賃貸物件の家賃の目安は?収入や世帯構成から適正な家賃をシミュレーションの画像01

家賃を深く考えず、自分の好みで賃貸物件と契約したため、仕事を掛け持ちしないと生活できなくなってしまった…なんてことになったら大変です。

そんなことにならないために、賃貸物件の家賃の目安を知っておきましょう。

ここでは、家賃の目安を、収入の観点、世帯構成の観点から整理するとともに、家賃検討の際の3つのポイントを順番にお伝えします。

この記事で家賃の目安をチェックして、賃貸物件の条件を絞ってスムーズに家探しをしてね!



手取り収入からシミュレーションする家賃

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結論からお伝えすると、賃貸物件の家賃の目安は手取り収入の25%を上限にすることをおすすめします
なぜなら、手取り収入から、家賃を除いた様々な出費や備えに必要な金額を引いた残額がおよそ25%だからです。

手取り収入とは、可処分所得を意味します。
給与所得者であれば、会社から支給される給与から、税金や各種保険料が差し引かれた後の、自由に使えるお金です。
この手取り収入から、日々の食費、光熱費やスマホ通信料などを支払います。
また、将来の備えとして、手取り収入の10%程度を貯蓄している人も多いですよね。
こうして手取り収入から各種費用や貯蓄額を引いた残額を計算すると、家賃として払える金額は手取り収入の25%程度です。
参考:統計局ホームページ/家計調査報告 ―月・四半期・年―

貯金を切り崩して、高い家賃の家に住み続けるのには限界があります。
そのため、手取り収入のやりくりできる金額の範囲に家賃を収めなくてはなりません。
そこでここからは、3つの手取り収入のケースから、具体的な家賃の目安を見ていきましょう。

手取り収入が月20万円のケース

手取り収入が月20万円の場合、家賃として支払える上限金額の目安は、手取り収入の25%の5万円です。
平均的な支出額で、手取り収入の10%を貯蓄と仮定した、手取りが月20万円世帯の具体的な収支モデルケースは以下の通り。

費用品目 費用(円) 手取りに占める比率
手取り収入額(A) 200,000 100%
支出合計額(B) 177,000 89%
家賃(賃貸費のみ) 50,000 25%
食料 38,000 19%
光熱・水道 14,000 7%
家具・家事用品 5,000 3%
衣料品 4,000 2%
保健医療 6,000 3%
交通・通信 21,000 11%
教育 2,000 1%
教養娯楽 14,000 7%
その他 23,000 12%
貯蓄額(C) 20,000 10%
残額(AーBーC) 3,000 2%

家賃以外の費用項目を「家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2022年」より筆者にて改変

この試算だと、残額は3千円となり、収支がほぼ同額です。
実際には、通信費用を格安携帯にしたり、その他費用を絞ったり、貯蓄額を減らせば、支出額は絞れますね。
しかし、それで数万円単位を捻出することは現実的ではありません。

さらに、家賃と一緒に発生する管理費や共益費は、平均で家賃の5%程度です。
よって、家賃関連費用を合計すると月に約5.25万円です。
つまり、モデルケースの残額3千円をほぼ使ってしまうことになります。
参考:家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2022年

手取り月収20万円世帯の場合、収支に余裕がありません。
そのため、家賃と管理費費用の合計が5万円以内に収まる物件を探すことをおすすめします。

手取り収入が月30万円のケース

手取り収入が月30万円の場合、家賃として支払える金額の目安は、手取り収入の25%の7.5万円です。
平均的な支出額で、手取り収入の10%を貯蓄と仮定した、手取りが月30万円世帯の具体的な収支モデルケースは以下の通り。

費用品目 費用(円) 手取りに占める比率
手取り収入額(A) 300,000 100%
支出合計額(B) 246,000 82%
家賃(賃貸費のみ) 75,000 25%
食料 52,000 17%
光熱・水道 17,000 6%
家具・家事用品 7,000 2%
衣料品 7,000 2%
保健医療 9,000 3%
交通・通信 25,000 8%
教育 3,000 1%
教養娯楽 19,000 6%
その他 32,000 11%
貯蓄額(C) 30,000 10%
残額(AーBーC) 24,000 8%

家賃以外の費用項目を「家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2022年」より筆者にて改変

手取り収入月20万円世帯を比較すると、残額は2.4万円と多少の余裕が出ます。
そのため、家賃7.5万円に、管理費や共益費(約3,750円)が含まれていなくても、十分支払える経済的余裕がありますね。

もし、生活レベルを手取り20万円世帯と同レベルにできれば、経済的余裕はさらに拡大します。
そうすれば、家賃の上限を増額でき、物件の選択幅も広げられますね。

手取り収入が月40万円のケース

手取り収入が月40万円の場合、家賃として支払える金額の目安は、手取り収入の25%の10万円です。
平均的な支出額で、手取り収入の10%を貯蓄と仮定した、手取り収入が月40万円世帯における具体的な収支モデルケースは以下の通り。

