住み替えで不動産を売却!「売り先行」で成功させる秘訣について解説


住み替え先の種類によって、準備期間や売却のタイミングは異なる

住み替えで不動産を売却!「売り先行」で成功させる秘訣について解説

「賃貸物件⇒賃貸物件」の場合、住み替えは引っ越しと同義になるでしょう。しかし、「賃貸物件⇒新築・中古物件の購入」や「自己所有物件⇒新築・中古物件の購入」の場合は、「物件の売却・物件の購入」といった不動産の売買取引が伴う引っ越しとなります。

特に「自己所有物件⇒新築・中古物件の購入」のパターンでは、旧宅を売却するとともに、新居を購入するという2つの取引が関わってきます。それぞれのタイミングを見計らう必要が生じますし、十分な準備期間を確保しておかないと、困った事態と直面しかねません。

時間的な余裕がない状況で強引に住み替えを進めると、なかなか旧宅を売却できなくて焦ったり、新居を慎重に選び抜けなくて後悔したりする結果を招きがちです。また、住み替え先の種別によっても、準備に必要とされる期間や旧宅を売却するタイミングに違いがあります。

中古の戸建て・マンションを新居とする場合は、希望の条件を叶える物件さえ見つかれば、比較的短期間で住み替えを完了できるでしょう。ただ、新居に移り住むまでに旧宅の売却をすませられるか否かは不透明です。

新築の建売戸建てや分譲マンションへ住み替える場合は、それらの物件の成約までに旧宅を処分できれば、その売却代金でローンの残債を支払うことも可能です。そして、おのずと新居への引っ越しは物件の竣工後に特定されます。

注文住宅を新築して移り住む場合は、設計・施工にも相応の時間を要することになります。したがって、半年〜1年程度の時間的余裕を持って準備をすすめるのが無難ではあるものの、比較的早く旧宅の売却を完了した際には、仮の住まいを確保しなければなりません。

売却で失敗するケースとは?

旧宅をスムーズに売却し、その代金を新居の購入に充てるというのが住み替えの理想的なパターンです。しかし、実際には売買のタイミングが合わないケースが少なくありませんし、それが住み替えにおける失敗の典型例だと言えます。

売却のタイミングが早すぎると、新居に移るまでに仮住まいで過ごす時間が長くなってしまい、その賃貸料という出費も発生します。また、すんなりと新居の購入が決まったことで売却を急ぐと、買い手にその事情を見透かされて相場よりも割安な価格で手放すハメにもなりかねません。

新居の購入が早すぎた場合には、その購入費用や旧宅の残債支払いに売却金を充てられないという不都合も生じます。売却の手順や所要期間などをきちんと把握したうえで、慎重に新居の購入を計画することが求められます。

売却を進めていくうえでは、まずは妥当かと思われる旧宅の売却価格を推定することが重要です。複数の不動産会社に対し、旧宅の売却に関する査定を依頼します。

最初から1社に絞ってしまうと、その査定価格が相場と比べて安いのか高いのかを判定しづらいからです。査定に当たっては、自ら目星をつけた不動産会社に直接問い合わせをする方法とともに、一括査定サイトを利用するという方法も考えられます。

売却の手順は、①不動産による査定、②媒介契約の締結、③売却のための営業活動、④売買契約の締結、⑤引き渡しといった流れになっています。

売却を依頼する不動産が決定すると「媒介契約」を結ぶことになりますが、その形態には3つの種類があり、それぞれに一長一短があるのできちんと理解しておきましょう。

そのうちの1つは「一般媒介契約」で、複数の不動産会社と契約して広範に販路を広げられるのがメリットですが、各社とのやりとりに煩わされるのが難点でしょう。2つ目の「専任媒介契約」は契約を結んだ不動産会社が単独で売却を進めて他社には仲介を依頼できませんが、売り手自らが見つけた買い手に売却することは可能です。

3つ目の「専属媒介契約」は、契約を結んだ不動産会社が単独で売却を進め、売り手が関与できることは限られています。なお、「専任媒介契約」と「専属媒介契約」では、依頼を受けている物件の情報を「レインズ(国土交通省が指定する不動産流通機構が管理・運営する情報ネットワークシステム)」に登録することが義務づけられています。

いずれの契約を結んだ場合も、売り手が対応しなければならないこととして、物件の内覧が挙げられます。内覧希望は土・日曜日が集中しがちですが、突然の申込みでも好印象を抱いてもらうためにも、日頃から掃除や整理整頓などを心がける必要があります。

理想は売却と購入の「同時決済」だが、無難なのは「売り先行」

理想的な住み替えのパターンは、旧宅売却と新居購入の決済を同じタイミングで行う「同時決済」です。それが実現すれば、購入資金の調達が間に合わなくて焦ることもありませんし、仮住まい探しも無用です。

しかも、金融機関の審査に通れば、買い替えローンも利用できます。旧宅を売却で得た資金で残債を完済できない場合に、その不足分と新居の購入資金をまとめて借りられるというローンです。

しかしながら、どんな世界でも理想と現実はなかなか合致しないもの。住み替えにおいても、売却と決済のタイミングの調整が難しいのが実情です。こうしたことから、円滑な住み替えを望むなら「同時決済」に固執せず、旧宅の「売り先行」で話を進めるのが無難だと言われています。

