セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像01

「セントラルヒーティングって何?仕組みがわからない。」
「セントラルヒーティングを導入する前にメリットとデメリットを知っておきたい。」
「電気代がかかると聞いたけれど、節約するコツはあるのかな。」

このようにお考えの方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、セントラルヒーティングの仕組みやメリット・デメリット、電気代を節約するコツなどを紹介します。
セントラルヒーティングについて詳しく理解したうえで、導入を検討しましょう。



セントラルヒーティングとは

セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像02

セントラルヒーティングとは、1つの熱源発生装置を用いて家全体を暖められる暖房システムです。
よく知られている床暖房は、セントラルヒーティングの一種です。

セントラルヒーティングの発祥は、欧米の寒冷地であり、日本では、あまり馴染みがないように思われますが、北海道では広く普及しています。
近年、日本では北海道以外の寒冷地でも普及しつつあり、注目を集めています。

セントラルヒーティングをより詳しく知るために、以下の2点を解説します。

● セントラルヒーティングの仕組み
● セントラルヒーティングの種類

セントラルヒーティングの導入を検討している方は、まずは詳しく理解しましょう。

セントラルヒーティングの仕組み

セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像03

セントラルヒーティングは、輻射熱(ふくしゃねつ)と自然対流により、家全体が暖かくなる仕組みになっています。

輻射熱とは、物体同士が離れていても遠赤外線により伝わる熱のことで、温度の高い物体から低い物体へ熱が伝わる特徴があります。
電気ストーブやこたつは、輻射熱を使った暖房器具の代表格です。

セントラルヒーティングは、輻射熱を発生させる熱源発生装置・循環パイプ・ラジエーター(放熱器)から構成されています。
1つの熱源発生装置により、温水もしくは温風を発生させ、家全体に張り巡らせた循環パイプを用いて、各部屋に設置したラジエーターまで届けます。
ラジエーターで発生した輻射熱と自然対流により、各部屋が暖まる仕組みです。

セントラルヒーティングの種類

セントラルヒーティングの種類は、以下のとおりです。

● 温水式セントラルヒーティング
● 温風式セントラルヒーティング

それぞれ詳しく解説します。

【温水式セントラルヒーティング】

温水式セントラルヒーティングは、熱源発生装置としてボイラーを用いており、発生させた温水を循環パイプでラジエーターまで届けることにより、家全体を暖めます。
現在、普及している多くのセントラルヒーティングが温水式です。

温風式と比較して、循環パイプの気密性が高い必要があり、初期費用がかかりますが、熱損失が少ないため、大きな建物でも使用できる点が魅力です。

【温風式セントラルヒーティング】

温風式セントラルヒーティングは、熱源発生装置として大型のファンヒーターのようなものを用いており、発生させた温風を循環パイプでラジエーターまで届けることにより、家全体を暖めます。

温水式と比べて、循環パイプの気密性の高さは求められていませんが、熱損失が多いため、小さな建物でしか使用できないことが特徴です。

セントラルヒーティングのメリット

セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像04

セントラルヒーティングのメリットは、以下のとおりです。

● 家全体が暖かい
● 風が発生しないため、乾燥しにくい
● 火災や火傷などのリスクが少ない
● 石油やガスの臭いがない
● 耐久性が高い
● 掃除がしやすい
● ガス・石油から電気へ熱源の交換ができる

それぞれ詳しく解説します。
セントラルヒーティングの魅力を知りましょう。

家全体が暖かい

セントラルヒーティングの代表的なメリットとして、家全体が暖かい点が挙げられます。
各部屋だけではなく、階段や廊下まで暖められ、室温のムラがなく、家全体を同じ温度に保てます。

家全体の温度差がないことにより、ヒートショックを防げる点も魅力です。
ヒートショックとは、急激な温度差により、心拍数や血圧が変動することであり、心筋梗塞や脳梗塞の原因とされています。

