引越しで冷蔵庫を運ぶ方法と手順|運搬前の掃除・水抜きの方法も解説
冷蔵庫は自力で運ぶことができます。もし自分たちで運ぶのであれば、しっかりと段取りしておきましょう。
しかし運搬方法を間違うと、大けがや冷蔵庫の故障に繋がります。冷蔵庫の買い換えであればまだ良いですが、最悪の場合、入院も考えられます。引越し費用を抑えるために自力で運ぶ選択をしたのに、入院や買い換えとなると痛い出費です。そのため、冷蔵庫だけでも引越し業者に依頼するのがおすすめです。
今回は、冷蔵庫を自力で運ぶ際の注意点や業者に頼む時の相場を紹介します。本記事を参考に、自力か引越し業者に依頼するのか、冷蔵庫の運搬方法を検討してみましょう。
冷蔵庫は自分でも運べる?
先述のとおり、冷蔵庫は自分でも運べます。しかし、冷蔵庫は200Lで50kg、300L で65kg前後の重さがある上に、掴む場所もないため、素人が搬出するには危険が伴います。また冷蔵庫は、オイル漏れなどの危険があるため横向きNG。運搬中も立てたまま運ぶ必要があるため、しっかりと固定しておかないと落下事故に繋がりかねません。旧居から新居までの距離が遠ければ遠いほど、運搬中に神経をすり減らすことになるでしょう。
一方、引越し業者に依頼した場合、冷蔵庫を運ぶための専門知識を有しているため、安心・安全に運搬してくれます。新居までの移動も高さのある専用のトラックを使用するため、冷蔵庫を立てたまま運ぶことができます。屋根付きトラックなので、雨に濡れる心配もありません。
また引越し業者に頼んだ場合、万が一、運搬中に故障の原因となるような事態があれば、引越し業者が責任を負ってくれます。しかし、もし自分たちで運んで落としてしまった場合は、当然のことながら新たに購入する費用は自分持ちです。冷蔵庫の種類によっては、引越し業者に頼んでおいた方が安くつくことも考えられるでしょう。
さらに自分たちで冷蔵庫を運ぶのは、ギックリ腰になったり冷蔵庫を落として下敷きになりケガをしたりといった危険性もあります。引越しの際に冷蔵庫を運ぶのは、引越し業者に任せた方がトータルで見てもメリットが大きいでしょう。
冷蔵庫を自分で運ぶ時の注意点
もし自分たちで運ぶのであれば、以下の点に注意しておきましょう。
- 横向きNG 冷蔵庫は横向きにしてはいけません。理由は、モーター内にある冷却用の液体が配管に流れこんでしまうと故障の原因となるからです。そのため、冷蔵庫は立てた状態で運ぶ必要があります。しかし、天井が低く、廊下が狭い日本の住宅事情を考慮すると、どうしても斜めにして運ばなければいけない場面も出てきます。そうした場合は横向きにして運ぶこともありますが、短時間で終わらせるようにしましょう。
- 天候のことを考慮してブルーシートを用意 軽トラックで運ぶ場合は、急な雨などの心配があるためブルーシートを用意しましょう。走行中にホコリや砂が入るかもしれないので、雨天時でなくてもブルーシートは掛けておくと安心です。また、搬出・搬入時に冷蔵庫から水漏れする可能性もあるため、床を濡らさないようにブルーシートを敷いておきましょう。
- 搬出・搬入経路を確認しておく 冷蔵庫を運び始める前に、トラックや設置場所までの経路を確認して、狭い場所があればどう運ぶかをシミュレーションしておきましょう。運びながら状況に合わせて対応を変えても良いのですが、両手が塞がっている上に重い精密機器を運んでいるプレッシャーもあるため、口頭での正確な意思疎通は難しいものがあります。そのため、事前に経路を確認して、通り抜けるのが難しい場所については対策を練っておく必要があります。
- 壁を傷付けないように養生をする 冷蔵庫は重さがあるので、少しぶつかっただけでも壁紙が剥がれることがあります。そのため、搬入経路の壁にはしっかりと養生をしておきましょう。階段を通る場合は、手すりにも注意が必要です。またうっかり手を滑らせて落としてしまったり、引きずったりすると床に傷が入るので、床にも養生をしておきましょう。
ちなみにノジマ公式サイトによると、冷蔵庫を運ぶ際の搬入経路は「本体の寸法プラス10cm」の幅が必要とされています。
出典元:ノジマ公式サイト
賃貸から引っ越す場合は、経年劣化や通常消耗以外の損傷は、修繕費用を請求されます。高額になることもあるため、少しの距離であっても冷蔵庫を運ぶ際は、念には念を入れて養生することをおすすめします。
