特別養護老人ホーム(特養)とは?特徴や費用などをわかりやすく解説の画像01

「特別養護老人ホームとはどのような施設なのだろう 」
「特別養護老人ホームに入居するためにかかる費用はどれくらいなのかな」
「特別養護老人ホームに入居するメリットとデメリットを知りたい」

このようにお考えの方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、特別養護老人ホームとは何か、費用やメリット・デメリットなどを紹介します。
特別養護老人ホームについて理解したうえで、入居先を探しましょう。



特別養護老人ホーム(特養)とは

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特別養護老人ホーム(特養)とは、自力での生活が難しい高齢者が入居できる施設であり、食事や入浴、排泄などさまざまな介護サービスを受けられます。

社会福祉法人や地方公共団体などが運営する公的施設であるため、有料老人ホームのような民間施設に比べて、費用が安い点が特徴です。
レクリエーションやリハビリなども行っており、認知症の方でも入居できます。

なお、地域によっては、特別養護老人ホームに入居するために待機しなければならない可能性があります。
とくに都市部で待機者が多い傾向です。

特別養護老人ホームへの入居を検討している方は、待機期間がある可能性も考慮して、早めに行動することをおすすめします。

特別養護老人ホーム(特養)の種類

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特別養護老人ホーム(特養)は、広域型・地域密着型・地域サポート型の3種類あります。
それぞれの特徴を表にまとめました。

特別養護老人ホームの種類 特徴
広域型特別養護老人ホーム ・特別養護老人ホームといえば、一般的に広域型特別養護老人ホームを指す
・定員は30人以上
・現在住んでいる地域に関係なく入居可能
地域密着型特別養護老人ホーム ・定員は30人未満
・原則、施設がある市区町村に住民票を有する方のみが入居可能
・サテライト型と単独型に分けられる

サテライト型
・広域型特別養護老人ホームを本体施設としている
・原則、本体施設から20分以内の場所に設置

単独型
・広域型特別養護老人ホームと同様の設備や介護サービスを提供
・本体施設がなく小規模
地域サポート型特別養護老人ホーム ・在宅介護を受けている方に対して24時間体制でみまもりサービスを提供

特別養護老人ホームは3種類ありますが、特徴や入居条件、定員、サービスなどが異なります。
違いを理解して、ニーズに合った種類の特別養護老人ホームを選びましょう。

特別養護老人ホーム(特養)の入居条件

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特別養護老人ホーム(特養)の入居条件は、以下のとおりです。

特別養護老人ホーム(特養)の入居条件

●65歳以上で要介護3以上の方
●40〜64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
●特例により入居が認められた要介護1〜2の方

特別養護老人ホームに入居するためには、上記に記載した条件のいずれかを満たさなければなりません。

なお、条件を満たしていても申し込み順に入居できるわけではありません。
特別養護老人ホームごとに毎月開かれる入所判定会議にて、介護度や家族状況を考慮したうえで点数化し、高い順に入居が決まります。

特別養護老人ホーム(特養)の費用

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特別養護老人ホーム(特養)の費用は、居室の種類や介護度により異なりますが、月額7〜15万円ほどです。
入居一時金は必要ありません。

特別養護老人ホームの月額費用の内容の一例は、以下のとおりです。

特別養護老人ホームの月額費用の内容の一例
居住費、食費、日用品代、医療費、介護サービス費、看取り対応費用

特別養護老人ホームの居住費や介護サービス費は、居室タイプや介護度によって異なります。
さらに、入居者本人や配偶者、扶養義務のある子どもの合計所得により負担額が決まります。

また、食事や入浴などの基本サービス以外に、看取り対応のような手厚い介護を受けた場合は、追加費用が必要です。
追加費用が発生する可能性も考慮して、予算を立てておきましょう。

特別養護老人ホーム(特養)の設置基準

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特別養護老人ホーム(特養)は、スムーズに介護サービスを提供するために法令で人員基準と施設基準が定められています。
それぞれ詳しく解説します。

人員基準

特別養護老人ホーム(特養)の人員基準は、以下のとおりです。

役割 人数
施設長 1名
医師 健康管理や療養上の指導を行うために必要な人数
看護職員・介護職員 利用者3名に対して1名以上
生活相談員 利用者100名に対して1名以上
機能訓練指導員 1名以上
介護支援専門員 1名以上
栄養士 1名以上
※入所定員が40名未満の場合、ほかの社会福祉施設の栄養士との連携により効率的に運営ができていることに加え、入所者の処遇に支障がなければ配置しなくても良い
ユニットリーダー ユニットごと

必ずではありませんが、介護職員や看護職員などの職員が人員基準より多く配置されていれば、より手厚いサポートを受けられる可能性が高くなります。
入居する特別養護老人ホームを決める際の目安にしてみても良いかもしれません。

