2021.03.31

引越しでパスポートの住所変更は必要?更新が必要なケース・手続き方法とは?

引越しでパスポートの住所変更は必要?更新が必要なケース・手続き方法とは?
引越しの際には住民票の住所変更手続きを行う必要がありますが、同時にパスポートの住所変更手続きを行う必要があるのかどうか、気になっている人も多いのではないでしょうか。マイナンバーの住所変更手続きは必須となるため、もしパスポートの住所変更手続きも必要であれば、市区町村役場の窓口で一緒に済ませてしまいたいのが本音です。

基本的に引越しによる住所変更で何らかの手続きを行う必要はありませんが、特定の条件が重なると、同時に更新手続きが必要となるケースもあります。今回はそうしたイレギュラーなケースについて知り、パスポート更新・切替のタイミングについても理解を深めておきましょう。

引越してもパスポートの住所変更は必要ない

引越してもパスポートの住所変更は必要ない

引越しで住所が変わったとしても、パスポートの住所変更手続きは必要ありません。なぜなら、住所はパスポートの記載事項でないからです。

各自治体のパスポートセンターでは引越した時の対応として、パスポートの最終ページにある「所持人記入欄」に記載された住所を二重線で訂正し、現住所を記入することを推奨していますが、実施しなかったからといって罰則などはありません。また、令和2年2月4日以降に申請したパスポート(2020年旅券)には「所持人記入欄」がないことからも、パスポートにおける重要性が低いことが推測されます。

ただし、引越しのタイミングが「本籍の変更」と重なる場合は、パスポートの住所更新が必要となります。更新の対象となる人は、本籍の変更が都道府県をまたぐ場合であり、同じ都道府県内で本籍を変更する場合は対象となりません。

パスポートの住所更新はいつ必要?

パスポートの住所更新はいつ必要?

パスポートの住所更新が必要となるタイミングを以下にまとめました。

  • 結婚や養子縁組などにより戸籍上の氏名が変わった場合
  • 家庭裁判所の許可により戸籍上の氏名が変わった場合
  • 本籍の都道府県が変わった場合※
  • 国際結婚などで外国の氏名を別名として併記または削除する場合
  • 家庭裁判所の審判により性別を変更した場合
  • 戸籍上の生年月日に変更があった場合
※同じ都道府県内で本籍を変更した場合は対象外

パスポートの住所更新手続きが必要になるのは、主に「氏名変更時」と「本籍の都道府県変更時」です。したがって、引越しと直接関係があるとはいえません。しかし、結婚による戸籍上の氏名変更と、引越しのタイミングが重なった場合は、引越しと同時にパスポートの住所更新手続きを行うことになります。

パスポートの更新手続きに期限などはありませんが、パスポートに内蔵されているICチップに、追記欄に記載されている訂正事項は反映されていないため、出入国時の審査などに支障が生じる可能性があります。海外入国時には渡航理由を英語で質問されることもあるため、英語が上手く話せないことに加えて、ICチップと記載事項の内容が異なっている場合にはスムーズに入国できないことが想定されます。保有しているパスポートの残存有効期間が短い場合には、パスポートの切替申請も検討しましょう。

パスポートの訂正申請は廃止された

平成26年3月19日以前のパスポートでは、氏名や本籍の都道府県変更時にパスポートの記載事項をタイプ印字する制度(訂正申請)が採用されていましたが、平成26年3月20日を境に廃止されました。そして、平成26年3月20日以降に始まったのが「記載事項変更申請」です。

記載事項変更申請は、従来の訂正申請と同様に氏名や本籍の都道府県変更を記録する目的がありますが、以下の2つの点で大きく異なります。
  • 保有するパスポートを返納し、新しいパスポートを発行する
  • 所持人自署(サイン)・顔写真・旅券番号・ICチップ内の情報が新しくなる

記載事項変更申請には6,000円の変更手数料が発生しますが、詳細は後述していますので確認してください。

「切替申請」もしくは「記載事項変更申請」が必要

パスポートの住所更新手続きでは、「記載事項変更申請」のほかに「切替申請」を選択することも可能です。切替申請とは、文字通り「パスポートの切替」を行うもので、有効中のパスポートがあっても新しく作り替えることができます。

対象者には氏名と本籍の都道府県変更者のほかに、「残存有効期間が1年未満になった人」や、「査証欄(ビザの貼付、出入国スタンプを押すページ)の残りが少なくなった人」などが含まれます。査証欄の残りが少なくなった人は査証欄を増やす「増補申請」も選択できるため、自身の状況に合った方法を選びましょう。

「切替申請」と「記載事項変更申請」はどちらがいい?