なぜなら、売却で得られた資金を新居の購入に充てられるので、それだけマネープランを立てやすいからです。しかも、新居の購入と同時に行うことを考えなくてすむため、時間的制約もなく、むやみに焦らず有利な条件の買い手を探すことが可能です。

「売り先行」の難点は、新居を探す時間が限られてしまうこと。加えて、まだ居住中に購入希望者の内覧希望にも対応する必要が生じます。

新居の購入から進める「買い先行」のメリットとデメリットは、「売り先行」のケースと正反対です。じっくりと時間をかけて新居を選ぶことが可能である半面、意中の物件が見つかったら直ちに売却を進めなければなりません。

しかも、売却で得た資金を新居の購入費用に充てられず、別途用意することになります。ローンを組んで新居を購入した場合は、旧宅残債の返済と合わせて二重の負担を強いられる恐れも出てきます。

「売り先行」を成功させるポイント

「売り先行」を成功させるうえで、やはり大きなカギを握っているのは不動産会社です。売却を進めるうえでの緻密な戦略の策定や、誠実で迅速な対応が満足度の高い成約へと結びつきます。

売却における戦略に関して言えば、売買需要が高まる時期にタイミングを合わせることも重要なポイントとなってくるでしょう。賃貸物件の需要は転勤や入進学を控えた2〜3月頃に拡大しますが、やはり売却希望物件の成約件数も同じ時期に伸びる特性があります。

なぜなら、新天地で新居を購入することを検討する人が増えるためです。円滑な成約を期待できますし、より好条件での売却できる可能性も高くなります。

住み替えのニーズは1月から2月にかけて次第に上昇し、3月にピークをつけるというのが例年のパターンです。こうしたことから、年末から準備を始め、年明け早々にも具体的に売却の話を不動産会社に持ち込むというのがベストタイミングだと言えるでしょう。

「売り先行」を成功に導くためには、ローンの残債をきちんと把握し、それを完済できる価格で売却することを目標とすることも大前提となってきます。現実的に難しい場合は、残債の返済や新居の購入に関して資金計画をしっかりと練る必要が生じます。

不動産の売却、仲介と買取では何が違う?

一方、旧宅の売却においては、仲介ではなく買取を依頼するという選択肢も考えられます。

物件を所有している側としては、不動産会社にその売却を依頼するという点が共通しているものの、仲介と買取ではオーダーを受けた側(不動産会社)の対応が大きく異なってきます。仲介とは、不動産会社が売り手と買い手の間に入って交渉を進めるものです。

あくまで不動産会社の役割は取引成立の仲立ちであり、言い換えればそれは、売り手の希望条件を受け入れる買い手を探すことです。なかなか見つからない場合は、条件面に関して譲歩することなどを売り手に提案しながら、販売活動を続けます。

これに対し、不動産会社自らがその物件を購入するのが買取です。つまり、買取では「買い手=不動産会社」になります。

仲介のメリットは、買取と比べて相対的に高い価格が売却できる可能性があることです。

不動産会社としては、取引が成立しなければ仲介手数料を得られません。

そこで、少しでも早く売り手の希望に沿った条件で購入したいという相手を見つけるため、より広範囲に物件情報を発信してくれることでしょう。ただ、だからといって速やかに買い手が見つかるとは限りません。

仲介の場合、なかなか短期間での売却は難しいのが実情です。買い手が見つかったとしても、新たに所有者となる人が住宅ローンを組むための審査にも時間を要しますし、買取のケースと比べれば円滑とは言いがたいのが現実でしょう。

また、仲介の場合は売主が「契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)」を負うことになります。これは、売買契約において品質不良などの不備が見つかった場合に、売り手が買い手に対して負う責任のことです。

一方、不動産会社が買い手となる買取の場合は、提示された査定価格を売り手が受け入れさえすれば、速やかに成約して決済・引き渡しが行われるのが大きなメリットです。売却価格がすぐに判明するため、新たな住まいの購入予算も把握でき、住み替え計画が円滑に進みやすいと言えます。

仲介では買い手候補が見つかる度に内覧対応が行う必要がありますが、買取の場合は最初に不動産会社による確認だけですむのもメリットでしょう。買取では、原則として売主が「契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)」を負うことはありません。

ただし、買取では周辺の相場よりも割安な査定価格が提示されることもある点には注意が必要です。なぜなら、買取に応じる不動産会社は、リフォームやリノベーションなどによって付加化価値を高めたうえで、第三者に「購入価格+高付加価値化の費用」で売却して収益を上げようとしているからです。

当然ながら、買取価格を押さえれば抑えるほど、不動産会社はより多くの利益の獲得できることになります。

まとめ

理想的な住み替えは、旧宅売却と新居購入の決済を同じタイミングで行う「同時決済」ですが、なかなかタイミングが合わないのがシビアな現実。「同時決済」にこだわりすぎず、旧宅の「売り先行」で話を進めながら、慎重に新居探しを行うのが無難です。

そして、「売り先行」の作戦を成功に導くうえで、非常に重要な役割を果たすのが不動産会社です。複数の会社に査定を依頼したうえで、提示された価格や親身な対応などを踏まえ、信頼できる売却のパートナーを選び抜きましょう。

ニフティ不動産の「住まい探しコラム」では、不動産の売却や購入に関する豊富なコンテンツを用意しています。住み替えを検討する際にも、十分にご活用ください。

アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ

部屋を借りる!賃貸版はこちら

住宅を買う!購入版はこちら