施設基準

特別養護老人ホーム(特養)の施設基準は、以下のとおりです。

場所 基準
居室 ・定員は4名以下
・入居者1名あたり床面積10.65平方メートル以上
・寝台または代わりとなる設備を配置
・ブザーまたは代わりとなる設備を配置
・入居者の身の回り品を保管できる設備を配置
トイレ ・ブザーまたは代わりとなる設備を配置
・必要な場所に常夜灯を設置
・要介護者に適したものを設置
浴室 ・要介護者に適したものを設置
医務室 ・診療に必要な医薬品や医療機器を備える
・必要に応じて臨床検査設備を配置
廊下 ・原則、幅は1.8m以上(中廊下の場合2.7m以上)
・必要な場所に常夜灯を設置
・手すりを設置
階段 ・手すりを設置

特別養護老人ホームは、入居者が安心かつ安全に過ごせるように設備基準が定められています。
介護が必要な方が快適に過ごせる環境が整っているため、自宅での生活が不安な場合は、特別養護老人ホームへの入居を検討しましょう。

特別養護老人ホーム(特養)のサービス

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特別養護老人ホーム(特養)で提供されるサービスの一例は、以下のとおりです。

サービス 内容
日常生活の支援 食事・入浴・排泄介助、買い物代行、洗濯、掃除
介護ケア リハビリ、レクリエーション
医療・看護ケア 健康管理、看取り

特別養護老人ホームで日常生活の支援として提供しているサービスは、食事・入浴・排泄介助や買い物代行、洗濯などです。
すべて職員が行うわけではなく、自力でできない日常の動作をサポートしてくれます。

また、自力でできる日常の動作を維持したり増やしたりするためにリハビリも行っています。
特別養護老人ホームでは、さまざまなレクリエーションやイベントを行っていますが、リハビリを兼ねているケースも多いです。

さらに、特別養護老人ホームは、医師や看護師が在籍しているため、ほかの介護施設と比べて医療ケアを受けやすい傾向です。
看取りに対応している特別養護老人ホームも増えており、希望があれば住み慣れた施設で最期を迎えられます。

特別養護老人ホームで生活する場合、受けられるサービスが多いほど、快適さにつながります。
どのようなサービスに対応しているか入居前に確認しておきましょう。

特別養護老人ホーム(特養)の居室タイプ

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特別養護老人ホーム(特養)の居室タイプは、ユニット型個室・ユニット型準個室・従来型個室・多床室の4種類です。
それぞれの特徴を表にまとめました。

居室タイプ 特徴
ユニット型個室 ・10人以下のユニット
・台所やリビングなどの共有スペースを囲むように個室を配置
・完全個室であり、プライバシーを確保しつつ、入居者同士がコミュニケーションを図れる
ユニット型準個室 ・10人以下のユニット
・台所やリビングなどの共有スペースを囲むように個室を配置
・個室がパーテーションのような簡易的なもので仕切られているため、完全個室ではない
往来型個室 ・完全個室 ・各個室が廊下に面している
・台所やリビングのような共同スペースまで距離がある
多床室 ・1つの部屋に複数のベッドを配置しており、定員は2名以上
・4人部屋であることが多い
・ほかの居室タイプと比較して費用が安いが、プライバシー確保の点では劣る

特別養護老人ホームは、居室タイプにより費用や特徴が異なります。
予算やニーズに合わせて居室タイプを選びましょう。

特別養護老人ホーム(特養)のメリット

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特別養護老人ホーム(特養)のメリットは、以下のとおりです。

●ほかの介護施設と比べて費用が安い
●24時間体制の手厚い介護を受けられる
●看取りに対応しているため長期入所できる

特別養護老人ホームは、ほかの介護施設と比べて費用が安い傾向です。
社会福祉法人や地方公共団体などが運営する公的施設であるためです。
入所一時金も不要であり、経済的負担を軽減できます。

また、介護職員が常駐しており、24時間体制で手厚い介護を受けられます。
夜間に介護が必要になっても対応できるため安心です。

さらに、多くの特別養護老人ホームは看取りに対応しており、長期入所が可能です。
施設の転居は、本人や家族の負担になる恐れがあります。
特別養護老人ホームであれば、最期を迎えるまで入居できるため、転居による負担を軽減しつつ、快適な生活を送れます。

特別養護老人ホームは、経済的負担を抑えつつ、手厚い介護で安心かつ安全に生活できる場所です。
自宅での生活や介護に不安を感じる方は、特別養護老人ホームへの入居を検討してみましょう。

特別養護老人ホーム(特養)のデメリット

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特別養護老人ホーム(特養)のデメリットは、以下のとおりです。

●入居するまでに待機期間がある
●入居条件は、原則要介護3以上
●提供できる医療ケアに限りがある

特別養護老人ホームは、入居するまでに待機期間が発生する可能性が考えられます。
近年、待機者は減少傾向ですが、地域によっては入居困難の場所もあります。
とくに、都市部では、待機者が多いことが課題です。
できるだけスムーズに入居するためにも施設選びを含め早めに行動しておきましょう。