とくに、高齢者は、ヒートショックを起こしやすいといわれています。セントラルヒーティングを導入して、家全体を暖めることにより、健康面に配慮可能です。

風が発生しないため、乾燥しにくい

セントラルヒーティングは、乾燥しにくいうえ、風が発生しない点がメリットです。
乾燥による喉の痛みや肌荒れのほか、アレルギーを防げるためです。

セントラルヒーティングは、輻射熱により暖めているため、風が発生せず、乾燥しずらくなります。喉が弱い方や乾燥肌の方が家庭に居る場合でも安心して部屋を暖められます。

また、風が発生しないもう一つのメリットとして、アレルギー物質やほこりが飛散しにくい点があります。アレルギー対策ができ、小さな子どもがいても安心できます。

エアコンによる乾燥や風が苦手な方は、セントラルヒーティングの導入を検討してみましょう。

火災や火傷などのリスクが少ない

セントラルヒーティングの導入により、火災や火傷などのリスクを軽減できます。
セントラルヒーティングは、火を使用しないためです。

ファンヒーターや石油ストーブのような暖房器具は、火を使うため、引火して火災を引き起こしたり、触れてやけどしたりする恐れが考えられます。
セントラルヒーティングであれば、火災ややけどのリスクが少ないため、小さな子どもやペットがいる家庭でも安心です。

石油やガスのにおいがない

セントラルヒーティングは、石油やガスのにおいがありません。
熱源発生装置は1つのみであり、各部屋で石油やガスを使用しないためです。

石油やガスを使用する場合、におい対策と一酸化炭素中毒予防のためにも定期的に換気する必要があります。
セントラルヒーティングは、石油やガスのにおいによる不快感をなくせるうえ、一酸化炭素中毒の心配がないため、ほかの暖房器具と比較して、安全性が高い点が魅力です。

耐久性が高い

セントラルヒーティングの特徴として、耐久性が高いことが挙げられます。
セントラルヒーティングの耐久性が高い理由は、熱源発生装置とラジエーターが分かれているためです。

セントラルヒーティングは、定期的にメンテナンスをすれば、長く使えます。
メンテナンスの頻度は、年に1回がおすすめです。

万が一、故障が見つかった場合は、熱源発生装置とラジエーターが分かれているため、不具合がある箇所のみ修理すれば済みます。
セントラルヒーティングは、耐久性が高いうえ、故障した場合でも該当箇所のみの修理で良いため、費用が抑えられる点がうれしいポイントです。

掃除がしやすい

セントラルヒーティングは、お手入れが簡単です。
理由は、エアコンのようなフィルターがないためです。

セントラルヒーティングのお手入れとして、各部屋に設置しているラジエーターの掃除が挙げられます。
ラジエーターと壁の間や上部にある隙間のほこりを取ったり、表面の汚れを拭き取ったりする程度で済みます。

掃除の手間を省きたい方は、セントラルヒーティングの導入がおすすめです。

デザイン性に優れた製品が多い

セントラルヒーティングのラジエーターは、デザイン性に優れた製品が豊富です。

ラジエーターは、各部屋に設置する必要があり、色やデザインによって空間の印象を左右します。
オブジェのようなものやタオル掛けとして機能するものなどもあり、インテリアの一部として楽しめます。

