2021.03.31

引越しの退去時にはどこまで掃除すべき?敷金返還のための掃除方法を解説

引越しの退去時にはどこまで掃除すべき?敷金返還のための掃除方法を解説
退去時には、きちんと掃除をして気持ち良く引越しをしたいですよね。
でも、一体どこまで掃除すればいいのか分からない方も多いと思います。

賃貸物件には、貸主の負担と入居者の負担が明確に定められているため、入居者の負担に該当する部分をきちんと掃除することがポイントです。
この記事では、退去時に掃除が必要な理由や費用負担、敷金を返金してもらうための掃除方法を解説します。

引越し退去時に掃除が必要な理由

引越し退去時に掃除が必要な理由

引越しで賃貸物件を退去するときには、旧居を掃除する必要があります。
掃除が必要な理由は、賃貸の退去時、入居者には原状回復をする義務があるからです。

原状回復とは、簡単に言うと「本来の状態に戻すこと」です。
国土交通省のガイドラインによると、原状回復は「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」とされています。

つまり、入居者が通常の使用を超えて物件を傷つけてしまった場合、修繕費用を負担する必要があるということです。

そのため、引越し退去時にきちんと掃除を行い、原状回復することが重要になります。
原状回復できれば、修繕費用の負担を減らすことができ、敷金が返金される可能性があります。

敷金とは、物件退去時の原状回復のための修繕費用として、貸主が前もって預かるお金のことです。
家賃1~2ヶ月分が相場で、退去時には原状回復にかかった費用が差し引かれ、残りの金額が返金されます。

退去時に敷金をできるだけ多く返してもらうためにも、引越し時の掃除は必要になります。

原状回復費用は貸主負担?借主負担?

原状回復費用は貸主負担?借主負担?

入居者には原状回復の義務があるため、入居直後の状態に戻してから退去する必要があります。

通常、退去時にきちんと部屋の掃除を行い、原状回復ができていれば、退去時の費用はかからず、敷金が返金されます。
しかし、過度な汚れや傷があった場合は、退去時に原状回復費用を請求され、敷金が返金されない場合もあります。

この原状回復のボーダーラインは非常に分かりづらく、貸主と借主どちらが費用を負担するのか曖昧でトラブルが生じることもあります。
以下で、実際にイメージしやすいよう、貸主負担と借主負担の具体例をまとめましたので、参考にしてください。

場所・設備貸主(大家)負担になる場合借主(入居者)負担になる場合
壁・天井・テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(電気やけ)
・クロスの変色(日照などの自然現象によるもの)・
・タバコのヤニ、臭い(クロスが変色したり臭いが付着している場合)
・結露を放置したことで拡大したカビ、シミ(手入れを怠り腐食させた場合)
・家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
・畳の変色、フローリングの色落ち(日照、雨漏りなどで発生したもの)
・引越し作業で生じたひっかき傷
・フローリングの色落ち(貸借人の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)
浴室・古くなった給湯器の交換(壊れてはいないが、次の入居者確保のために行う場合)・浴槽の水垢、カビ(清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合)
・次の入居者に向けて鍵を取り替える(破損、紛失のない場合)・不注意で鍵を破損した、鍵を紛失した
建具・窓・地震で破損したガラス
・網戸の張替え(破損はないが、次の入居者確保のために行うもの)
・ペットによる傷、臭い
・落書き等の故意による毀損

上記のように、入居者の明らかな過失や故意による毀損でなければ、原状回復費用は借主が負担しなくてもいいということです。
つまり、退去時にきちんと掃除をしておけば、敷金は多く返金されることになります。
原状回復費用の負担や敷金の返済については、入居時の契約内容を確認の上、気になることがあれば管理会社に問い合わせて聞いてましょう。

引越し退去時の掃除方法とコツ

引越し退去時の掃除方法とコツ

敷金を少しでも多く返してもらうためにも、退去時の掃除と原状回復をきちんと行う必要があります。
しかし、きちんと行うと言われてもどこを重点的に掃除すればいいのか分かりませんよね。

