この記事では、住み替えとは何なのか、住み替えの方法、各方法のメリット・デメリット、住み替え時にかかる費用と税金、利用できる控除や特例などについて解説します。住み替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
住み替えとは
住み替えとは、不動産取引を伴う住所の変更です。例えば、以下のようなケースが住み替えに該当します。
- ・賃貸住宅からマイホームを購入して引っ越す
- ・現在のマイホームを売却し、新しいマイホームを購入して引っ越す
- ・マイホームを売却して賃貸物件に引っ越す
- ・賃貸物件から賃貸物件に引っ越す
本記事では、2番目の現在のマイホームを売却し、新しいマイホームを購入して引っ越す買い替えを前提として解説していきます。
住み替えの方法は3つ!
住み替えの方法はいくつかあり、人によって最適な方法が異なります。住み替えを成功させるには、どのような住み替えの方法があるのかを事前に把握しておくことが大切です。住み替えの方法として、以下の3つが挙げられます。
メリット | デメリット | ||||||||||||||||
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売り先行で住み替える |
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買い先行で住み替える |
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同時並行で住み替える |
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それぞれの売却方法を詳しく見ていきましょう。
売り先行で住み替える
売り先行で住み替えるとは、現在の住まいを先に売却して、売却代金を新居の購入資金に充てる住み替え方法です。売り先行の場合は以下のような流れで住み替えを進めます。
- 1.現在の住まいを売りに出す
- 2.現在の住まいの売買契約を締結する
- 3.現在の住まいを引き渡して代金を受領する
- 4.住み替え先の新居を探す
- 5.住み替え先の新居を契約する
- 6.住宅ローンを契約する
- 7.住み替え先に引っ越す
売り先行では、売却を優先できる、売却代金を新居の購入資金に充てられるため、以下のような人におすすめします。
- ・住宅ローンを返済中の人
- ・家の住み替えで費用面に不安がある人
- ・売却に時間をかけたい人
売り先行で住み替えるメリット
売り先行で住み替えるメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ・住み替え費用を工面しやすい
- ・家の売却に時間をかけられる
新居の購入にかかる費用に売却代金を充てられるため、住み替え費用を工面しやすくなります。また、売り先行では家の売却を優先できるため、売却に妥協せずに済むので高く売却できるでしょう。
売り先行で住み替えるデメリット
売り先行で住み替えるデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ・手間と費用が増える可能性がある
- ・家の購入に時間をかけにくい
住み替え先が見つからない場合、現在の住まいを引き渡さなくてはならないため、仮住まいを確保しなくてはなりません。そのため、仮住まいと新居への引っ越しの回数が増えることで、時間と手間が増える点はデメリットです。引っ越し回数を減らすために新居選びを急ぐと、新居選びに妥協することになるので注意してください。
買い先行で住み替える
買い先行で住み替えるとは、新居を先に購入して、後から現在の住まいの売却活動に取り掛かる住み替え方法です。買い先行の場合は以下のような流れで住み替えを進めます。
- 1.住み替え先の新居を探す
- 2.住み替え先の新居を契約する
- 3.住宅ローンを契約する
- 4.住み替え先に引っ越す
- 5.現在の住まいを売りに出す
- 6.現在の住まいの売買契約を締結する
- 7.現在の住まいを引き渡して代金を受領する
買い先行では、購入を優先できる、資金面に苦労しやすいため、以下のような人におすすめします。
- ・住宅ローンを完済している人
- ・自己資金に余裕がある人
- ・購入に時間をかけたい人
買い先行で住み替えるメリット
買い先行で住み替えるメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ・手間と費用を抑えられる
- ・家の購入に時間をかけられる
買い先行の場合は、新居を先に確保してから現在の住まいの売却を進めます。引っ越し回数を1回に抑えられるので手間と費用を抑えられます。また、家の購入に時間をかけられるため、新居探しを妥協せずに済むでしょう。
買い先行で住み替えるデメリット
買い先行で住み替えるデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ・二重ローンになる可能性がある
- ・資金計画を立てにくい
現在の住まいの住宅ローンを完済していない場合、新規に契約する住宅ローンの返済と契約中の住宅ローンの返済の二重ローンとなり、返済負担が重くのしかかります。また、売却を後回しにすることによって、新居の購入にいくらの資金を充てられるのかがわからず、資金計画を立てにくいという点に注意が必要です。
同時並行で住み替える