セントラルヒーティングを導入する場合は、部屋の雰囲気に合うラジエーターを見つけて、おしゃれな空間をつくりましょう。

熱源の交換ができる

セントラルヒーティングは、熱源の交換ができる点もメリットとして挙げられます。
熱源の交換により、環境への配慮も可能であるためです。

現在、熱源を発生するために使用されている燃料は、石油やガスがメインです。
石油やガスのほかに、電気でも熱源を発生させられます。

コストや環境問題などを考慮しつつ、必要に応じて熱源を交換しましょう。

セントラルヒーティングのデメリット

セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像05

セントラルヒーティングのデメリットは、以下のとおりです。

● 初期費用が高額である
● ランニングコストがかかる
● 速暖効果は期待できない
● 冷房機能がない

それぞれ詳しく解説します。セントラルヒーティングのメリットだけではなく、デメリットも知ったうえで、導入を検討してください。

初期費用が高額である

セントラルヒーティングは、初期費用が高額です。
セントラルヒーティングの導入は、大掛かりな工事になるためです。

セントラルヒーティングを導入するためには、熱源発生装置・循環パイプ・ラジエーターを設置する必要があり、各本体価格に加え、工事費用がかかります。

セントラルヒーティングの初期費用の相場は、100〜150万円といわれており、ほかの暖房器具と比べて高額である点がデメリットです。

ランニングコストがかかる

セントラルヒーティングは、ランニングコストがかかります。
家全体を効率的に暖め続けるためには、24時間稼働させる必要があるからです。

石油・ガス・電気など熱源を発生させるための燃料費に加え、温水式の場合は、水道代もかかります。
24時間稼働させるとなると、ランニングコストがかさみます。

速暖効果は期待できない

セントラルヒーティングは、速暖効果を期待できません。
理由は、輻射熱により家全体を暖めるには時間がかかるためです。

本格的に気温が下がる時期に稼働を開始させると、家全体が暖まるまで寒さを我慢しなければならない可能性があります。
セントラルヒーティングの稼働を開始させるタイミングは、肌寒くなってきたと感じたときをおすすめします。

セントラルヒーティングは、暖まるまでに時間がかかることを考慮して、本格的に寒くなる前に稼働させておきましょう。

冷房機能がない

セントラルヒーティングのデメリットとして、冷房機能がない点も挙げられます。
夏の暑さには対応できないため、セントラルヒーティングのほかに、冷房器具を設置する必要があります。

セントラルヒーティングの初期費用は高額ですが、さらに冷房器具も購入しなければなりません。
セントラルヒーティングを導入する場合は、夏の暑さに備えて冷房器具も設置しましょう。

セントラルヒーティングの電気代を節約するコツ

セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像06

セントラルヒーティングは、ランニングコストがかかります。
できるだけランニングコストを抑えるためのコツは、以下のとおりです。

● 24時間運転させる
● 温度は低めに設定する
● 窓際に設置する
● 住宅の気密性や断熱性を高める
● 冷暖房器具と組み合わせる

それぞれ詳しく解説します。
ランニングコストを抑えつつ、セントラルヒーティングをうまく活用しましょう。

24時間運転させる

セントラルヒーティングは、24時間運転させましょう。
低い室温を一定の温度まで上げるために、多くのエネルギーを使用するからです。

ランニングコストが気になるからといって、就寝時や外出時などに運転を停止させてしまうと、部屋全体の温度が下がります。暖房器具は、温度を保つよりも、温度を上げるタイミングで多くのエネルギーを必要とするため、次に使用するタイミングで、大量のエネルギーを消費することになりコストがかかります。

また、セントラルヒーティングは、家全体を暖めるために時間が必要な点もポイント。

下がってしまった室温を再度暖めるために必要なエネルギーや時間を考慮すると、こまめに電源をオンオフするより、24時間稼働させることをおすすめします。

温度は低めに設定する

ランニングコストを抑えるためには、温度を低めに設定してください。
設定温度が高いより、低いほうがランニングコストがかからないためです。

セントラルヒーティングは、家全体を暖められるため、エアコンと比べて、設定温度が低くても快適に過ごせる傾向にあります。
快適に過ごせる室温は個人差があるため、できるだけ温度を低く設定しつつ服装での調節も考えながら、適温を見つけましょう。

窓際に設置する

セントラルヒーティングのラジエーターは、窓際に設置することをおすすめします。
コールドドラフト現象を防げるためです。

コールドドラフト現象とは、暖められた空気が冷たい窓ガラスにより冷やされて、足元へ流れる現象のことです。
コールドドラフト現象が起こると足元が冷えるため、体感温度が低くなります。

