投資用不動産を高く売却するためのコツとタイミングについて徹底解説


そもそも投資用不動産とは?「地上権」とは?

投資用不動産を高く売却するためのコツとタイミングについて徹底解説

投資用不動産とは、自分自身や家族が住むためではなく、他者に貸し出して賃料収入を得ることを目的に購入する土地・建物のことです。居住用の不動産を取得する際には住宅ローンを組むケースが多いのに対し、居住目的ではない投資用不動産では同融資を利用できず、アパートローンやプロパーローン(個々の金融機関が独自に査定・融資を行うローン)で不足分の資金を賄うことになります。

投資用不動産の具体例としては、1棟ものの賃貸マンションや賃貸アパート、ワンルームマンションの区分所有(1棟ではなく部屋単位で所有)、戸建賃貸住宅などが挙げられます。また、遊休地を駐車場にして有効活用したり、コインランドリーや無人の食品販売所(冷凍餃子など)の運営に乗り出したりするケースも見受けられます。

それらも不動産投資の一形態ではあるものの、先述した賃貸物件のような相続税の節税効果は期待できません。他者に貸し出していて使用上の制約が生じる賃貸物件はその分だけ割安な評価額で相続税が計算されますが、駐車場やコインランドリーなどではそういった配慮がなされません。

投資用不動産の売却価格は簡単な計算式で算出できる!

賃料収入を得るために購入した投資用不動産ですが、状況次第では売却を検討するケースも出てくるでしょう。どのような事情であれ、できるだけ高く売れるのに越したことがありません。

自分が所有している物件がいくらくらいで売れそうなのか、理論上の想定価格を導き出せます。その際に用いるのが「収益還元法」と呼ばれる手法です。

これは、投資用不動産の価値(収益価格)を鑑定する際に用いられる手法。家賃収入によって将来的に生み出されることが見込まれる利益をベースに評価を行います。

厳密に言うと、「収益還元法」には「直接還元法」と「DCF法」という2つの種類が存在していますが、投資用不動産の売却価格を査定する際に用いられるのは前者です。この「直接還元法」では、「売却価格(収益価格)=純収益(NOI)÷NOI利回り」という計算式によって価値評価が行われます。

純収益を意味するNOIはNet Operating Income(ネット・オペレーティング・インカム)の略で、「年間の家賃収入−固定資産税や管理費などの年間費用」のことです。NOI利回りの計算式は、「年間賃料収入-経費(修繕費、管理費、税金、保険料など)÷物件の理論価格」となっています。

ここで最も知りたいのは理論価格(売却希望価格)ですが、「NOI÷キャップレート(還元利回り)」という式で計算できます。キャップレートとは、投資家が期待している利回りの水準です。

キャップレートはいくつかの機関が公表しており、特に注目されているのは一般財団法人日本不動産研究所のレポート「不動産投資家調査」です。投資会社や不動産ディベロッパー、金融機関などを対象に行なっているアンケート調査で、情勢に応じて変動するキャップレートの最新情報をチェックできます。

投資用不動産で高額査定を獲得するためのコツとは?

可能な限り高額の査定を獲得したいと思うなら、複数の不動産会社に査定を依頼することが基本中の基本となります。想像以上に、査定価格は不動産会社によって異なるものです。

提示した価格の違いはもちろん、査定を巡る対応ぶりからも、信頼を寄せられる会社かどうかをうかがい知ることができるでしょう。一口に不動産会社と言っても、各々で得意とする領域は異なっているので、投資用物件に注力して高い実績を残してきたところにフォーカスすることも重要です。

収支のシミュレーションや賃貸借契約の継承など、投資用不動産の取り扱いでは特有の知見が必要となってきます。有利な売りのタイミングも熟知しているので、やはり「餅は餅屋」に相談するのが賢明です。

一方、外国人投資家も視野に入れた売却を検討するのも一考でしょう。円安の進行によって割安価格で取得できることも追い風となり、日本の投資用不動産を購入する外国人が増えています。

日本の不動産市場は規模が大きく、相場変動も激しくないうえ、世界的に比較しても超低金利で購入資金の調達コストが低いことが外国人投資家にとって大きな魅力となっているようです。また、新築を好む日本人とは対象的に、外国人の間では歴史的な建造物を高く評価する傾向が見られ、築古でなかなか買い手が見つからない物件でも、彼らが目をつけてくれる可能性も考えられます。