同時並行で住み替えるとは、現在の住まいの売却と新居の購入が同時になるようにうまく調整する住み替え方法です。同時並行の場合は以下のような流れで住み替えを進めます。
現在の住まいの売却に関する流れ | 新居の購入に関する流れ | ||||||||||
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同時並行がうまくいった場合には、引っ越し回数を1回に抑えられる、売却代金を新居の購入資金に充てられるため、以下のような人におすすめします。
- ・手間を省きたい人
- ・費用を抑えたい人
同時並行で住み替えるメリット
同時並行で住み替えるメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ・一度に全ての手続きが完了する
- ・手間と費用を抑えられる
売り先行、買い先行のようにどちらか一方を優先した場合、時間と手間がかかります。しかし、同時並行の場合、一度に全ての手続きが完了することで、時間と手間を省けます。また、引っ越し回数を減らす、売却代金を新居の購入資金に充てることで費用負担も軽減できるでしょう。
同時並行で住み替えるデメリット
同時並行で住み替えるデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ・新居選びを焦る可能性がある
- ・売却を焦る可能性がある
仮に購入希望者が現れた場合は、同時並行を実現するには新居の購入を急がなくてはなりません。また、新居が先に見つかった場合は、同時並行を実現するには売却を焦ることになります。同時並行は容易ではなく、実現が難しいことを十分に理解しておきましょう。
住み替えをする際にかかる費用や税金
住み替えでは、新居を購入する際と現在の住まいを売却する際の2回に分けて費用や税金がかかります。資金不足で住み替えができないといったトラブルを回避するためにも、事前にどのような費用や税金がかかるのかを把握しておくことが大切です。
家を購入する際と売却する際にかかる費用・税金を詳しく説明していきます。
家を購入する際にかかる費用・税金
家を購入する際は、以下のような費用・税金がかかります。
費用の目安 | |||||||||||
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仲介手数料 | 売却価格が400万円超の場合:売却価格×3%+6万円+消費税 ※中古物件のみ |
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印紙税 | 売買契約書に記載された売却価格によって異なる:1,000~6万円 | ||||||||||
登録免許税 | 所有権保存登記(新築):固定資産税評価額×0.4%
所有権移転登記(中古):固定資産税評価額×2.0% 抵当権設定登記:借入額×0.4% |
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融資事務手数料 | 金融機関ごとに異なる:3~5万円または融資額の1~2%前後 | ||||||||||
不動産取得税 | 固定資産税評価額×4% | ||||||||||
固定資産税 | 中古物件の場合、決済時に売主と精算 | ||||||||||
火災・地震保険料 | 構造、築年数、延床面積などによって異なる |
抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合、上記に5,000円~2万円程度の司法書士報酬が上乗せされます。登録免許税は軽減措置が適用されることで負担を軽減できる場合があるので一概に言い切れませんが、費用・税金は新築で物件価格の3~7%、中古で6~10%程度が目安とされています。
家を売却する際にかかる費用・税金
家を売却する際は、以下のような費用・税金がかかります。
費用の目安 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
仲介手数料 | 売却価格が400万円超の場合:売却価格×3%+6万円+消費税 | ||||||||||
印紙税 | 売買契約書に記載された売却価格によって異なる:1,000~6万円 | ||||||||||
登録免許税 | 抵当権抹消登記費用:1つの不動産につき1,000円 | ||||||||||
ローン一括返済手数路湯 | 金融機関ごとに異なる:1~3万円 | ||||||||||
譲渡所得税 | 所有期間で税率が異なる:
5年以下(譲渡所得×39.63%) 5年超(譲渡所得×20.315%) |
抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合、上記に5,000円~2万円程度の司法書士報酬が上乗せされます。売却時にかかる諸費用は、売却価格の5%前後が目安とされています。
住み替えをする際に利用できる減税措置や特例
家を住み替える際に利用できる減税措置や特例として、以下の3つが挙げられます。
- ・3,000万円の特別控除特例
- ・買い替え特例
- ・マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例
それぞれの減税措置や特例を詳しく見ていきましょう。
3,000万円の特別控除特例
