土地の評価額と売値には差がある!実勢価格や固定資産税評価額からの売値の調べ方

この記事では、評価額と売値の違いやそれぞれの調べ方についてわかりやすく解説します。併せて、高値で土地を売るポイントも解説するので土地売却の参考にしてください。



土地の評価額と売値には差がある

土地の評価額と売値には差がある!実勢価格や固定資産税評価額からの売値の調べ方

土地の評価額と売値は異なる価格を示しており、価格には差が出るのが一般的です。

  • ・土地の評価額:公的な機関が発表する土地の価格
  • ・土地の売値:実際に売りに出す際の価格
 

土地の評価額とは、公的な機関が発表する土地の価格のことをいい、土地取引の参考や税額の算出の際の利用される価格です。面積や所在地・地目・周辺環境などを考慮して一定の基準を元に算出されます。ただし、土地の評価額の算出方法にはいくつかの種類があり、種類によっても価格が異なってくるのです。

一方、土地の売値とは実際に土地を売りに出す際の価格のことをいいます。売値自体は売り主が自由に決めていいものですが、ある程度の相場などを参考に決めるのが一般的です。その際の価格の参考となる指標の一つが土地の評価額なのです。

評価額は主に税収面での妥当性を図る指標であり、売値は不動産商品として価格でもあり、売主の希望や土地の状況、市場の需要などによって常に変動します。

このように売値はさまざまな条件を含めて決められるため、売却時期によって評価額よりも高くなったり低くなったりすることがあるのです。

土地の評価額の種類

土地の評価額と売値には差がある!実勢価格や固定資産税評価額からの売値の調べ方

ここでは、土地の評価額について詳しく見てきましょう。土地の評価額には、次の5つの種類があります。

  • ・実勢価格
  • ・公示価格
  • ・基準地価
  • ・固定資産税評価額
  • ・相続税評価額
 

土地の評価額は、不動産取引だけでなく固定資産税の算出などにも使われ、その基準となる価格が異なります。どの評価額で価格をチェックするかは、土地の評価額を使う目的に応じて選択することが大切です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

実勢価格

実勢価格とは、時価とも呼ばれる実際に土地取引されたときの価格のことです。土地の面積や状態だけでなく、市場動向や周辺環境なども考慮されるので、見るタイミングによっても大きく異なる場合があります。

市場価格に近い価格となるので売却する際の価格の参考にするなら、実勢価格が適しているでしょう。ただし、実勢価格の算出基準には明確なものがなく、算出する人によって価格が異なる点には注意が必要です。

また、実際の取引の際には買主や売主の事情も価格に反映されるため、類似物件であっても大きく価格が異なることも珍しくありません。

土地の実勢価格については、国土交通省の土地総合情報システムから不動産取引価格を調べることが可能です。詳細な検索はできませんが、大まかな類似物件の価格を調べて参考にするとよいでしょう。

公示価格

公示価格とは、国土交通省が毎年公示する土地の評価額のことです。全国で25,000以上の基準地を地価公示法に基づいて土地鑑定委員が算出し、3月下旬頃に発表します。

公示価格は、公共事業を含む土地取引の参考価格として発表される価格でもあり、土地取引の値決めの参考となるものです。明確な算出基準のない実勢価格に対して、公示価格は明確な基準で算出されているという違いがあります。

【公示価格の調べ方】

国土交通省「標準地・基準地検索システム」で検索する

 

国土交通省の「標準地・基準地検索システム」でエリアを絞って検索すると、エリアの地番や面積・利用区分などが表示されます。公示価格を調べる場合は、表示項目の中の「価格(円/㎡)」を確認しましょう。

基準地価

基準地価とは、都道府県が発表する土地の価格のことです。毎年7月1日時点の評価額を9月下旬頃に公示します。

公示地価と似ていますが、公示地価が1月時点の評価額であり都市計画区域内が対象という点に対し、基準地価は7月時点の評価額であり都市計画区域外も含まれるという点が異なります。そのため、基準地価は公示地価の補完的なものとして扱われることが多いでしょう。

【基準地価の調べ方】
 

基準地価は公示地価と一緒に、国土交通省の「標準地・基準地検索システム」で検索できます。また、各都道府県のホームページでも調べられるので、チェックしてみるとよいでしょう。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する際に使用される評価額のことをいいます。東京23区は東京都、それ以外では各市区町村が評価し、固定資産税だけでなく都市計画税や登録免許税・不動産取得税などの算出の際にも利用されます。

固定資産税評価額は、3年毎に評価額が見直されるため固定資産税も評価が変われば税額が変わってくるのです。

【固定資産税評価額の調べ方】
  • ・固定資産税納税通知書を確認する
  • ・固定資産評税台帳を閲覧する
  • ・固定資産評価証明書を入手する
 

固定資産税評価額は、毎年4月~6月頃に送付される固定資産税納税通知書に記載されています。課税明細書のページの評価額を調べれば、価格が記載されているので確認してみましょう。