「切替申請」と「記載事項変更申請」はどちらがいい?

パスポートの住所更新手続きが必要と分かった人にとって気になるのは、「自分がどちらの申請方法を選択したら良いのか」ということではないでしょうか。そこで今回は、切替申請と記載事項変更申請の違い・共通点を以下の表にまとめました。

比較項目切替申請記載事項変更申請
現在有効中のパスポートは
どうなる?
失効して新しいパスポートに変わる
パスポートの有効期間発行日より10年または5年
※現在のパスポートの残り有効期間(残存有効期間)は切り捨て
※20歳未満の方は5年のみ
現在の有効期間満了日は変わらない
所持人自署(サイン)・顔写真・旅券番号・ICチップ内のデータはどうなる? 新しくなる
※旅券番号は受取まで確認できない
受取までの日数申請の種類や申請窓口・受取窓口によって異なる
※詳しくは各自治体のパスポートセンターに問い合わせ
手数料10年:16,000円
5年(12歳以上):11,000円
5年(12歳未満):6,000円
6,000円
代理人による申請できる
代理人による受取できない
出入国時の自動化ゲートや機械読み取りは利用できるか?できる

出典:神奈川パスポートセンター(一部文章を省略・変更)

パスポートの住所更新手続きを費用面で見ると、記載事項変更申請の方が安く感じることでしょう。しかし、観光目的の短期滞在でビザが不要な場合であっても、渡航先の入国条件に「一定期間以上の有効期間が残っていること」と記載がある際は入国できないケースもあります。「3~6ヶ月の有効期間があれば良い」とする受入国もありますが、パスポートの残存有効期間が1年未満であれば切替申請ができるため、新しく作り替えることをおすすめします。

また、就労や留学目的で日本を離れる際は長期ビザを取得する必要があるため、パスポートの残存有効期間が1年以上の場合でも切替申請を行うことができます。ビザの残存有効期間を確認するのはもちろんのこと、渡航先の国の最新情報を各国の在日大使館の発表でチェックすることが重要です。

切替申請の手続き方法

切替申請の手続き方法

切替申請手続きは、必要書類をそろえて各都道府県・自治体のパスポートセンターに向かい、窓口で担当者に手渡すことで申請が完了します。代理人や未成年者の申請時も同様に窓口での申請となるため、以下の表を参考にしてみてください。

項目内容
手続きの場所各都道府県・自治体のパスポートセンター
手続き可能時間窓口によって変動
必要書類①一般旅券発給申請書(新規・切替用) 1通
(※パスポートセンター窓口にある)
②6ヶ月以内に撮影したパスポート用写真 1枚
③6ヶ月以内に発行された戸籍謄本/抄本 1通
(※必要ないケースもある)
④有効期間中のパスポート
⑤本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
代理申請で必要なこと・書類①通常時の必要書類すべて
②各申請書の「委任申出書」欄に記入
(※申請者本人と代理人の双方が必要事項を記入する)
③代理人の本人確認書類の原本
(※コピーNG)
未成年者の申請で必要なこと・書類①通常時の必要書類すべて
②申請書の「法定代理人署名」欄に親権者または後見人の署名が必要
切替申請手続きでは、有効期間中のパスポートを保有しており、氏名や本籍の都道府県変更がない人であれば、戸籍謄本・抄本の提出を省略することができます。戸籍謄本・抄本は、本籍の市区町村役場でしか発行できないため、取り寄せる必要がないことを考えると大変便利といえます。なお、切替申請にかかる手数料はパスポート受取時に役場窓口で支払うため、切替申請手続きを行う際には手数料を支払う必要がありません。