費用品目 費用(円) 手取りに占める比率
手取り収入額(A) 400,000 100%
支出合計額(B) 341,000 85%
家賃(賃貸費のみ) 100,000 25%
食料 69,000 17%
光熱・水道 22,000 6%
家具・家事用品 10,000 3%
衣料品 9,000 2%
保健医療 10,000 3%
交通・通信 40,000 10%
教育 11,000 3%
教養娯楽 25,000 6%
その他 45,000 11%
貯蓄額(C) 40,000 10%
残額(AーBーC) 19,000 5%

家賃以外の費用項目を「家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2022年」より筆者にて改変

手取り収入が月40万円だと、モデルケースでは、家賃以外の支出も増えます。
例えば、交通・通信費には自動車の維持管理費用(約2.3万円)も含まれています。
しかし、自動車を保有しない世帯ならば、その分が不要です。
さらに、手取り収入30万円世代と生活レベルを同レベルにできれば、合計で7万円の余裕を作り出せます。

手取り40万円世帯だと経済的な余裕から、家賃の目安を手取りの30%程度にすることも可能です。
ただし、家賃は定常的に発生する費用であることを忘れてはいけません。
想定外の出費や予期せぬ収入減にも、一定期間耐えられるようにすべく、家賃の目安は25%程度にして家探しをしましょう。

世帯構成から考える家賃の目安

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世帯構成が変われば、家賃の目安も変わります。
世帯人数により必要な広さや、世帯全体の手取り収入が変わるためです。

典型的な世帯構成は以下の3通りです。

・一人暮らし世帯
・二人暮らし世帯
・ファミリー暮らし世帯

ここからは世帯構成の観点から、家賃の目安を順番に解説します。

一人暮らしの場合

一人暮らし世帯の家賃の目安は6.8万円です。
一人暮らし世帯の平均的な部屋の広さに、1畳あたりの平均家賃を乗じて、算出される家賃目安は以下の通り。

A.居住室の広さ
(平均畳数)
平米換算 B.1畳あたりの
平均家賃(円)
A×B
家賃目安(円)*
22.13 40 3,100 68,000

参考:平成30年住宅・土地統計調査
*百の位以下は切り捨て

家賃6.8万円は平均値から算出される金額ですから、この金額以内に収めれば良いという話ではありません。
収入により、月6.8万円の家賃のインパクトは異なりますからね。
そのため、6.8万円はあくまで目安です。

一方で、仮に6.8万円より高い家賃でも、経済的に問題ないと判断するケースもあります。
例えば、オフィスに徒歩5分以内の立地の住まいであれば、長時間の通勤は不要です。
通勤時間が短い分、長く残業ができれば、手取りを増やすことも可能です。
となると、6.8万円以上の家賃を支払える手取りを得られるならば、その家賃でも問題ありません。

あなたが一人暮らし世帯用の賃貸物件探しを始めようとしているならば、まずは月6.8万円の家賃を目安に探すことをおすすめします。

二人暮らしの場合

二人暮らし世帯の家賃目安は10.9万円です。
二人暮らし世帯の平均的な部屋の広さに、1畳あたりの平均家賃を乗じて算出される家賃目安は以下の通り。

A.居住室の広さ
(平均畳数)
平米換算 B.1畳あたりの
平均家賃(円)
A×B
家賃目安(円)*
35.35 64 3,100 109,000

参考:平成30年住宅・土地統計調査
*百の位以下は切り捨て

家計調査によると、二人暮らし世帯の平均的な手取り収入は月42万円程度です。
手取り収入の25%が10.5万円ですから、手取り収入で考える家賃目安とほぼ合致します。
参考:統計局ホームページ/家計調査報告 ―月・四半期・年―

二人暮らし世帯の場合、それぞれのプライベート空間を確保したいと考えると、必要な部屋数は増えますね。
しかし、部屋数が増えると家賃も高くなりますから、そこはお財布との相談が必要です。
部屋数を重視するならば、共働きなどにより、手取り収入を増やしましょう。

ファミリー暮らしの場合

ファミリー暮らし世帯の家賃の目安は、世帯人数により変わります。
世帯人数が増えれば、必然的に広い家が求められるためです。

ファミリー暮らし世帯の世帯人数ごとの家賃目安は以下の通り。

世帯人数
(人)
A.居住室の広さ
(平均畳数)
平米換算 B.1畳あたりの
平均家賃(円)
A×B
家賃目安(円)
3 38.08 69 3,100 118,000
4 39.91 72 3,100 123,000
5 44.45 81 3,100 137,000
6 52.98 96 3,100 164,000
7以上 59.62 108 3,100 184,000

参考:平成30年住宅・土地統計調査
*百の位以下は切り捨て

同居する人の年齢や間柄により、必要な広さや間取りが変わります。
例えば、世帯人数が3人でも、夫婦と乳児の場合と、夫婦とその親の場合では、生活に必要な部屋の広さや構成は異なります。
そのため、機械的に世帯人数で考えるよりも、家族構成や状況を踏まえて、必要な広さの検討が必要です。