投資用不動産を高く売却できるタイミングと注意点

「売り先行」を成功させるうえで、やはり大きなカギを握っているのは不動産会社です。売却を進めるうえでの緻密な戦略の策定や、誠実で迅速な対応が満足度の高い成約へと結びつきます。

最も理想的な売却のチャンスは、購入金額よりも高い価格で査定してもらえる局面です。その差額分が譲渡益(キャピタルゲイン)となるわけですが、残念ながらそういったケースはさほど多くないのが実情でしょう。

もっと現実的でオススメのタイミングと言えるのは、「得られた家賃収入の累計+売却価格>購入金額価格」といった状況になっている局面でしょう。空室が長期化しにくい物件で、不動産市況自体も右肩上がりを示していれば、そういったチャンスは少なからず訪れそうです。

キャッシュフローが悪化する前に売却してしまうという考え方もあります。その判断の目安となるのが「デッドクロス」と呼ばれる現象です。

不動産投資における「デッドクロス」とは、「借入金の元本返済額>減価償却費」という状態に陥っていることを意味しています。「デッドクロス」が発生すると、「キャッシュフロー(手元に残る現金)<会計上の純利益(税引き後利益)」となってしまいます。

不動産投資では、会計上の純利益とキャッシュフローの金額が一致しないケースが珍しくありません。減価償却費や借入金の元本返済額が関わってくることがその原因です。

減価償却費とは、建物の取得価格を所定の手法をもとに分割し、毎年少しずつ継続的に計上する会計処理上の費用です。取得のために支出が発生したのは初年度だけですが、2年目以降も法定耐用年数が訪れるまで、実際の出費を伴うことなく費用として計上できます。

一方の元本返済額については、完済するまでずっと出費を伴うことになります。しかしながら、利子相当分を除き、ローンの元本返済は費用として計上できません。

こうした事情から金額が一致しないケースが多くなるのですが、当然ながら会計上の数字にすぎない純利益よりも、キャッシュフローのほうが重要となってきます。「デッドクロス」に陥り、さらに減価償却費の計上が終わってしまうと、会計上は黒字でもキャッシュフローがマイナスになってしまう恐れが生じます。

築年数が経過するほど「デッドクロス」に陥る可能性も高まるので、築古物件はなかなか売り手が見つからないのが現実です。そのような場合は、自社で買取を行っている不動産会社を利用するのも一手でしょう。

そのような会社は買い取った物件にリフォームやリノベーションを施し、買取時よりも高い価格で別の投資家に販売しています。ただ、そういったビジネスモデルであることから、買取価格が相場よりも割安になってしまうケースが一般的です。

2〜3月の引っ越しシーズンは賃貸需要が高まるので、その頃に売却のタイミングを合わせるのも有効です。ただ、不動産の売却には何カ月もの歳月を要するケースが主流なので、半年程度前から準備を進めるのが肝心です。

投資用不動産は、居住用の物件と買い手が異なっていることも注意点の1つです。中古物件の場合、彼らが欲しいのはフル稼働状態のもの。そういった点を意識し、引っ越しシーズンを狙う際にも空室ゼロの状態で臨みたいところでしょう。

また、資金調達コストが低いことが投資意欲を高めるので、低金利が続く局面も投資用不動産を売却する好機だと言えます。

売却時にかかる所得税に目を向ければ、物件の所有期間も注意点の1つです。5年以下の場合は「短期譲渡所得」とみなされるのに対し、5年超の場合は「長期譲渡所得」として扱われ、前者よりも低い税率が適用されます。

まとめ

家賃収入を期待して投資用不動産を購入する際にも、将来の売却に関して、大まかなイメージ(戦略)を描いておくことが重要です。ベストシナリオは「購入金額<売却査定価格」となるタイミングで売り抜けることですが、それが難しかったとしても、「得られた家賃収入の累計+売却価格>購入金額価格」となる着地点(売りのタイミング)を目指したいところでしょう。

ニフティ不動産の「住まい探しコラム」では、他にも投資用不動産の売却に関する多彩なコンテンツを掲載しています。すでに不動産投資を実践している人はもちろん、興味があるので情報収集中だという人も、ぜひ参考にしてください。

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