冷蔵庫のみ引越し業者に依頼する時の相場
冷蔵庫のみ引越し業者に依頼する際の費用相場は、15,000~20,000円です。ただし、引越しの距離が遠ければ遠いほど、作業にかかる時間が長くなればなるほど請求金額は上がっていきます。そのため、相場はあくまで目安程度に覚えておきましょう。
また、引越し業者のプランに冷蔵庫だけを運ぶプランというのは基本的に存在しません。ほとんどの場合、「荷量(荷台のスペース)×距離×オプション」もしくは「時間制×距離×オプション」で料金が設定されています。そのため、冷蔵庫のみでも運んでくれますが、荷台のスペースが余ってしまうのでTVや洗濯機などの大型家電も一緒に運んでもらうとお得になります。
大型家電は金額が高いので、もし壊れて買い換えることになった場合は家計に大きな負担がかかってしまいます。そのため、自分たちで運ぶと結果的にコスパが悪くなる可能性もあるので、大型家電だけでも引越し業者に任せておいた方が安心です。
冷蔵庫の引越し準備手順
引越しで冷蔵庫を運ぶ前には以下のような準備が必要です。
- 設置場所を要検討しておく
- 冷蔵庫を空っぽにする
- 霜取り・水抜きをする
- 掃除をしておく
まず新居での設置場所を検討しておきましょう。冷蔵庫は一度置いてしまうと、動かすのが難しくなるためです。また前日には冷蔵庫の中身を全て出して、電源を落とします。運搬時に水漏れがないように、電源を抜いた状態で1日放置して、霜取り・水抜きを行います。冷蔵庫の中が空になることはめったにないので、引越しを機に冷蔵庫の掃除をするのもおすすめです。
設置場所を要検討しておく
引越しが決まったら冷蔵庫の位置を決めておきましょう。賃貸などで設置場所が限られている場合を除いて、自由に設置場所を選べるのであれば、使い勝手や家事動線も考慮しておく必要があります。冷蔵庫などの大型家電は一度設置してしまうと移動が大変です。引越し業者に設置してもらったら、動かさなくても良いように新居を複数回訪れて、事前に設置場所を決めておきましょう。
冷蔵庫は空っぽになるように計算する
運搬中に扉が開く可能性も少なからずあるため、引越し当日の冷蔵庫の中は空っぽにしておきましょう。また電源が入っていない冷蔵庫の中は温度・湿度が保証できません。生鮮食品を入れておくと腐る可能性が高いため、例え近距離だとしても食品を入れておくのは止めましょう。もし食材が余った場合は、発砲スチロールやクーラーボックスに入れて新居に運びます。ただし、移動距離によっては1日以上、冷蔵庫が使えないことになるため、夏場などは食中毒の可能性も高くなります。そのため、1週間前くらいから食材を使い切るように計画して献立を考え、5~3日前から食材の買い物は控えるようにしましょう。
腐る心配がない調味料に関しても、落下・破損の可能性があるため冷蔵庫には入れられません。液体調味料が流れ出てしまった場合、周辺の荷物への影響も大きくなります。運送中に割れないように新聞紙に包み、段ボールに梱包しておくと安心です。
引越し前日に霜取り・水抜きをする
引越し前日は冷蔵庫の霜取り・水抜きします。霜取り・水抜きは、以下の手順に沿って行いましょう。- 冷蔵庫の中を空にする
- 冷蔵庫の周辺にタオルや雑巾を置いておく
- 製氷箱の氷や水を捨てる
- コンセントを抜いて電源を落とす
- ドアを開けておく
- 半日(約5時間ほど)後、蒸発皿に溜まった水を捨てる
季節によっては庫内にある霜が溶けにくいため、早めにコンセントを抜いておきましょう。また、近年発売された冷蔵庫には「霜取り機能」が付いている機種もあるため、霜取りが不要の場合もあります。霜取り・水抜きが必要な機種かどうかは、説明書を確認してみてください。
空になった冷蔵庫を掃除する
新居で気持ちの良いスタートをきるためにも、霜取り・水抜きが終わったタイミングで掃除するのがおすすめです。【用意するもの】
- スポンジ
- 乾いた布
- 綿棒
- 食器用洗剤
- 重曹水やクエン酸スプレーなど
【冷蔵庫掃除の手順】
- 製氷皿や仕切り板など、外せるものは外して食器用洗剤とスポンジでキレイに洗う。
- 庫内は堅く絞ったタオルなどの布で、拭き上げる
- 冷蔵庫の外側や天井のホコリを落としておく