3,000万円の特別控除特例とは、譲渡所得税を算出する際の譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例です。例えば、家を売却した際に2,000万円の利益が発生しても、特例を利用すれば利益がなくなるため、税金を納めずに済むのです。最高3,000万円まで控除できるので大きな節税効果が期待できるでしょう。
しかし、必ずしも控除を利用できるとは限りません。売り手と買い手が親子といった特別に関係にない、住まなくなってから3年以内に売却しなくてはならないなどのように要件を満たす必要があります。また、次の買い替え特例や損益通算とは併用できず、利用したい場合は確定申告が必要となる点に注意が必要です。
参照:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例
買い替え特例
買い替え特例とは、住み替えの際に売却利益に対して課される税金を購入した新居を売却する際まで繰り延べられる特例です。あくまでも繰り延べられるだけで、税金が免除されるわけではないという点に注意してください。
買い替え特例を利用する際は、所有期間が売却した年の1月1日時点で10年を超えなくてはならない、買い替えた住宅の床面積が50㎡以上などの要件を満たす必要があります。3,000万円特別控除特例とは併用できず、特例を利用する際は確定申告が必要になる点に注意しましょう。
参照:国税庁|No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例
マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例とは、売却によって譲渡損失が出た場合においてその年の所得から相殺できる特例です。相殺することで税負担を軽減できます。
1年で控除しきれない場合、売却した年から3年間繰り越すことが可能です。3,000万円特別控除とは併用できず、特例を利用する際は確定申告が必要なので忘れずに行いましょう。
参照:国税庁|No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
住み替えを行う際の注意点
住み替えを行う際は二重ローンになる可能性があるといったように、ローン関係でトラブルが発生する可能性があります。そのため、住宅ローンが残っているかどうか確認するだけでなく、以下のローンの違いを把握しておくことが大切です。
- ・住み替えローン
- ・つなぎ融資
- ・ダブルローン
それぞれのローンの違いを詳しく解説していきます。
住み替えローン
住み替えローンとは、現在の住まいを購入する際に契約した住宅ローンの残債の完済に必要な資金と、新居の購入に必要な資金を合わせて借りることができるローンです。
住宅ローンの契約をひとつにまとめることができるため、管理が複雑にならずに済みます。しかし、住み替えローンは金利が一般的な住宅ローンよりも高く設定されがちです。また、借入額が増えることによって、返済負担が大きくなる点に注意が必要です。
つなぎ融資
つなぎ融資とは、買い先行で売却代金を購入資金に充てることができない場合に、売却代金を受領するまで一時的に契約するローンです。
既存住宅の売却が完了した時点で売却代金をつなぎ融資の返済に充てるため、契約期間は6ヶ月から1年以内が一般的です。住宅ローンよりも金利が高く、期日までに売却できない場合は値下げして売却しなければならず、損をする可能性があるという点に注意してください。
ダブルローン
ダブルローンとは、買い先行で売却代金を購入資金に充てることができない場合に、契約中の住宅ローンを返済しながら契約する新規のローンです。
つなぎ融資と似ていますが、つなぎ融資は契約期間が決まっているため、計画通りに売却が進まない場合は値下げして売却しなくてはなりません。一方、ダブルローンであれば、契約期間を気にせずにじっくり売却に臨めます。
しかし、契約が2つになることで借入額が大きくなり、返済負担も大きくなります。また、契約中の住宅ローンがあることで審査が厳しくなる点に注意してください。
住み替えに関するよくある質問
住み替えの理解を深めるために、住み替えに関するよくある質問と回答を確認しておきましょう。
Q.自己資金なしで住み替えはできる?
自己資金がない場合でも、住み替えローンやつなぎ融資などの住み替えを想定したローンを利用することで住み替えが可能です。金融機関ごとに商品の種類や特徴が異なるため、まずは金融機関に相談してみましょう。
Q.住み替えで家が売れなかったらどうなる?
売り先行の場合、家が売れないと買いに移行できません。また、買い先行の場合、新規に契約した住宅ローンの返済に売却代金を充てられず、返済に支障が生じる可能性があるので注意が必要です。仲介で売れなかった場合に備えて、買取に対応してもらえるか、買取価格がいくらになるのかを確認しておくと安心です。
まとめ
家族構成の変化や転勤などのさまざまな理由で住み替えが必要になるケースも少なくありません。住み替えでは、売りを先行するのか買いを先行するのか、同時進行するのかによってメリット・デメリットが異なるため、それぞれの流れと特徴を把握しておくことが大切です。
また、家の住み替えにはさまざまな費用や税金などがかかります。資金不足でトラブルが生じることがないように、どのような費用や税金がかかるのかを確認しておきましょう。
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