記載事項変更申請の手続き方法

記載事項変更申請の手続き方法

記載事項変更申請手続きも、基本的には切替申請と同様の流れとなります。異なる点は、「6ヶ月以内に発行された戸籍謄本・抄本が1通必要になること」で、申請時に持参しなければなりません。代理申請や未成年者の申請でも同様に戸籍謄本・抄本が必要となるため、早めに取り寄せておく必要があります。

項目内容
手続きの場所各都道府県・自治体のパスポートセンター
手続き可能時間窓口によって変動
必要書類①一般旅券発給申請書(記載事項変更用) 1通
(※パスポートセンター窓口にある)
②6ヶ月以内に撮影したパスポート用写真 1枚
③6ヶ月以内に発行された戸籍謄本/抄本 1通
④有効期間中のパスポート
⑤本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
代理申請で必要なこと・書類①通常時の必要書類すべて
②各申請書の「委任申出書」欄に記入
(※申請者本人と代理人の双方が必要事項を記入する)
③代理人の本人確認書類の原本
(※コピーNG)
未成年者の申請で必要なこと・書類①通常時の必要書類すべて
②申請書の「法定代理人署名」欄に親権者または後見人の署名が必要
戸籍謄本・抄本の郵送はポスト投函~市区町村役場到着、市区町村役場~発送、郵便会社~自宅といった経路をたどるため、原本が到着するまでに約7日~14日かかります。パスポートセンターで申請を予定している人は余裕をもった準備が必要となります。

また、戸籍謄本の原本が自宅に到着し、パスポートセンターで記載事項変更申請を行っても、当日パスポートを受け取ることはできません。市区町村のパスポートセンターによりますが、申請日を含めて約1週間前後で申請窓口にて受け取れるようになるため、さらに余裕をもった行動が必要となります。戸籍謄本の取り寄せ手続きを合わせると、新しいパスポートが自宅に届くまでに最大3週間程度かかる可能性があることを覚えておきましょう。

全国の市区町村役場の中には戸籍事務が電子化された役場もあります。戸籍事務が電子化された役場では、戸籍謄本を「戸籍全部事項証明書」、戸籍抄本を「戸籍個人事項証明書」として発行していることがあります。これらの証明書は名称こそ異なるものの、戸籍謄本・抄本と同じ扱いとなるため、記載事項変更申請に利用できます。戸籍謄本・抄本の取り寄せに関する詳細は、市区町村役場の戸籍担当課に連絡して確認をとってください。

申請日に12歳未満の人は手数料が減額される

申請日に12歳未満の人は手数料が減額される

パスポートの切替申請や新規申請を行う際に、対象者が当日12歳未満である場合は手数料が減額されます。申請時の年齢基準は「年齢計算に関する法律」で定められており、誕生日の前日に1歳加算され、12回目の誕生日の前日に12歳となります。したがって、12歳未満の手数料が適用されるのは、「12回目の誕生日の2日前まで」となります。

期限切れパスポートを持っていて住所変更したい場合

期限切れパスポートを持っていて住所変更したい場合

期限切れパスポートを持っていて、かつ住所変更手続きを行いたいと考えている人は、以下の持ち物を持参してパスポートの新規発行を行います。

  • 一般旅券発給申請書:1通
  • 戸籍抄本または戸籍謄本:1通
  • パスポート用の写真:1枚
  • 本人確認書類:1点(2点の場合あり)
  • 期限切れのパスポート(または帰国のための渡航書)

「一般旅券発給申請書」はパスポートセンターや各自治体の窓口で受け取れるため、自身が住む市区町村役場のホームページで確認しましょう(申請時に窓口で書くことも可能)。また、本人確認書類は「運転免許証」や「マイナンバーカード」、「身体障害者手帳」などであれば1枚で問題ありませんが、それ以外の本人確認書類の場合は2枚必要になるケースがあるため、事前に各自治体のホームページで調べてください。

まとめ

パスポートの住所更新手続きが必要なのは、氏名と本籍の都道府県変更があった場合です。その際、パスポートの残存有効期間が1年未満の場合は「切替申請」を選択し、1年以上の場合は「記載事項変更申請」を行います。1年以上の残存有効期間があったとしても、パスポートを新しく発行する切替申請が選択できる場合があるため、まずはお住まいの市区町村役場の担当課や、パスポートセンターに問い合わせましょう。

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ニフティ不動産編集部
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