生活する上で、知らず知らずの内に冷蔵庫内には油汚れなどが付着しています。綺麗に掃除しておくことで臭いの原因や食中毒の可能性が下がるので、冷蔵庫の中を空っぽにするこの機会を活かして掃除しておきましょう。
しかし、冷蔵庫の掃除を頻繁にする人はあまりいないかもしれません。そのため、庫内は汚れが蓄積して固まっている可能性があります。汚れが取りづらい場合は、重曹水やクエン酸スプレーなどを上手く活用しましょう。重曹水やクエン酸スプレーはホームセンターやドラッグストアで購入できますが、重曹やクエン酸があれば、水と混ぜるだけで自宅で簡単に作ることができますよ。
電源を入れるのは設置後、1時間ほど経ってから
新居に冷蔵庫を設置したら、電源を入れずに1時間ほど待ちます。なぜなら輸送中の振動でコンプレッサー内のオイルが冷却装置に流れ込んでいることも考えられるからです。もしオイルが冷却装置に入っている状態で電源を入れてしまった場合、故障する可能性が高くなります。
また電源を入れてからすぐに食材を入れるのは、あまりおすすめできません。冷蔵庫は電源を入れてすぐに冷えるわけではありません。庫内が冷え切る前に食材を冷蔵庫に入れてしまうと、鮮度が落ちて食材の質が下がってしまいます。そのため、庫内の温度が均一になる4~5時間ほど待ってから、食材を入れるようにしましょう。
引越しを機に冷蔵庫を買い換える場合
引越しを機に冷蔵庫を新調する場合は、古い冷蔵庫の処分が必要です。冷蔵庫は、経済産業省が制定した家電リサイクル法の対象家電にあたるため、不燃ゴミや粗大ゴミとして出すことができません。そのため、以下のような方法で処分することになります。なお、家電量販店と自治体に処分を依頼する場合は、「リサイクル料」と「収集・運搬料金」がかかります。
- 新しい冷蔵庫を買った家電量販店に引き取ってもらう ほとんどの家電量販店では、新たな家電と交換する形で古い家電を引き取ってくれます。そのため、冷蔵庫を購入する際に、古い冷蔵庫の引き取りも依頼しておきましょう。すでに購入している場合は、購入した家電量販店に相談すれば、引き取ってくれますよ。
- 自治体に引き取ってもらう 各自治体には、家電リサイクル法の対象家電を引き取る場所があります。自治体に依頼する場合は、指定の引き取り場所に持っていく必要があるので、自治体に指定場所の問い合わせをしましょう。また家電は「持ち込み」か「回収」を選択することができます。「回収」の場合は、リサイクル料の他、運搬料がかかること覚えておきましょう。
- リサイクルショップに持ち込む 古い冷蔵庫が使用可能な状態なら、リサイクルショップに持ち込むという方法もあります。リサイクルショップであれば、冷蔵庫を処分するわけではないので、リサイクル料や収集・運搬料などの手出しがありません。むしろ「購入して5年以内」「人気機種」など、条件が良ければ、買い取り金額が高くなるため、引越し費用の足しになるでしょう。
引き取りにはリサイクル料と収集・運搬料金がかかります。家電購入時に、リサイクル料と運搬料の支払いも求められるので留意しておきましょう。
リサイクル料の支払いはリサイクル券で行います。リサイクル券は、郵便局に備え付けられているので、記入後に郵便局でリサイクル料を振り込みます。
ただし、リサイクルショップまで自分で運ぶ必要があるため、少々時間と手間のかかる方法です。お金はかかりますが、家電量販店や自治体に引き取ってもらった方が、身体的負担が少ないケースもあるのでよく検討しましょう。
まとめ
冷蔵庫は自力でも運べますが、時間的にも肉体的にも負担が大きくなります。一方で、引越し業者に頼めば、依頼人は見守るだけでOK。引越し業者は大型家電を幾度と運んで来たプロであるため、スムーズに運搬してくれますよ。
もし自分で運ぶのであれば、しっかりと準備をしておきましょう。行き当たりばったりで始めてしまうと、無駄に時間と労力を消費することになり、冷蔵庫の運搬だけで疲弊しきってしまいます。後に続く引越し作業に影響がでてしまうため、冷蔵庫の運搬は計画的に行いましょう。
この記事を書いた人
- ニフティ不動産編集部
- 引越しに役立つ情報をお届けします。 ニフティ不動産は大手不動産サイトの賃貸物件、購入物件をまとめて検索できるサイトです。