もし、あなたの家族の人数が増える予定があるならば、将来の世帯人数における家賃目安を押さえておきましょう。
そして、すぐに増える予定が無くても、家賃目安を踏まえて、事前に収入増の準備や対策を打ちましょう。

家賃を検討する時の3つのポイント

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賃貸物件を検討する上で、押さえておくと得すること、押さえておかないと損することがあります。
ここからは、家賃を検討する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
具体的には、以下の3点です。

・家賃補助制度を活用する
・ボーナスを頼りに考えない
・月々の生活費を考慮する

あなたに見合った家賃の素敵な物件を見つけて、快適な暮らしを実現しましょう。

家賃補助制度を活用する

あなたの勤務先に家賃補助制度があれば、活用することをおすすめします。
家賃補助があれば、少し広めの部屋を選択できたり、あなたの経済負担額を減らしたりできるためです。

家賃補助制度は会社の福利厚生に含まれます。
会社が家賃の一部を負担して、社員の経済的負担を軽減するだけでなく、離職防止などを狙った制度です。

厚生労働省の調査によると、家賃補助制度にあたる住宅手当を出している企業は47%程度もあります。
また、社員当たりの平均的な支給額は1.7万円程度です。
2社に1社で家賃補助制度がある計算ですし、金額も大きいですから、活用しない理由はありません。
参考:令和2年就労条件総合調査の概況

家賃補助制度を利用するためには、利用条件をクリアすることが必要です。
もし、あなたがこれから物件探しをするならば、まずは勤務先に利用可能な家賃補助制度と利用条件を確認しましょう。

ボーナスを頼りにしない

家賃を検討する際に、財源としてボーナスありきで検討してはいけません。
ボーナスは前回よりも減ったり、無くなったりすることも発生する、不安定な収入だからです。

2001年から2022年までの年間賞与の前年比推移は以下の通りです。

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参考:賞与:主要労働統計指標

ボーナスが連続して前年比プラスが続くことは少ないことがよく分かります。
よって、ボーナスをあてにして借りていると、どこかで支払いが滞りかねません。

賃貸物件の家賃を検討する際には、あくまで月々の手取り収入のみで考えましょう。

月々の生活費を考慮する

あなたの実際の生活費を踏まえて、支払える家賃幅を確認しましょう。
生活習慣や住んでいる地域によって、必要になる生活費が変わるからです。

前掲した収支モデルはあくまでモデルです。
様々な地域、状況の人の平均値が採用されています。

費用品目 費用(円) 手取りに占める比率
手取り収入額(A) 300,000 100%
支出合計額(B) 246,000 82%
家賃(賃貸費のみ) 75,000 25%
食料 52,000 17%
光熱・水道 17,000 6%
家具・家事用品 7,000 2%
衣料品 7,000 2%
保健医療 9,000 3%
交通・通信 25,000 8%
教育 3,000 1%
教養娯楽 19,000 6%
その他 32,000 11%
貯蓄額(C) 30,000 10%
残額(AーBーC) 24,000 8%

家賃以外の費用項目を「家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2022年」より筆者にて改変

例えば、北海道に住んでいれば、冬場の暖房費は東京よりかかりますね。
都心で公共交通機関が充実していれば、自動車を保有する必要はなく、維持メンテナンスする費用は不要です。
このように、モデルケースと実態には、大小の乖離があります。
そのため、実際のあなたの必要な生活費に則して、家賃の目安を調整しなければなりません。

もし、今住んでいる賃貸物件から引っ越そうと考えているならば、今から月々の生活費をメモしておくことをおすすめします。
今なら、家計簿アプリなども活用できますから、思っている以上に簡単に生活費の記録を残せます。
生活費を正しく把握し、無駄な出費があればやめて、あなたが支払える家賃の目安を理解しましょう。

手取り収入から家賃の目安を考えよう

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この記事は、家賃の目安をテーマに以下の3点をご紹介しました。

・平均的な月々の収支を考えると、家賃は手取り収入の25%以内にするのがおすすめ
・直近で世帯構成が変わるなら、世帯全体の手取り収入から家賃を検討すべき
・家賃に関するお得情報は漏らさず、無理や無駄のない金額に

家賃の目安を考える上で、起点は手取り収入の25%です。
家賃を含む支出が手取り収入を越える状態が続くようならば、その家には住み続けられないからです。

とは言え、家賃を手取り収入の25%以内に収めることに厳密にこだわる必要はありません。
あくまで、25%は目安だからです。
特に通勤時間を時給換算し、それを月で合計すると、予想以上に大きな金額になります。
よって、勤務地から遠いけれど安い家に住む選択肢もありますが、敢えて、勤務地に近いけれど高い家にする選択もありです。

家賃の目安があれば、物件探しも効率的に進められます。
物件探しは想像以上に手間ひまがかかる作業だからです。。
まずは、家賃の目安から候補物件を絞り込み、そこから吟味しましょう。

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