで引越しする場合に必要な手続きです。
<転出届の流れ>
転出証明書を受け取ったら大切に保管しておきましょう。引越し後、新住所の管轄市区町村で転入届をする際に必要です。前述したように引越し後14日以内に転入届の手続きが必要ですが、転出届や転出証明書に有効期限はありませんので、過ぎてしまった場合でも使用することは可能です。
転出届の手続きに必要なものや書類
転出届の手続きに必要なものや書類は以下のとおりです。【転出届の手続きに必要なもの】
転出届を郵送で提出する方法
転出届は基本的に引越し前に役所に足を運び、窓口で手続きを行いますが、さまざまな事情でそれが難しい場合は郵送で提出することも可能です。<転出届を郵送で提出する場合の手順>
一般的に必要書類として本人確認書類のコピーや切手を貼った返信用封筒が必要になりますが、他にも必要になる書類があるかは各自治体によって異なりますので、前もって確認することをおすすめします。
転入届の手続きのやり方

新しい住所に引越したら、その市区町村の住民基本台帳に登録するために転入届が必要になります。転入届は原則として郵送での対応はできないので、直接役所に足を運んで手続きを行いましょう。その際、転出証明書を忘れないようにしてください。
<転入届手続きの流れ>
転入届の手続きに必要なものや書類
転入届の手続きに必要なものは以下になります。【転入届の手続きに必要なもの】
転居届の手続きのやり方

新住所と現住所が同じ市区町村内である場合は引越し後に行う転居届のみで手続きが完了します。
<転居手続きの流れ>
転居届の手続きに必要なものや書類
転入届の手続きに必要なものや書類は以下の通りです。【転入届の手続きに必要なもの】
転居届の手続きのタイミング
転居届はあくまでも引越し後に行う手続きです。引越し前にはできませんので、注意が必要です。引越し後2週間以内に確実に手続きを完了できるようにしましょう。仕事などで平日に行くことが難しい場合は土日に手続き可能な自治体もありますので、事前に確認しておくことをおすすめいたします。自分で役所へ行き、手続きができない場合

転出届、転入届、転居届それぞれは定められた期間内に手続きを行う必要がありますが、仕事や病気、怪我などでどうしても自分で役所に行き手続きができない場合があります。そうしたケースでは代理人による手続きも可能です。
平日が不可能なら土日窓口を利用
平日に役所に足を運ぶことがどうしても難しいようなら、土日窓口の利用を検討しましょう。自治体によって土日の窓口利用の可否や受付時間は異なりますので、事前に確認が必要です。区役所本庁舎1階で毎週日曜日に手続きができます。(ただし、年末年始の12月29日から1月3日は除きます。)
手続きが可能な業務は、転入届、転居届(区内での異動)、転出届や住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍全部(一部)事項証明書などです。
引用元:東京都中央区 組織と業務案内 「日曜日に転入届や住民票の発行はできますか。」
代理人による手続き
転出届・転入届・転居届はいずれも同一世帯内の家族であれば手続き可能です。同一世帯内の家族以外が代理人になる際は委任状が必要になります。委任状は、市区町村の窓口で受け取るか、各自治体のホームページからもダウンロード可能です。【委任状が不要】
【委任状が必要(代理人)】
以上からお分かりいただける通り、同じ住所に住んでいても生計を共にしていない別世帯の家族、血縁関係があっても別の住所に住んでいる家族などの場合は、代理人になるための委任状が必要です。
【各手続きに必要なもの】
インターネット
さまざまな手続きが電子化されていますが、住民票の移動手続きも例外ではありません。市区町村によっては、公的個人認証サービス署名用電子証明書が格納されているマイナンバーカード、もしくは住民基本台帳カードを持っていれば、インターネットを利用して転出届を行うことができます。ただ、転入届は直接役所に足を運んで手続きする必要があります。インターネットで転出届を行った場合、実際の転出証明書とは異なり、14日経つと無効になるため、その期間内に転入届の手続きを完了するようになさってください。
まとめ
以上、転出届、転入届、転居届の違いをご紹介しました。
現住所と新住所の管轄市区町村が同じであれば、転居届のみで手続きが完了しますが、そうでない場合は転出届、転入届のどちらも期間内に行うようにしましょう。
住民票の移動手続きはやってもやらなくても良いものではなく、住民基本台帳法上の法的な義務です。確定申告や転校手続きにもさまざまな影響を与えますので、先延ばしせずにきちんと行いましょう。詳しい情報に関しては前もって各自治体のホームページなどで確認するようにしてください。
この記事を書いた人

- ニフティ不動産編集部
- 引越しに役立つ情報をお届けします。 ニフティ不動産は大手不動産サイトの賃貸物件、購入物件をまとめて検索できるサイトです。