固定資産税納税通知書が手元にない場合、自治体の窓口で固定資産税評価台帳を確認すれば価格がわかります。また、固定資産税台帳の内容は固定資産税評価証明書として入手することも可能です。

相続税評価額

相続税評価額とは、相続税や贈与税を算出する際に利用する評価額のことをいいます。

【相続税評価額の調べ方】
  • ・路線価方式
  • ・倍率方式
 

相続税評価額は、路線価方式か倍率方式で算出します。路線価方式とは、道路に面している宅地1㎡ごとの価格を元に算出する方法です。基準となる路線価は毎年7月に国税庁に公示されるので、路線価に面積と補正率を乗じて土地の評価額を算出します。

一方、路線価が設定されていない土地の場合は倍率方式を用いて算出することになります。倍率方式とは、地域ごとに定められた倍率をもとに土地の評価額を算出する方法です。

路線価・倍率表は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できるので、確認してみるとよいでしょう。

土地の評価額から売値を調べる方法

土地の評価額と売値には差がある!実勢価格や固定資産税評価額からの売値の調べ方

土地を売却する場合、売値は基本的に買主が自由に決められます。しかし、相場よりもあまりに高値では買い手が付かないでしょう。反対に、安すぎると手元に残るお金が少なくなってしまいます。

土地に適切な売値を付けるためには、評価額を売値の参考にする方法が一般的です。ただし、先述したように用いる評価額によって価格は異なるので、それぞれの計算方法を理解しておくことが大切です。

以下では、評価額ごとの売値の参考価格の計算方法を解説します。

実勢価格から計算

実績価格は過去に実際に取引された価格のため、売値の参考として適しています。しかし、実勢価格は取引があった土地の価格であり、自分の土地の価格とは異なるものです。

そのため、似たような土地の実勢価格を元に、自分の土地に当てはめて計算することで売値の目安を計算します。

売値の目安=類似の土地の実勢価格÷参考にした土地の面積×自分の土地の面積

 

例えば、次の場合を見てきましょう。

  • ・売りたい土地の面積:100㎡
  • ・類似の土地の実勢価格:3,000万円
  • ・参考にした実勢価格の土地の面積:300㎡
 

売値の目安=3,000万円÷300㎡×100㎡=1,000万円

 

上記の場合、売値の目安となるのは1,000万円ということになり、ここから社会情勢や売主の希望を反映していくとよいでしょう。ただし、実勢価格は純粋に土地の価格というわけではなく、売主・買主の都合や社会情勢なども反映されて最終的に決まった価格です。

また、情勢は常に変化しているため、年数の古い実勢価格では参考にあまりならない可能性があります。実勢価格を元に計算する場合は、いくつかの事例をもとに計算して比較することをおすすめします。

公示価格から計算

公示価格から計算する方法は、次の通りです。

売値の目安=公示価格×面積×1.1

 

公示価格で算出する場合、ピンポイントで土地の価格がわからない場合は、周辺エリアの公示価格を利用します。また、実勢価格は公示価格の1.1倍ほどになるケースが多いことから、公示価格に面積と1.1を乗じることで売値の目安が計算できます。

例えば、次のケースで売値を計算してみましょう。

  • ・売りたい土地の面積:200㎡
  • ・公示価格:18万円/㎡
 

売値の目安=18万円×200㎡×1.1=3,960万円

 

上記の場合の売値の目安は3,960万円です。

基準地価を参考にする場合も、公示価格と同様の計算で求めることができます。

固定資産税評価額から計算

固定資産税評価額から売値の目安を算出する方法は、次の通りです。

売値の目安=固定資産税評価額÷0.7×1.1

 

固定資産税評価額は公示地価の70%となるので、0.7で割り戻して公示地価を算出します。その後は、公示地価と同様の手順で実勢価格に近くなるように1.1を乗じることで算出できます。

ちなみに、公示地価は1㎡当たりの価格ですが、固定資産税評価額は土地面積全体での価格が記載されているので面積を乗じる必要はありません。

仮に、固定資産税評価額が1,000万円の土地の場合は、次のようになります。

売値の目安=1,000万円÷0.7×1.1=約1,572万円

 

上記の場合、約1,572万円が売値の目安です。

固定資産税評価額は毎年送付されるので、他の評価額よりも手軽に調べられ計算もしやすいでしょう。

相続税評価額から計算

相続税評価額から計算する方法は、次の通りです。

売値の目安=相続税評価額(路線価×土地の面積)÷0.8×1.1

 

路線価がある土地の場合、路線価に土地の面積を乗じて相続税評価額を算出します。このとき、土地の形状が不整形地などの場合は補正率を乗じる必要があります。

相続税評価額は公示価格の80%になるので、0.8で割り戻して公示価格に近付け、1.1を乗じて実勢価格を算出するのです。

仮に、相続税評価額が1,500万円の土地の場合は、次のようになります。

売値の目安=1,500万円÷0.8×1.1=2062.5万円

 