ラジエーターを窓際に設置することでコールドドラフト現象を避けることができます。

住宅の気密性や断熱性を高める

セントラルヒーティングのランニングコストを抑えるためには、住宅の気密性や断熱性を高めることが大切です。
住宅の気密性や断熱性が低い場合、暖房効果が弱まるためです。

住宅の気密性や断熱性を高める方法の例は、以下のとおりです。

気密性を高める方法
● 樹脂製のサッシを採用する
● 窓や玄関のドアは片開きにする
● 勝手口の通風ドアは採用しない
● FIX窓(開閉できない窓)をうまく活用する

断熱性を高める方法
● 屋根・天井・床・壁に断熱材を施す
● 換気設備を熱交換換気型にする
● 樹脂製のサッシを採用する
● 窓に断熱シートを貼る
● 断熱カーテンを使用する

ランニングコストを抑えるためには、気密性や断熱性を高めて、暖房効果を向上させましょう。

冷暖房器具と組み合わせる

ストーブやエアコンなどの冷暖房器具と組み合わせることも1つの手です。
暖かさが物足りないと感じる場合は、ほかの冷暖房器具を設置すれば、セントラルヒーティングの設定温度を上げずに対応できます。

組み合わせる冷暖房器具の例は、以下のとおりです。

● エアコン
● ストーブ
● ファンヒーター
● ホットカーペット

ほかの冷暖房器具を組み合わせる場合は、寝室やリビングなど必要な場所にのみ設置して、使いすぎないようにしましょう。

セントラルヒーティングに関するよくある質問

セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像07

セントラルヒーティングに関するよくある質問は、以下のとおりです。

● 冷暖房設備(ルームエアコン)との違いは?
● 日本で普及しない理由は?

それぞれ詳しく解説します。疑問に感じていることがあれば、参考にしてください。

冷暖房設備(ルームエアコン)との違いは?

セントラルヒーティングと冷暖房設備の違いは、暖房方式です。
セントラルヒーティングは家全体を暖める全館暖房であり、冷暖房設備は設置した部屋のみを暖める局所暖房です。

局所暖房の場合、設置していない部屋・階段・廊下などとの温度差ができ、全館暖房と比べてヒートショックを起こしやすいといわれています。

しかし、全館暖房のように高額な初期費用がかかりません。
全館暖房と局所暖房は、それぞれメリット・デメリットがあるため、双方を比較しつつ、うまく活用することが大切です。

日本で普及しない理由は?

セントラルヒーティングが日本で広く普及しない理由として、以下のことが考えられます。

● 日本は高温多湿であるため、冬よりも夏の快適さを重要視している
● 局所暖房が広く普及しており、全館暖房の発想がない
● 家を建てる際に断熱性が重要視されていない
● 冷房機能が備わっていないため、コスト高な印象がある

セントラルヒーティングは、北海道で広く普及しているもののほかの地域ではあまり導入されていません。

しかし、現在はZEH住宅が注目を集めており、断熱性が重要視されつつあります。
日本の住宅も変わりつつあるため、セントラルヒーティングの普及率が上がる可能性も考えられます。

セントラルヒーティングを導入して住まいを快適にしよう!

セントラルヒーティングの仕組みは?メリット・デメリットや電気代節約のコツも解説の画像08

今回の記事では、セントラルヒーティングの仕組みやメリット・デメリット、電気代を節約するコツなどを紹介しました。
セントラルヒーティングは、1つの熱源発生装置を用いて、温水もしくは温風を循環パイプで各部屋のラジエーターまで届け、輻射熱や自然対流により家全体を暖めます。

基本的には、24時間稼働させる必要があり、ランニングコストがかかりますが、工夫により抑えられます。

セントラルヒーティングは、メリット・デメリットがあるため、双方を理解したうえで導入し、快適な住まいにしましょう。

アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ

部屋を借りる!賃貸版はこちら

住宅を買う!購入版はこちら