また、入居条件は原則要介護3以上であり、ほかの介護施設と比べて厳しい傾向です。
以前は、要介護1・2の方も入居可能でしたが、待機者を緩和する目的で入居条件が原則要介護3以上へ変更されました。
なお、要介護3以上であっても申し込み順に入居できるわけではありません。
入所判定会議により介護度や家族状況などを考慮して入居が決まります。
入居条件やニーズに合わせて、ほかの介護施設を検討することも1つの手です。

特別養護老人ホームは、提供できる医療ケアに限りがある点もデメリットです。
看護師が在籍していますが、夜間常駐は義務付けられていません。
夜間に医療ケアが必要になった場合は、対応できない可能性もあります。
24時間医療ケアが受けられる施設を希望する場合は、看護師が夜間常駐している施設や病院が併設されている施設を検討してみましょう。

以上が特別養護老人ホームのデメリットです。
特別養護老人ホームへ入居する場合は、メリットだけではなく、デメリットについても理解しておくことが大切です。

特別養護老人ホーム(特養)に関するよくある質問

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特別養護老人ホーム(特養)に関するよくある質問は、以下のとおりです。

●特別養護老人ホームの空き状況は?
●特別養護老人ホームと養護老人ホームの違いは?
●特別養護老人ホームで退去になる可能性はある?
●特別養護老人ホームの費用は年金で払える?
●特別養護老人ホームの費用を減免できる制度はある?

それぞれ詳しく解説します。
疑問に感じていることがあれば参考にしてください。

特別養護老人ホームの空き状況は?

特別養護老人ホームの空き状況は、地域により差があります。
郊外と都市部では、需要と供給が異なるためです。

郊外は、都市部と比べて地価が安いため、特別養護老人ホームが増えており、待機者がほぼいません。
一方、都市部は、特別養護老人ホームの数に対して入居希望者が上回っており、待機者が多い傾向です。

待機期間は、長ければ数年になる可能性もあります。
待機期間中は自宅で過ごすのか、ほかの介護施設を利用するのか状況に合わせて判断しましょう。

特別養護老人ホームと養護老人ホームの違いは?

特別養護老人ホームと養護老人ホームの大きな違いは、施設の目的にあります。

特別養護老人ホームは、自力での生活が難しい高齢者へ介護サービスの提供を目的とした施設です。
一方、養護老人ホームは、介護の必要性にかかわらず、経済的や精神的などの理由により生活が難しい高齢者を養護して自立の促進を目的とした施設です。

両者は名前が似ていますが、施設の目的が異なるため、違いを理解しておきましょう。

特別養護老人ホームで退去になる可能性はある?

特別養護老人ホームは、入居途中で退去になる可能性があります。
入居者の状態によっては、施設で対応できないケースも考えられるためです。

例えば、体調が悪化してより高度な医療ケアが必要になった場合は、退去しなければなりません。
特別養護老人ホームでは、医療ケアに限りがあります。
提供できる医療ケアでは対応できない場合は、退去せざるを得ません。

また、認知症が悪化して、暴力や徘徊により、ほかの入居者や職員に迷惑がかかる場合は、退去を求められる可能性があります。
万が一にそなえて、事前に退去になるケースを確認しておくことをおすすめします。

特別養護老人ホームの費用は年金で払える?

特別養護老人ホームの費用は、年金で払うことも可能です。
月額費用の相場は、7〜15万円ほどであるためです。

特別養護老人ホームは、居室タイプにより居住費が異なります。
月額費用をできるだけ抑えるためには、居室タイプのなかでも多床室を選びましょう。

なお、食事や入浴などの基本的なサービス以外の手厚い介護を受けた場合は、追加費用が発生するため、相場より高くなる可能性が考えられます。
事前に施設へ月額費用や追加費用などを確認して予算を立てることをおすすめします。

特別養護老人ホームの費用を減免できる制度はある?

特別養護老人ホームの費用を減免できる制度は、いくつかあります。
特別養護老人ホームの費用を減免できる制度の例は、以下のとおりです。

●特定入所者介護サービス費
●高額介護サービス費
●高額医療・高額介護合算療養費制度
●利用者負担軽減制度
●医療費控除

減免される項目や対象者、申込方法は、制度により異なります。
できるだけ費用を抑えて経済的負担を軽減したい場合は、利用できる制度に申し込みましょう。

特別養護老人ホームに入居して充実した介護を受けよう!

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今回の記事では、特別養護老人ホームとは何かをはじめとし、費用やメリット・デメリットなどを紹介しました。

特別養護老人ホームは、自力での生活が難しい高齢者へ介護サービスを提供する施設です。
入居一時金が不要なうえ、公的施設であるため費用が安い点が魅力です。

特別養護老人ホームで充実した介護を受け、安心かつ安全な生活を送りましょう。

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