上記の場合、約2062万円が売値の目安です。

路線価がない土地の場合、倍率方式で相続税評価額を求めることになりますが、倍率方式の場合は固定資産税評価額から算出されるので、固定資産税評価額を用いた売値目安の計算で求めてみるとよいでしょう。

土地の評価額より売値を高くするポイント

土地の評価額と売値には差がある!実勢価格や固定資産税評価額からの売値の調べ方

土地の評価額が低いからといって、売値も安くなるとは限りません。評価額の低い土地であっても、売り方を工夫することで高値での売却できる可能性があるのです。ここでは、評価額よりも売値を高くするポイントとして次の2つを紹介します。

  • ・売り出すタイミングを見極める
  • ・一括査定サービスを利用する
 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売り出すタイミングを見極める

土地の売値は立地だけではなく、タイミングによっても上下するものです。急いで売らないといけないという事情がないなら、タイミングを見極めることで高値での売却が期待できるでしょう。

一般的に、土地の売値が上がりやすいタイミングとしては、次のようなタイミングがあります。

  • ・春や秋
  • ・大規模な公共事業や海外投資家の参入増加が見込まれる
  • ・周辺に大型商業施設や娯楽施設などが建設される
  • ・法改正で税制が変わる前(もしくは後)
 

人の流れの多くなる春や秋は、土地の需要も高くなることから、高値で取引しやすくなります。また、東京オリンピックの開催が決定したときには土地の価格の高騰が見られたように、大規模な公共事業の決定のように経済状況の大きな変化も土地の価格を押し上げる要因となるでしょう。

地域だけで見た場合でも、周辺の環境の変化は大きなポイントになります。大規模商業施設やスーパー・学校・新駅の開通など、周辺環境がよくなる場合は土地の価格も上がりやすくなるのです。

税制の変更は、売却後の利益や買い手の購入意思にも関わってきます。税率が上がるや軽減措置がなくなるといった場合は、その前に需要が高まり高値で取引しやすくなるでしょう。

一方、次のようなタイミングは土地の売値が下がりやすいので注意が必要です。

  • ・夏や冬
  • ・地域の少子高齢化や居住者減が進む
  • ・近隣施設の撤退
  • ・経済状況の悪化
  • ・法改正で税制が変わる前(もしくは後)
 

人の動きが鈍くなる夏や冬や春・秋に比べると土地の需要も低くなります。また、地域の少子高齢化や施設の撤退があると、需要が下がり価格も下がる傾向があるので注意しましょう。

新型コロナウイルスやリーマンショックというような経済に大きなダメージが出るような状況のときに、土地価格にマイナスに影響する恐れがあります。

このように、土地の価格は情勢などさまざまな要因によって常に変動するものです。少しでも高値で売りたい場合は、しっかりとタイミングを見極めて売却計画を立てるようにしましょう。

一括査定サービスを利用する

土地をいくらで売れるかは、仲介を依頼する不動産会社によっても大きく異なります。不動産会社といっても、強みは異なるものです。土地取引が得意な会社やマンション・アパートが得意な会社、戸建てが得意というように、得意分野は異なってきます。

土地取引が得意な不動産会社であれば、買い手を見つけやすく高値での売却も期待できます。反対に、土地取引の実績があまりない場合、なかなか買い手を見つけられない可能性もあるのです。

そのため、不動産会社を選ぶ際には、査定額だけでなく実績や評判・担当者との相性など総合的に判断する必要があります。

できるだけ多くの不動産会社を比較することで、自分の土地を高く売ってくれる不動産会社と出会いやすくなるでしょう。
複数の不動産会社を比較するなら、一括査定サイトがおすすめです。ニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」なら、全国の大手から地域密着型の不動産会社まで幅広い不動産会社の査定を比較できるので、満足いく売却ができるでしょう。

まとめ

土地の評価額と売値の違いや、評価額から売値目安の計算する方法、高値で売るコツについてお伝えしました。土地の評価額は、算出方法により5つの種類があり、それぞれ使用目的が異なってきます。

土地の売却の場合は、過去の取引価格である実勢価格を参考にするとよいでしょう。また、別の評価額であっても計算することで売値の目安額を算出できるので、一度自分の土地に当てはめて計算してみることをおすすめします。

ただし、実際に高く売れるかは土地の評価額だけでなくタイミングや不動産会社の力も大きく関わってきます。できるだけ高く売りたいならタイミングを見極めたうえで、高値で売ってくれる不動産会社を選ぶことが大切です。

不動産会社選びの段階では、できるだけ多くの不動産会社を比較することでぴったりの会社を選びやすくなります。ニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」なら、全国の大手から地域密着型の不動産会社まで幅広い不動産会社の査定を比較できるので、一度査定結果を見比べてみるとよいでしょう。

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