ここでは、原状回復をしっかり行い、敷金を取り戻すために重要な掃除方法とコツをご紹介します。
引越し退去時には、以下の部分の掃除を重点的に行いましょう。

  • 壁・天井の掃除
  • まずは壁や天井に汚れがないか確認しましょう。タバコのヤニ汚れなどでシミができている場合には、家庭用中性洗剤を5%ほどに薄めた水で雑巾をぬらし、壁をたたくように拭いてください。
    また、壁に傷があるかどうかも確認しましょう。画鋲やピンなどによる穴が空いている場合、充填補修材を使い修復してください。

  • 床・畳の掃除
  • フローリングの場合、溝に沿って掃除機・雑巾がけを行います。もし汚れが目立つようであれば、雑巾に中性洗剤とクレンザーを混ぜた液体を含ませて、拭き掃除をしましょう。
    畳もフローリングと同様、畳の目に沿って掃除機でホコリを吸い取ります。その後、お湯で絞った雑巾で拭き掃除を行います。お湯を使うことで、畳に付着した油分を溶かすことができます。

  • 浴室の掃除
  • 浴室の掃除は、上から下に向かって行うのがポイントです。まずは天井を確認し、カビがないかチェックします。カビがあったらカビ取り剤を使い、カビがなくなるまで掃除します。その後、壁の水垢を落としていきます。水垢は市販の洗剤で落とすことができます。ゴムパッキン部分にカビ汚れがある場合、塩素系漂白剤を使って歯ブラシで落としましょう。

  • トイレの掃除
  • トイレは黒ずみがないか確認しましょう。黒ずみがひどい場合は、ドメストなど塩素系洗剤を使うと効果的です。また、壁や床には尿が飛び散って汚れていることがあるため、ウェットシートなどで丁寧に拭き掃除しましょう。

  • キッチンの掃除
  • まずはシンクの水垢を確認します。汚れがある場合には、クエン酸や重曹を使って掃除するのが効果的です。また、換気扇やレンジフードの油汚れを落とすことも重要です。換気扇のフィルターを外し、中性洗剤とスポンジを使ってこすり、雑巾で拭き取りましょう。

  • 窓ガラスの掃除
  • 窓ガラスは、水で濡らした新聞紙で拭くことで、手垢やタバコのヤニを落としてくれます。また、窓ガラスの拭き掃除では、雑巾を分けて使用し、しっかりと水分を拭き取ることがポイントです。
上記を参考にして、退去前に掃除をしてお部屋をきれいにしましょう。

退去時に高額請求された場合の対処法

退去時に高額請求された場合の対処法

「敷金が返ってくると思っていたら、なんと高額請求されてしまった」というケースは少なくありません。
退去時に高額請求されてしまう原因は、主に以下の4つです。

  • 結露を放置したことによるカビやシミ
  • ペットによる傷や臭い
  • 鍵の紛失、破損による取り替え
  • タバコのヤニ

このような場合には、敷金から修繕費用が差し引かれることがあります。
しかし、それ以外の場合は、ほとんど経年劣化として認められる可能性が高いです。

もし、退去時に高額請求されて、納得がいかない場合には、以下の点を確認してみましょう。
  • 請求金額の内訳を確認する
  • 専門家に相談する

まずは請求金額の内容を確認することが重要です。
請求書に細かい項目が記載されておらず、簡易的な項目のみ記載されている場合には、明細をもらいましょう。
その後、明細の項目の中で入居者が負担しなくて良い費用がないか確認し、もしあれば管理会社や大家に直接伝えましょう。

それでも解決しない場合や、交渉を断られてしまった場合には、消費者ホットラインや日本消費者協会などの専門家に相談しましょう。

まとめ

この記事では、引越しの退去時に掃除すべき理由と費用負担、掃除方法のコツを解説しました。

入居者には、退去時の原状回復義務があるため、きちんと掃除を行い元の状態に戻しましょう。
掃除したのに敷金が返金されないといったことを防ぐためにも、事前に契約内容をしっかりと確認しておきましょう。

また、費用面だけでなく、今までお世話になった部屋に感謝の気持ちを込めて掃除することも大切です。
部屋全体をきれいに掃除して、気持ちよく引越しできるようにしましょう。

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ニフティ不動産編集部
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